【人事評価制度】評価方法の重要性や適切な評価を行うためのポイントを解説
目次
組織にとってさまざまな影響がある人事評価。
従業員のモチベーション維持だけではなく、新たな人材の獲得や会社の業績そのものにも大きく影響する重要な要素です。
しかし、従業員の入社・退社が流動的であったり、会社の業績や方針などが変更されることもあり、満足のいく人事評価制度を運用できている会社は少ないのが現状です。
本記事では、人事評価制度における評価方法の概要や種類、人事評価のメリット・デメリットなどについて解説していきます。
会社全体を活性化させる人事評価を実現したいとお考えの方は、是非参考にしてください。
人事評価とは何か
人事評価とは、企業や組織において従業員の業績や能力を定量的・定性的な観点から評価する方法のことです。
人事評価制度は、従業員のモチベーションやキャリアアップに大きな影響を与える一方、制度設計が不完全だったり、誤った方法で実施したりすると、逆効果になるため、組織にとっては非常に重要な要素のひとつです。
評価方法にはさまざまな種類があります。
たとえば、業績目標に対する達成度や稼働率などの具体的な数値を基に評価する方法、上司や同僚からのフィードバックに基づいて評価する方法、業務内容に応じて役割を定義し、その役割を果たすことができたかどうかを評価する方法などがあります。
人事評価制度・評価方法が重要な3つの理由
人事評価の重要性は多岐にわたります。
ここでは特に影響が大きい3つの理由について解説します。
1.従業員のモチベーション・信頼感を左右する
従業員は自分の業績が評価されることでモチベーションが高まり、逆に不当な評価を受けたり、そもそも努力したことが評価対象とされなかったりすると大きくモチベーションが下がります。
非常に多い失敗例として、会社が求める成果と従業員の努力のズレが挙げられます。
従業員が良かれと思って独自に努力をしたとしても、会社が求める役割や成果とズレていては高評価を付けることはできません。
このような場合に従業員は「自分の努力を評価してくれない」と感じてしまい、モチベーションの低下や離職に発展していきます。
会社からの要求や期待する成果を従業員に正しく伝えるためにも、人事評価制度や評価方法は非常に重要な要素です。
2.優秀な人材の定着・獲得に影響する
人事評価が適切に行われていない環境では、優秀な人材が離職する可能性が高くなります。また、社外の優秀な人材も転職する会社を選ぶ際に人事評価制度を重視する傾向があります。
なぜなら、優秀な人材ほど自分の業績が適切に評価される環境で働きたいと考えるためです。
企業が高い業績を実現するためには、優秀な人材の定着と獲得が不可欠です。
このような人材にやり甲斐や満足感を感じてもらう環境づくりをするためにも、人事評価制度や評価方法は重要な役割を担っています。
3.直接的に業績に影響する
人事評価は、業績にも大きな影響を与えます。
企業の業績は従業員一人ひとりの成果の結集によって実現されますが、人事評価が適切に行われていない会社の従業員は自身の役割を認識しづらいため、パフォーマンスが十分に発揮できず、成果にバラつきが出てしまいます。
従業員の認識や方向性を統一するためには、要求する役割、果たすべきミッションを明確にしたうえで業務に臨んでもらうこと、人事評価を通して自分の弱点や課題を把握し、改善に取り組むPDCAサイクルが不可欠です。
これらの継続的な取り組みが従業員の能力向上につながり、直接的に業績向上にもつながっていきます。
代表的な評価方法と特徴
評価方法には完璧なものは存在せず、会社の状況や時代の変化に合わせて常に試行錯誤が繰り返されています。
ここでは、一定の成果が確認された代表的な評価方法を5つご紹介します。
評価方法1:定性的評価
定性的評価とは、業務の質的な観点から評価を行う方法です。
職場環境や人間関係などのフィードバックを得ることができるというメリットがある一方で、主観的な要素が強く、評価者によって結果がブレやすいデメリットもあります。
評価方法2:定量的評価
定量的評価とは、数値データに基づいて評価を行う方法です。
成果物の数量や品質、業績目標の達成度などを数値化して評価基準とします。
客観性が高く評価基準が明確なため、公正な評価になりやすいというメリットがあります。
評価方法3:360度評価
360度評価とは、上司・部下・同僚など、職場内外の人々が評価をする方法です。
自己評価と一緒に行われるのが一般的で、様々な視点からのフィードバックを得ることができます。
ただし、評価者の偏りや評価基準の統一が難しいうえ、自分の評価を気にして相手への評価を甘くしてしまうなどの課題があり、運用難易度は高いといえます。
評価方法4:強制分布評価
強制分布法とは、「S評価は10%、A評価は20%…」といったように、グループや部門毎にあらかじめ評価結果の分布を決めておき、その分布に基づいて被評価者を割り振る方法です。
従業員全員をランク付けするため、成績優秀者の評価が大雑把になりやすく、モチベーション低下の要因になることがあります。
評価方法5:結果主義評価
結果主義評価とは、達成した成果に対して評価を行う方法で、設定した目標を達成できたかどうかで評価します。
シンプルでわかりやすい評価方法である反面、目標を数値化しにくいバックヤード職などには相性が悪いという側面があります。
また、チームワークや各人の努力など、目に見えない部分が評価されにくいという課題もあります。
人事評価のメリットとデメリット
評価方法の具体例をまとめると、人事評価には以下のメリット・デメリットが内包されています。
人事評価のメリット
- 社員のモチベーション向上
- 目標達成意識の醸成
- 社員のスキルアップ促進
- 優秀な人材の定着、獲得
人事評価のデメリット
- 明確・公平な評価基準の設定が困難
- 評価者主体のバイアスがかかりやすい
- 給与査定との関連性が強い
- 適切に運用しないとモチベーションの低下や人材の流出に発展する
以上のポイントを踏まえたうえで、適切な人事評価制度・評価方法の設計と導入、運用が求められます。
人事評価制度を効果的に運用するための5つのポイント
前述のメリット・デメリットをふまえ、人事評価制度を効果的に運用するためのポイントを5点解説します。
1.公正性と納得感の担保
人事評価制度で最も配慮しなければならないのは公平性と納得感です。
どちらか一方が欠けているだけで従業員からの不満に繋がり、モチベーションの低下や人間関係の悪化を招く可能性があります。
人事評価制度・評価方法を設計・運用する際には常にこの2点を念頭に置きましょう。
2.目標の明確化
目標設定は人事評価の基準となります。
目標が明確に設定されていなければ評価対象や内容が不明瞭になるため、評価結果が納得のいかないものになってしまいます。
設定する目標は誰の目から見ても達成状況が明らかで、かつ誰が評価しても評価結果がブレないものであることが理想です。
3.評価者の教育・質の向上
人事評価制度の運用がうまくいかない大きな理由に、評価者の質のバラつきが挙げられます。
評価者に適切な教育を実施しておかないと、評価者の好き嫌いなどの感情が反映されてしまい、公平性を欠いた評価結果になってしまいます。
人事評価制度が正しく運用されるためには、明確な目標に加えて評価者の教育が不可欠です。
4.双方向のフィードバックの実施
人事評価は、一方的な指導や評価者の主観によって行われるものであってはならないし、ましてや結果だけが通知されるような運用は不適切です。
人事評価の目的はあくまで従業員の成長と、次期のパフォーマンス向上です。
評価者からはなぜ今回の評価になったかを説明する機会、被評価者からは努力や工夫した点をアピールする機会を設けるなど、双方向のコミュニケーションが効果的です。
評価対象者が自身の成長につながる具体的なアドバイスを得ることで、モチベーションや意欲の向上につながります。
5.部署や職種による評価方法の使い分け
評価方法の種類の項でも述べたとおり、どの評価方法も一長一短で万能な方法は存在しません。
しかし、部署や職種によって評価方法を使い分けることでそれぞれの短所をある程度補うことは可能です。
たとえば、目標や成果を数値化しやすい営業職には定量的評価、数値化しづらいバックヤード職には定性的評価を導入するといった具合です。
まとめ
人事評価制度・評価方法は、企業の成長や人材育成に欠かせないものであり、正確かつ公正な運用が求められます。
しかし、評価方法や種類によっては、不公正な判断やモチベーションの低下を招くこともあるため、十分注意が必要です。
メリット・デメリットを把握し、最適な人事評価を実施することで、社員のやる気と成果を引き出すことができるでしょう。
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