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第16回 15年08月更新

徹夜勤務や遅刻をした日の残業代の支払い

給与計算を行う上では、労働基準法の時間の考え方を正しく理解していないと、法律を逸脱した給与計算になってしまうことがあります。
今回は、計算を誤りやすい「徹夜勤務での割増賃金の計算方法」と「遅刻をした日に残業をしたときの残業代の考え方」を見ていきたいと思います。
この内容は応用編となりますので、残業時間の基本的な考え方は、日本の人事部バックナンバー第4回を見てください。労働基準法にあまり自信がない方は、基本的な考え方を読んでから、今回の内容を確認していただくとより一層理解が深まると思います。

労働基準法での1日の考え方

労働基準法での1週間とは、就業規則その他に特別の定めがない限り、「日曜日から土曜日まで」のいわゆる暦週が1週間とされます。また、1日とは、「午前零時から午後12時まで」のいわゆる暦日のことを指します。
ただし、継続した勤務が午後12時を超えて2暦日にわたる場合には、1勤務として取り扱うことになっています。たとえば、午後6時が終業時間の場合、残業をして夜12時を超えたとしても、前の日の勤務が続いていると考えます。

これを踏まえて、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えた場合には、時間外勤務労働として割増賃金の支払いが義務付けられています。また、夜10時~朝5時までの勤務については、深夜労働としてこちらも割増賃金の支払いが義務付けられています。

徹夜勤務での残業代の計算方法は?

実務で意外と給与計算に誤りがおきるのは、徹夜勤務をした際の残業代の計算方法です。前述した基準に沿って、徹夜の連続勤務を行った場合の残業代の計算方法を見ていきましょう。
今回は計算がわかりやすいように、月給ではなく、時給1,000円、始業時間9時、終業時間18時、休憩1時間の実働8時間の社員がいたと仮定します。

<1日目>
9:00~18:00(休憩1時間)
通常の勤務になるため、この時間の時給は1,000円となります。

18:00~22:00
時間外勤務となるため、この間の時給は1,250円となります。(1,000円×1.25)

22:00~24:00
時間外勤務でかつ深夜勤務手当の支払いも生じるため、この間の時給は1,500円となります。(1,000円×1.5)

<2日目>
0:00~5:00
連続勤務なので、日付が変わったとしても、前の日の勤務が続いていると考え、時間外かつ深夜勤務として、この間の時給は1,500円となります。(1,000円×1.5)

5:00~9:00
深夜勤務ではなくなりますが、残業はそのまま継続されているので、この間の時給は1,250円となります。(1,000円×1.25)

9:00~18:00
2日目の9時からは、翌日の通常の勤務が始まったものとして扱われるため、徹夜で前日から勤務が続いていたとしても、時給は1,000円に戻ります。

これらの考え方は、月給者であっても同じです。徹夜勤務でそのまま翌日の勤務をする場合は、このように一定の割合で支払い続けていれば良いのではなく、時間帯によって割増率が変わっていくことに注意が必要です。

遅刻した場合でも割増賃金の支払いをする必要があるか?

たとえば、午前9時始業、午後6時終業、休憩1時間で所定労働時間が8時間の会社があったとします。この会社で1時間遅刻をして午前10時に出社し、午後8時まで勤務した社員がいた場合はどのような取扱いをすれば良いでしょうか?

前述したように、1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えた場合には、時間外勤務労働として割増賃金の支払いが義務付けられています。
このケースの場合は、午後7時までは実質的な労働時間が8時間以内のため、この時間帯は割増賃金の支払いの義務は生じず、午後7時から8時までの1時間だけが割増賃金の支払いの対象となります。つまり、当初から午前10時から午後7時までの就業時間であったと考えるとわかりやすいでしょう。

実務上は、次のどちらかの方法で給与の精算をおこないます。
1)当初1時間は遅刻として給与カットして、1時間は割増なしの賃金支払い、1時間を割増ありの残業代の支払いをする方法
2)当初から午前10時から午後7時までの就業時間であったと考え、遅刻のカットはせずに、1時間の残業代のみを支払う方法

ただし、2)の方法をとる場合でも、遅刻は人事考課に反映している会社も多いので、回数だけはカウントしておいた方が良いようです。

なお、時間外手当の割増については、法定労働時間を超えなければ支払いの義務は生じませんが、深夜勤務については22時から翌朝5時の間に勤務した場合は、必ず支払わなければなりません。そのため、遅刻をしたからその分を繰り下げるという考え方はできません。

給与ソフトを使用して給与計算をしている場合でも、設定が法律に照らして正しくなされていない場合や、入力する前の時間のカウント方法が誤っていれば、正しい給与計算はできません。
給与計算を担当されている方は、自分の知識や現在の給与計算の方法が労働基準法に合致しているのかを、あらためて確認しておきましょう。

 

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著者プロフィール(川島孝一氏)

川島孝一氏が「日本の人事部」に寄稿したコラムのバックナンバーを掲載します

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