石田昇吾
第54回  投稿:2025.06.18 / 最終更新:2025.06.19

グループ通算制度について②

今回は、前回のコラムで記載したグループ通算制度の通算税効果額について、具体的な会計処理を記載していきます。

設例 (計算の便宜上、法人税等の税率は30%とする。)

所得損益通算後所得法人税等通算税効果額
親会社1,000900270△30
子会社a400360108△12
子会社b△140

通算税効果額の授受を行う場合の会計仕訳について、通算親法人の会計仕訳は、次の2つの方法があります。
(当然、税負担額に差異はなく、あくまでも会計処理方法の違いです。)

1、通算親法人が負担する通算税効果額を未払金又は未収入金として計上する方法

①発生年度の処理

<親会社>

法人税、住民税及び事業税  270未払法人税等       270
法人税、住民税及び事業税    30未払金(通算税効果)    30

<子会社a>

法人税、住民税及び事業税  108未払法人税等       108
法人税、住民税及び事業税    12未払金(通算税効果)    12

<子会社b>

未収入金           42法人税、住民税及び事業税   42 

②精算年度の処理

 翌期に親会社経由で通算税効果額を精算した。

<親会社>

未払法人税等        270普通預金         270
未払金(通算税効果)     30普通預金          42
普通預金          12

<子会社a>

未払法人税等        108普通預金         108
未払金(通算税効果)     12普通預金          12

<子会社b>

普通預金          42未収入金          42

2、通算子法人に帰属する通算税効果額を通算子法人に対する未収入金又は未払金として計上する方法

①発生年度の処理

<親会社>

法人税、住民税及び事業税  270未払法人税等       270
法人税、住民税及び事業税    30未払金(子会社b)      42
未収入金 (子会社a)      12

<子会社a>

法人税、住民税及び事業税  108未払法人税等       108
法人税、住民税及び事業税    12未払金(子会社b)      12

<子会社b>

未収入金           42法人税、住民税及び事業税  42

②精算年度の処理

翌期に親会社経由で通算税効果額を精算した。

<親会社>

未払法人税等        270普通預金         270
未払金(子会社b)       42普通預金          42
普通預金          12未収入金 (子会社a) 12

<子会社a>

未払法人税等        108普通預金         108
未払金(子会社b)       12普通預金          12

<子会社b>

普通預金           42未収入金           42

親会社側からすると、子会社に対する債権債務は発生年度に既に確定しているという観点から、上記「2、通算子法人に帰属する通算税効果額を通算子法人に対する未収入金又は未払金として計上する方法」の方が合理性があるようにも考えられますが、「1、通算親法人が負担する通算税効果額を未払金又は未収入金として計上する方法」は、国税庁「グループ通算制度に関するQ&A」問59で示された経理処理であるため、この方法を採用する法人も多いものと考えられます。
この辺りは、自社の監査法人等と相談の上、処理方法を決定してください。

以上 今回はグループ通算制度の具体的な仕訳について取り上げました。


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