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第36回 16年04月更新

本年中に実施が義務付けられたストレスチェック制度 ~その2実施方法編~

前回で紹介したように、常時50人以上の労働者を雇用している事業所がある事業者は、1年に1回ストレスチェックを実施する必要があります。
今回は、もう少し具体的にストレスチェックの実施方法等についてみていきます。

<ストレスチェックの検査項目について>

労働者のストレスの状況を把握し、未然にメンタル不全等を防ぐ目的で「ストレスチェック制度」は導入されることになりました。それでは、どのように労働者のストレスの状況を把握するのでしょうか。
ストレスチェックは、次の3つの検査項目が網羅されている調査票を使って検査を行い、調査票の回答内容からストレスの度合いを数値化して、事業所における高ストレス者を選定するという方法をとります。

1) 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
2) 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
3) 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

これらの具体的な検査項目と数値化をする方法については、次回さらに詳しくみることにします。

<事業所がストレスチェックを行う前の準備について>

常時50人以上の労働者を雇用している事業所は、毎年ストレスチェックを行う必要があります。実施するのは医師や保健師になりますが、円滑なストレスチェックを行うために会社の人事担当者等を「実施事務従事者」として選任することができます。
この実施事務従事者は、社内で医師や保健師を補助する仕事を行います。医師や保健師はほとんどの場合で外部委託になると思いますので、ストレスチェック制度が事業所でしっかりと運用できるか否かは、この実施事務従事者にかかっていると言っても過言ではありません。
そのため、実施事務従事者は制度をしっかり理解できる人物を選任する必要があります。

<ストレスチェックの社員への案内について>

ストレスチェック制度は常時50人以上の労働者を雇用している事業所は導入する義務がありますが、労働者にはこのストレスチェック制度を受ける義務はありません。あくまでも労働者の自由意思によって、ストレスチェックを受けるか否かの意思決定がされるものです。
しかし、メンタル不全を未然に防ぐことがストレスチェックの目的なので、せっかく導入するのであれば、できるだけ多くの従業員に参加してもらいたいところです。そのため、従業員に対する案内は、ストレスチェックを勧奨するような内容にすると良いと思います。
厚生労働省が「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度 実施マニュアル」にて案内文を公表しております。加筆修正したものを紹介します。

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平成 年 月 日
社員各位
人事部

ストレスチェック実施のお知らせ

平素より会社の健康・衛生管理施策にご協力いただき、誠にありがとうございます。
今般、セルフケア(一人ひとりが行う自身の健康管理)のさらなる充実化及び働きやすい職場環境の形成を目的に、労働安全衛生法に基づき、産業医○○を実施者としたストレスチェックを行います。
ストレスチェックの受検は強制されるものではありませんが、皆様の潜在的なストレスの発見やストレスが少ない職場環境を作るためにも多くの皆様に参加していただきたいと思います。
ご多忙の中恐縮ではありますが、上記目的を鑑みて、期間内に受けるようお願い致します。

1.実施期間 : 20**年**月** 日(火)~**月**日(火)
* **月**日(火)17:00 までに回答をお願いします。
2.対 象 者 : 20**年**月1 日時点で就業している社員
* 本メールが届いた方は対象ですので、受検をお願いします。
3.質 問 数 : **問 所要時間:約**分~**分/回(就業時間の取扱いとなります)
4.実施方法 : 原則としてWeb にて実施
利用者ガイドあるいはURL**********を参照下さい。
* 利用者ガイド→ こちら
実施結果は自身で閲覧・印刷することが可能ですので、自己管理ツールとしてご活用下さい。
5.結果の取り扱いについて
ご回答いただいた個人のストレスチェック結果は、個人の健康管理を目的として、
産業医・保健師のみが確認し、必要に応じて面接推
奨のご連絡を個別に差し上げます。
ストレスチェックの結果の開示に個別に同意した方以外の結果は、産業医・保健師以外の外部(上司・人事部門等)に漏れることは、一切ありませんので安心して参加ください。
なお、職場全体のストレス傾向の把握を目的に、個人が特定できないようストレスチェック結果を加工し、分析及び報告書作成に使用します。

ご不明な点がありましたら○○(内線****)まで、ご遠慮なくご連絡下さい。

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<定期健康診断と同時に実施する場合の注意点について>

定期健康診断も1年に1回、事業者が行う必要があります。そうであるならば、ストレスチェックと定期健康診断は同時に行った方が、効率が良さそうに感じます。
しかし、定期健康診断とストレスチェックは、労働者の受診の義務と会社の結果の把握方法が異なります。

厚生労働省は、ストレスチェック指針において、「事業者は、ストレスチェック及び法第66 条第1項の規定による健康診断の自覚症状及び他覚症状の有無の検査(以下「問診」という。)を同時に実施することができるものとする。ただし、この場合において、事業者は、ストレスチェックの調査票及び健康診断の問診票を区別する等、労働者が受診・受検義務の有無及び結果の取扱いがそれぞれ異なることを認識できるよう必要な措置を講じなければならないものとする。」と定めています。

この指針をもとに、定期健康診断とストレスチェックを同時に行なう場合は、次の3つは必ず守らなければなりません。

1) ストレスチェックの調査票と一般定期健康診断の問診票を別葉にする。
2) 記入後、ストレスチェックにかかる部分と一般定期健康診断にかかる部分は切り離す。
3)ICTを用いる場合は、一連の設問であっても、ストレスチェックにかかる部分と一般定期健康診断にかかる部分の区別を明らかにするなど、受検者がストレスチェックの調査票と一般定期健康診断の問診票のそれぞれの目的や取扱いの違いを認識できるようにする。

さらに、ストレスチェック制度の部分については、受検は義務ではないこと、個人の検査結果は本人の同意がなければ会社に開示されないことを全従業員に理解してもらわなければなりません。
定期健康診断と同時に行なう予定の事業者は、慎重に準備をすすめなければなりません。

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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