石田昇吾
第34回  投稿:2022.02.02 / 最終更新:2022.02.09

貸倒引当金についての会計税務

1,概要

貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは、貸倒損失によるリスクに備え、損失金額をあらかじめ予想して、計上する引当金です。企業会計原則の一つに、費用と収益を対応させなければならないという「費用収益対応の原則」があり、貸倒れの原因が生じた期に費用を計上させるための会計処理となります。

 

2,貸倒引当金繰入の仕訳

(例)12月31日(期末)において、売掛金の残高が10,000円であるのに対し、3%の貸倒引当金を見積り、設定した。なお、貸倒引当金の残高は200円あるものとする。

①差額補充法の場合

(借方) (貸方)
貸倒引当金繰入    100円 貸倒引当金             100円

 

②洗い替え法の場合

(借方) (貸方)
貸倒引当金           200円 貸倒引当金戻入     200円
貸倒引当金繰入     300円 貸倒引当金             300円

 

3、会計上の引当額と税務上の限度額

<会計上の考え方>

会計上は、引当金計上の要件は以下の4つとされています。

①将来の特定の費用又は損失である

②その発生が当期以前の事象に起因している

③その発生の可能性が高いものである

④その金額を合理的に見積もれる

 

会計上は、繰入の限度額が定められているわけではなく、上記の4要件を満たすか否かが判断基準となります。

 

<税務上の考え方>

 

法人税法は、引当金の計上は原則、認めない立場ですが、貸倒引当金については期末資本金の額が1億円以下の普通法人などは、以下の範囲内で貸倒引当金の損金算入が認められています。

 

1,個別に評価し繰入限度額を計算するもの

①会社更生法、民事再生法等の申し立てが行われた場合等・・・同事由が生じた金銭債権のうち、担保等による取立て等の見込み額を除いた残額の50%

②その債務者について債務超過の状態が相当期間継続し事業に好転の見通しがない場合や、災害等により多大な損害が生じた場合などで、その債権について取立て等の見込みがないとき・・・その回収不能と見込まれる金額

③会社更生法による更生計画認可の決定等に基づき、弁済猶予又は賦払弁済される場合・・・その事由が生じた事業年度終了の日の翌日から5年を超えて弁済される金額

 

2,一括して評価し繰入限度額を計算するもの

1以外の金銭債権については、一括して評価し繰入限度額を計算します。この場合の貸倒引当金の繰入限度額は以下のいずれかの方法で算定します。

 

①実績繰入率に基づく計算
期末における一括評価の対象となる金銭債権の額×貸倒実績率

②法定繰入率に基づく計算
(期末における一括評価の対象となる金銭債権の額-実質的に債権とみられないものの額)×法定繰入率

 

以上 貸倒引当金についてご紹介しました。

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