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第23回 19年07月更新

労働条件通知書・雇用契約書の電子化を企業はどう活用するか

従業員を雇い入れる時、会社は本人に労働条件を明示する義務があります。これまで、この明示方法は労働基準法施行規則により「書面の交付」に限定されていましたが、2019年4月からはFAX、メール、SNS等の電子的な交付でも可能になりました。

給与明細書や年末調整の申告などにおいて、Web画面などからの対応が一般的になっている中、労働条件の明示が書面に限られていたというのも、少し違和感のある話でした。特に、多くのパート・アルバイトを雇用する企業においては、契約更新時にも労働条件通知書の明示や労働契約書を取り交わす業務が発生するため、書面での対応は大変煩雑な業務になります。今回の改正によりこれらが電子的な方法で完結できることは労使双方にとってメリットがあることでしょう。

もともと、労働基準法で義務付けられているのは「労働条件の明示」であり、必要な労働条件の内容が記載された書面(労働条件通知書)を本人に交付することで足りるものです。しかし、企業としては双方の合意による労働契約であることを明確にするため、雇用契約書の形式を採用している企業も多くあります。

労働条件通知書、雇用契約書のいずれの形式にしても、これまでは完全ペーパレス化にはできない業務でしたが、2019年4月からは、法的にそれが可能となっているのです。

今回の改正の内容

電子的な交付が可能となりましたが、これは労働者が希望した場合に限るという点は注意が必要です。労働者の合意を得た上で、以下のような条件のもと電子的な交付が可能となります。

✔  原則、書面の交付が必要です。
✔  ただし、労働者が希望した場合は、以下のような方法で明示することができるようになります。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます(PDF等の添付ファイル形式を推奨)。なお、労働者の個人的な事情によらず、一般的な状態であれば、出力して書面を作成できると認められます。

①    FAX

②    Eメールや、Yahoo!メール、Gmail等のWebメールサービス

③    LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能等

※  第三者に閲覧させることを目的としている労働者のブログや個人のホームページへの書き込みによる明示は認められません。

厚生労働省の事業主向けリーフレットから抜粋

企業はどのように活用すべきか

パート・アルバイトが多い大企業を想定した場合、この改正をどのように人事総務部門の生産性向上につなげるべきでしょうか。

メールの添付ファイルで送付することも可能でしょうが、4月などの契約更新が多い時期などに個別に送信することは、手間や送付ミスなどを考えても現実的ではありません。また、個人のメールアドレスを収集する必要もでてきます。

やはり、給与明細照会や勤怠管理などで多く採用されてきているように、個人のスマートフォンやPCからアクセスできるようにし、従業員が自ら確認の上、PDFの雇用契約書等をダウンロードできるような仕組みが効果的だと考えます。同時に労働契約としての本人の同意についても電子契約の仕組みで記録に残すことができれば尚よいでしょう。

厚労省のリーフレットでは、本人にきちんと到達したかを確認するようにとありますので、多くの従業員を扱う企業においては、単なる電子メールやSNSではなく、上記のような仕組みの導入が業務の効率化には近道と考えます。

今回の電子化を認める改正は、業務効率化を考慮したものです。企業としても上手く活用できるよう検討してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール(野田宏明氏)

ITS社会保険労務士法人 代表
社会保険労務士。情報処理技術者(ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、アプリケー ションエンジニア)。
メーカー系IT企業にて人事業務のシステムコンサルタントに従事。大規模から中小規模まで多くの企業に対し、人事業務における業務コンサルティングからシステムの導入・運用保守まで一貫した対応を多数実施する。
その後、社会保険労務士として現職に至る。労務相談や教育講師の他、電子申請、給与計算などの領域にてITを活用した効率化をご提案する社会保険労務士として活躍中。
このコラムでは、社労士とシステムコンサルの視点にて、労務管理の様々なテーマを取り上げていきたいと思います。
http://www.it-sharoushi.jp/

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