税制改正
みなさんあけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年12月12日、与党から平成26年度の税制改正大綱が決定されました。税制改正大綱とは税制改正の原案のようなもので、通常は毎年12月に発表されます。その後、大綱をベースに法案が作成され、翌年3月の国会で法律になるのが一般的な流れとなっています。今回の改正案は、景気回復の下支えを意識してか、復興特別法人税の前倒し廃止、企業の投資行動や消費活性化といった、会社の税負担を軽減する項目が多かったようです。
今回は会社に関係する税制改正案を中心にご紹介します。
(1) 復興特別法人税の1年前倒し廃止
東日本大震災からの復興に必要な資源を確保するために、法人税額に10%加算されていた復興特別法人税が1年前倒しで廃止されます。当初は平成24年4月1日以降に開始する事業年度から3年間課税される予定でしたが、今回の改正で課税期間が2年間に短縮されました。3月決算の会社であれば平成26年3月期で終わりになります。ただし、同じ目的で創設された復興特別所得税(個人課税)は当初からの改正はなく、平成49年まで課税される予定です。会社が受取る利子や配当からも引き続き所得税と復興特別所得税が源泉徴収されるので経理担当者は確定申告のさい税額控除額に注意しましょう。なお、平成26年1月から会社が受取る上場株配当の源泉徴収税率は15.315%(従来は7.147%)になります。
(2) 生産性向上設備投資促進税制
生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置が創設されました。要件を満たせば設備投資をした年に投資額全額を経費(100%即時償却)とすることができます。
① 対象設備
対象となるのは以下の設備投資で②「設備の要件」を満たすものです
・機械装置…1台160万円以上
・工具器具備品…合計120万円以上
・建物…1件120万円以上
・建物付属設備…合計120万円以上
・ソフトウェア…合計70万円以上
② 設備の要件
以下のいずれかとなります。
A:先端設備
旧モデルと比べ生産性が年平均1%以上向上する最新モデルの設備で次のものです。
各設備を担当する工業会等がメーカーから申請を受けて確認します。
・機械装置…限定なし
・工具…ロール
・器具備品…冷凍機付陳列棚、冷房用機器、サーバー(*)など
・建物…断熱材、断熱窓
・建物付属設備…ボイラー、LED照明など
・ソフトウェア…設備の稼働状況等の情報を収集・分析・指示する機能のあるもの(*)
※(*)は中小企業のみ
B:生産ラインやオペレーションの刷新・改善
会社が作成する設備投資計画上の投資収益率が15%以上(*中小企業は5%以上)の設備です。
設備投資計画を税理士等がチェックし、経済産業局が確認します。
個々の設備等の生産性向上、最新モデルの要件を満たす必要はありません。
③対象法人
青色申告書を提出する法人
④適用期間
産業競争力強化法の施行日(平成26年1月の見込)から平成29年3月31日までの取得等
⑤税制措置
A:産業競争力強化法施行日から平成28年3月31日まで
100%即時償却または5%(建物等は3%)の税額控除の選択適用
B:平成28年4月1日から平成29年3月31日まで
50%(建物等は25%)特別償却または4%(建物等は2%)の税額控除の選択適用
(3)交際費等の非課税対象の拡充
交際費等とは取引先を接待するための高額な飲食やゴルフプレー等にかかる支出をいいます。資本金が1億円を超えるような大企業はこれまで交際費等を税金計算上の経費とすることは認められませんでしたが、企業の支出による消費活性化の観点から平成26年4月より交際費のうち50%が経費として認められます。資本金1億円以下の中小企業は年800万円の交際費等が全額経費として認められていますが、改正後は新しい制度と従来の制度との選択適用ができます。現実的にはあまりないと思われますが、交際費等を年1,600万円以上使うような中小企業は新しい制度を選択した方が有利となります。
せっかくの減税措置なので経理担当者は早めに準備をして上手に活用したいですね。