有価証券に関する経理処理について(売買目的有価証券 編)
①証券会社を通じ、A社の株式1,000株をトレード目的で購入した。1株当たり100円、売買手数料は、7,000円(税別)であった。
売買目的有価証券 107,000 現金預金 107,560
仮払消費税等 560
※「金融商品に関する会計基準」により、短期のトレードを目的に取得した有価証券は、「売買目的有価証券」という科目を使います。売買手数料は取得に要した費用のため、取得原価に加算します。消費税は、有価証券取引自体は、非課税となりますが、売買手数料は課税の項目になるため、その分の仮払消費税は別記します。
②①の有価証券を1株当たり120円で売却し、売買手数料7,000(税別)を差し引かれた残額が普通預金に入金された。
普通預金 112,440 売買目的有価証券 107,000
仮払消費税 560 売買目的有価証券売却益 6,000
※売買手数料は、売買目的有価証券売却損益に加減算します。なお、消費税は、売買手数料は課税の項目になるため、その分の仮払消費税は別記します。
③①の有価証券を保有したまま、決算を迎えた。期末の時価は、1株当たり130円であった。
売買目的有価証券 30,000 売買目的有価証券評価益 30,000
※売買目的有価証券は、決算時における時価を持って貸借対照表価額とします。
④①の売買目的有価証券をその他有価証券に保有目的を変更した。
なお、①の有価証券の時価総額は、101,000円であった。実効税率は40%とする。
また、期末時の評価は、全部資本直入法とする。期末時の時価は、91,000円
ア)振替時
その他有価証券 101,000 売買目的有価証券 107,000
売買目的有価証券評価損 6,000
イ)期末時
繰延税金資産 4,000 その他有価証券 10,000
その他有価証券評価差額金 6,000
※売買目的有価証券やその他有価証券から満期保有目的債券への振り替えはできません。また、④の売買目的有価証券からその他有価証券への振り替えは、トレーディング取引を行わないとした場合にその時点で振替が認められます。その時の評価差額は振替時の純損益に計上します。
以上 今月は売買目的有価証券の会計処理を取り上げました。あくまでも一般論ですので、専門家とよく確認の上、経理処理するようにしてください。
-
第36回減損会計について
-
第35回事業譲渡に伴う資産除去債務の処理方法について 考え方①
-
第34回貸倒引当金についての会計税務
-
第33回ポイント引当金について
-
第32回特別損失に関する会計処理
-
第31回のれんに関する会計処理
-
第30回税効果会計①について
-
第29回自己株式に関する経理処理について②
-
第28回会計と税務の相違点について①
-
第27回生命保険に関する経理処理について(その4)
-
第26回生命保険に関する経理処理について(その3)
-
第25回役員賞与に関する法人税および消費税の取扱に関する処理①について
-
第24回補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第23回地代家賃に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第22回切手代等に関する会計処理ならびに法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第21回仮想通貨に関する経理処理について③
-
第20回不動産取引に関する経理処理①について
-
第19回合併に関する経理処理①について
-
第18回リース取引に関する経理処理について①
-
第17回本店・支店取引に関する経理処理(決算)について②
-
第16回本店・支店取引に関する経理処理について①
-
第15回減価償却に関する経理処理について②
-
第14回減価償却に関する経理処理について①
-
第13回現金・小口現金に関する経理処理について
-
第12回自己株式に関する経理処理について
-
第11回手形に関する経理処理について①
-
第10回研究開発費に関する経理処理について
-
第09回仮想通貨に関する経理処理について②
-
第08回仮想通貨に関する経理処理について①
-
第07回有価証券に関する経理処理について(売買目的有価証券 編)
-
第06回資産除去債務に関する経理処理について
-
第05回生命保険に関する経理処理について(その2)
-
第04回生命保険に関する経理処理について(その1)
-
第03回繰延資産についての経理処理
-
第02回税込経理と税抜経理の処理の注意点~消費税の経理処理について~
-
第01回確定給付年金と確定拠出年金の会計処理について