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問題解決型経理のススメ

著:平井満広氏

第06回 14年04月更新

これからの経理担当者に求められること

2014年4月から消費税率が8%にあがりました。実態経済への影響度合いは未知数ですが、一般的には消費者の購買意欲が低下して景気回復の流れを腰折れさせると心配されています。先行き不透明な環境のなか経理担当者にも新たな役割が求められます。

(1)経営状態を把握する
経理担当者の仕事は伝票を起票したり仕入先に代金を振り込んだりといった単純作業だけではありません。数字を預かる専門部隊として、過去から現在までの売上や利益、資金繰り等はどうなっているか、現在の傾向が続くと今後どうなるか、利益が増えない原因やおカネが貯まらない原因はどこにあるか、銀行からはどういった評価をされそうなのか、といったことを決算書や試算表から読み取り、会社が今どういった経営状態にあるのか誰よりも詳しく把握しておく必要があります。また、他部門からあがってきた請求書や納品書にも目を光らせて、現場に異常や不正が起こったときにいち早く気づけるような意識を持つことに大切です。

(2)判断材料を提示する
会社の経営は大小様々な判断の積み重ねで成り立っています。新商品をいくらで売るのか、材料をいくらで買うのか、新規開拓はどれくらい必要か、どんな人材を何名確保するのか…、こうした判断を個々の現場に任せてしまうと、思い込みや勘違いから誤った判断をすることがしばしばあります。例えば営業部門でいえば、リベートの支払いや輸送費が高くて儲からない得意先なのに大手だからというだけで積極的に販売していたとか、製造時間が短くて時間当りの利幅が大きい商品なのに原料費が高いからという理由であまり販売していないかった、といったことが考えられます。普段から経営数字に接している経理部門は、現場にこうした誤った判断をさせないために事実や記録に基づいた客観的な判断材料を率先して提示する必要があります。

(3)リアリストに徹する
組織が一丸となるためには共通の目標や計画が不可欠です。会社の場合はそれらの目標や計画を決算書の数字と連動させるべきですが、数字に慣れていない人だけで考えると、精神論で目標が決まったり、好き嫌いで結論が出ることがよくあります。例えば赤字を解消する方法を議論する会議で、具体策も考えないままその場の雰囲気で「売上を倍増しよう!」「経費を一律5%カットしよう」などというおおざっぱな結論が出ることがよくあります。このような場合に「どんなお客様に、いくらの商品をいくつ売るつもりなのか」「人件費や税金・利息などの一律カットが難しい項目はどうするのか」のような具体的なことを追求するのも経理担当者の役割です。理詰めで追い込まれると感情的になる人もいるかもしれませんが、非現実的な考えを改めてもらうためにリアリストに徹しましょう。

(4)現場の意識を変える
せっかく立てた目標や計画も誰も取り組まなければまったく意味がありません。目標を達成するためには社員全員がヤル気を出して責任を持って計画を実行する必要があります。社員のヤル気が出ない原因は、取り組む理由を知らない、目標のイメージがわかない、効果が出ているか分からない、などが考えられます。会社の現状を数字で何度も説明して、金額目標をイメージしやすい数値目標に置き換え、毎月実績を公表する、といったサポートによって現場の意識を変えるのも経理担当者の大切な役割です。

(5)問題解決能力
不安定な経済状況のなかで確実に利益を出すためには、ヒラメキやヤマ勘に頼った判断、ノリや勢いに任せた行動、ドンブリ勘定などをやめて、合理的な判断、計画に基づいた行動、正確な経理などに改める必要があります。そのための仕組みづくりを設計するような問題解決能力こそが、これからの経理担当者に求められると私は考えています。

著者プロフィール(平井満広氏)

税理士。1975年埼玉生まれ、山口・群馬・東京育ち。98年日本大学文理学部心理学科卒業。中央競馬ピーアールセンター(JRA外郭団体)、落合会計事務所、KCCSマネジメントコンサルティング(アメーバ経営/京セラグループ)勤務後、08年に独立開業。「会計を通じて人を幸せにする」をモットーに中小企業向けの業績改善・経営指導に力を入れている。研修講師『キャッシュフロー重視の財務体質改善講座』(中小企業大学校)、『月次決算の活かし方』(エヌ・ジェイ出版販売)、執筆記事『バンカーのための数値力強化メソッド』(バンクビジネス)『減価償却の改正内容と経理・税務のポイント』(企業実務)『ひとり経理の「困った!」「弱った!」解消セミナー』(経理ウーマン)など。

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