平井満広
第01回  投稿:2013.10.06 / 最終更新:2018.11.09

数値力を身につけよう!

2020年オリンピックの東京開催が決まり日本全体が明るいムードに包まれています。私も今年産まれたばかりの娘(その頃は小学校一年生ですね)を連れて家族でオリンピック観戦できたら楽しいだろうなあと今からワクワクしています。

一方で2013年3月末で金融円滑化法の期限が切れ、さらに2014年4月から消費税増税が見込まれており、経営を取り巻く環境は厳しさを増す可能性があります。
どんな状況下でも確実に利益を出し続けるためには、ヒラメキやヤマ勘に頼った判断、ノリや勢いに任せた行動といった“場当たり経営”を反省し、情報に基づいた合理的な判断、アクションプランに基づいた行動など“堅実な経営”に改めることが求められます。例えば、新商品の価格は過去の経験則だけでなくコストや利益も考慮して決める、製品の生産量は現場任せでなく適正在庫数で計画的に管理する、といった取り組みが挙げられます。こうした取り組みを徹底するためには経営者や従業員一人ひとりが高い採算意識を持つ必要がありますが、取り組みをサポートするため経理やシステム担当者も単にデータの入力や管理をする「作業型の経理」から脱却し、会社の実態を定量的にとらえて判断や行動に必要な情報を分かりやすく経営者や従業員に提供する「問題解決型の経理」を実践する必要があります。

そこで経理やシステム担当者に求められるのが「数値力」です。「数値力」とは計算が早いとか暗算が得意というモノではなく、数値の構成要素を整理するチカラのことです。例えば新聞などで“年商6,000億円”という記事を見たら「ウチの会社の○倍の売上だ。すごいなあ」とただ感心するのではなく、「年中無休なら1日の売上は約16億円」、「全国3,200店舗ならば1店舗1日50万円」、「客単価500円なら1店舗1日5,000人の来店客数」というように、細かく分けて考えられるチカラのことです。特別な才能がなくても心がけひとつですぐに力がつきます。ちなみに数字を細分化する際のコツとしては①月、日、時間など期間を「分割」してみる②店舗、商品、事業などの種類に「分類」してみる③単価と人数や数量などに「分解」してみる、の3つです。

小売業の事例で考えてみましょう。
1ヶ月の売上が180万円、前年同月の売上は200万円だったとします。
単純に数字だけをみると「10%も売り上げが下がって景気が悪いなあ」と暗い気持ちになりますが「数値力」はここからが本番です。はじめに売上を「平均客単価」と「購入人数」に分けます。

前年売上200万円=@800×2,500人
当年売上180万円=@750×2,400人

このように売上を単価と数量に分解することで「平均単価50円マイナス」、「購入人数100人マイナス」と売上が下がった原因を整理することができます。さらに購入人数を「固定客数」と「1ヶ月の来店頻度」とに分解すると次にようになりました。
前年来店客数2,500人=500人×5日/月
当年来店客数2,400人=800人×3日/月
こうしてみると「固定客数は300人増えた」ものの、「1ヶ月の来店頻度は2日落ち込んだ」ことが分かります。上記をまとめると以下のようになります。
前年売上200万円=@800×500人×5日/月
当年売上180万円=@750×800人×3日/月
このように売上の構成要素を分解することで、「客単価を50円下げて新規の固定客を300名獲得したものの、来店頻度が2日/月落ちこんだため、売上が10%マイナスになった」と売上が下がった原因を整理することができます。こうして数字を細かく分解して問題点を絞り込むことができれば「曜日別のセールを企画してお客様を飽きさせないように工夫しよう!」といった前向きなアイディアも浮かんできそうです。最初の頃の暗い気持ちもどこかへ吹き飛んでしまいますね。このように「数値力」を身につけることで、会社の問題点を絞り込み改善の方向性を示すことができます。経営者の有能な右腕を目指す経理やシステム担当者にとって「数値力」は欠かせないスキルといえます。

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