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第30回 16年09月更新

従業員が死亡したとき

あまり起きて欲しくないケースですが、在職中の従業員が不幸にも亡くなってしまうことがあります。このような場合は、給与計算を含め、実務的にさまざまな対応が必要になります。

しかし、あまり起きないケースなので、ほとんどの実務担当者も遭遇したことがないのではないでしょうか。

今回は、従業員が亡くなってしまった際の会社が行わなければならない実務を紹介していきます。

健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料

従業員が死亡した場合でも、社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)については、被保険者資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までの分を納める必要があります。

この場合であっても、被保険者の資格の喪失日は死亡した日の翌日となります。

健康保険、介護保険、厚生年金保険については、死亡の場合も通常の退職と同じ取り扱いと思っていただければ良いでしょう。

給与の締日や支払日によって取り扱いが変わってきますが、月の途中で死亡した場合の社会保険料控除については注意が必要です。

具体例については、以下を参照してください。

<具体例1> 10月31日に死亡した場合
喪失日は11月1日となり、喪失した月の前月である10月までの保険料を徴収する。

<具体例2> 10月30日に死亡した場合
喪失日は10月31日となり、喪失した月の前月である9月までの保険料を徴収する。

雇用保険料

雇用保険料については、給与総額に保険料率を乗じて保険料額を決定し、控除することになります。

こちらも、死亡の場合であっても通常の退職と同じ取り扱いであり、死亡日までの賃金全額に対して保険料を計算します。

所得税

通常の退職者と異なるのが、所得税の計算です。

所得税は、死亡した従業員の給与で、死亡後に支給期が到来するものについては、所得税を控除する必要はありません。

これは、死亡日後に支給期が到来する賃金は、死亡した従業員の「給与所得」ではなく、相続税の対象となる「相続財産」とみなされるからです。

よく誤解があるのが、賃金の締日との関係です。ここでいう「支給期」とは、通常の賃金の支払日を指します。

たとえば、末日締翌月25日支払いの給与であれば、この「翌月25日」が支給期にあたり、この日が死亡日の前後いずれかであるかを判断します。

仮に、8月15日に死亡した場合だと、7月の1ヶ月分と8月1日~15日までの給与がそれぞれ8月25日と9月25日に支払われます(支給期)。この2回は、いずれも死亡日後に支給期が到来しているので、どちらも相続財産です。

反対に、7月25日支給の給与が何らかの事情で支払いが遅れ、死亡日の8月15日より後に支払われたとしても、支給期(7月25日)は死亡日前なので通常の給与所得とみなされます。

なお、従業員が死亡した場合は、年の途中でも年末調整を行う必要があります。

この場合でも、死亡後に受け取る給与については相続財産になるため、年末調整の対象外となり、その分を収入から除外して計算します。

先ほどの例ですと、7月25日支給の給与までを年間所得として、年末調整を行うことになります。

また、従業員が死亡した場合には、その相続人が死亡した従業員の確定申告(いわゆる「準確定申告」)を行う場合があります。そのため、年末調整の計算後は、被相続人の所得金額を確認するための資料として、相続人に源泉徴収票を交付してください。

源泉徴収票には、「死亡退職」欄に「○」を表示することを忘れないようにしましょう。

給与の振込先について

現在では、給与を銀行振込により支払う会社がほとんどだと思います。

しかし、従業員が死亡した場合は、給与振込口座も含め、死亡者の銀行口座は凍結されてしまい、振り込みもできなくなります。

実務的な対応方法としては、相続人の銀行口座に給与を振り込む、あるいは現金で手渡すといった方法がとられます。

相続人に給与を渡す場合は、相続人でない無関係な人に誤って支払わないように、身元の確認ができる証明書等を事前に確認したほうが良いでしょう。

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在職中の従業員が亡くなってしまうと、ただ単純に死亡日までの給与を支払えば良いのではありません。あまり深く考えずに、通常の従業員と同様に給与支払いを行ってしまい、後々にトラブルになってしまうケースもあるようです。

従業員が死亡したときは、取り扱いが異なることを、事前に知識としてインプットしておきましょう。

 

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著者プロフィール(川島孝一氏)

川島孝一氏が「日本の人事部」に寄稿したコラムのバックナンバーを掲載します

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