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第101回 21年10月更新

休憩時間のルール

1日の労働時間の長さによって与えなければならない休憩時間も変わることは、すでに良くご存じだと思います。一方で、「休憩は一斉に与えなければならない」という点については、十分な理解を得られていないこともあるようです。
サービス業のように交代で休憩をとる会社や、部署ごとに休憩時間が違う場合、フレックスタイム制を採用していて休憩時間も自由に取得させているような場合など、全員一斉に休憩をとっていない会社は結構あります。
法律上は、適用除外の事業を除き、これらの複数の休憩時間が存在する場合は、一斉休憩の適用除外に関する労使協定を締結する必要があります。今回は、労働基準法で定める休憩について説明していきたいと思います。

労働基準法第34条について

休憩については、労働基準法第34条で定められています。条文は、以下の3項目で構成されています。

① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

まとめると、休憩時間は、原則として ①労働時間の途中で、②一斉に与え、③自由に利用させなければならない、ということになります。この休憩時間は、労働者が労働から離れることを保障されている時間をいい、単に作業に従事しない手待時間は休憩時間にはなりません。

休憩時間の長さについて

使用者が従業員に付与する休憩時間は、労働時間の長さによって変わってきます。法律上は、以下の3パターンに分けることができます。

① 労働時間が6時間までのとき      :付与しなくてもよい
② 労働時間が6時間を超え8時間までのとき:少なくとも45分を与える
③ 労働時間が8時間を超えるとき     :少なくとも1時間を与える

例えば、所定労働時間が1日8時間の会社で、4時間残業した場合の労働時間の合計は12時間となります。このような場合であっても、少なくとも1時間の休憩を付与していれば、労働基準法違反とはなりません。しかし、長時間の労働になると、集中力の低下などの理由で効率が落ちたり、業務災害が発生しやすくなるということが考えられます。長時間の残業をする場合は、残業に取り掛かる前に15分の休憩をとるといったルールを就業規則に定めておいた方が良いでしょう。
しばしば見られるのが、1日の所定労働時間が7.5時間で、休憩を45分に設定しているケースです。残業がなければ45分の休憩時間で適法ですが、仮に1時間残業したとすると労働時間が8時間を超えてしまいます。この場合は、休憩が45分だけのままだと、休憩時間が不足しており違法になります。このような会社では、30分を超える残業をする場合は、その時点で15分の休憩をとってから改めて業務に戻るといったルールを定める必要があります。
なお、休憩時間は分割して付与することも可能です。法律上は、15分の休憩を4回設定していれば違法ではありませんが、このように分割された休憩時間が短い場合、休憩時間の自由利用が事実上制限され、労働者が労働から完全に解放されているとは評価されない可能性があります。休憩時間の分割を行う場合には、この点に注意しましょう。

休憩の一斉付与について

休憩は、全労働者に一斉に付与することが原則です。しかし前述したように、仕事の内容によっては一斉に付与することができない場合があると思います。そのような場合は、労使協定を締結することにより、一斉付与は適用除外となります。
また、以下の業種は、労使協定を締結しなくても、一斉付与の原則は適用されないことになっています。

運輸交通業、商業、金融 広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署

休憩の自由利用について

休憩時間は自由に利用することができます。ただ、事業場の規律保持上必要な制限(ルール)を設けることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えないとされています。休憩の自由利用についても、業種によっては適用除外となります。
こちらの適用除外の対象者は以下の通りです。

① 警察官、消防吏員、常勤の消防団員及び児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者
② 乳児院、児童養護施設、障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者(所轄労働基準監督署長の許可が必要)
③ 児童福祉法に規定する居宅訪問型保育事業において保育を行う家庭的保育者

休憩の一斉付与の労使協定は忘れがちですが、労使締結をしないまま休憩時間を分散していると、労働基準監督署の調査等があった場合に是正勧告の対象となります。休憩の一斉付与を行うことが、業務の運営上支障がある場合は、適用除外の業種を除いて必ず労使協定を締結するようにしましょう。
労使協定については、ひな形を作成しましたので参考にしてください。

 

 

一斉休憩の適用除外に関する労使協定書

株式会社〇〇〇〇と労働者代表〇〇〇〇は、休憩時間について、下記のとおり協定する。

1 〇〇〇〇の業務に従事する社員については、班別交替で休憩時間を与えるものとする。

2 各班の休憩時間は、次に定めるとおりとする。

第1班:11時~12時
第2班:12時~13時
第3班:13時~14時

3 出張、外回りなどによる外勤のため、本人の班の時間帯に休憩時間を取得できない場合には、所属長が事前に指定して他の班の休憩時間の時間帯を適用する。

4 本協定は 令和〇年〇月〇日から効力を発する。

使用者職氏名 代表取締役 〇〇〇〇

  労働者代表  従業員代表   〇〇〇〇

 

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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