ポイント引当金について
目次
【1】旧会計基準
①当社は、小売業を営んでおり、従来より売上の1%を次回以降の利用時に割引するポイントカードを発行しており、ポイント引当金を引き当てる会計処理を導入することとした。期末時の有効ポイント残高は10,000千円(このうち当期発生分は3,000千円)で過去の使用実績率は80%であった。
►当期末時
(借)ポイント引当金繰入額 2,400,000 (貸)ポイント引当金 8,000,000
__(販管費及び一般管理費)
__ポイント引当金繰入額 5,600,000
__(特別損失)
<算式>販管費…3,000千円×80%=2,400千円
____特別損失…7,000千円×80%=5,600千円
②翌期に有効ポイント残高のうち2,000千円が使用された。
なお、当社は、ポイント費用を将来の値引き相当額として処理している。
翌期末の有効ポイント残高は12,000千円となった。
►翌期
(借)ポイント引当金 2,000,000 (貸)売上高 2,000,000
►翌期末
(借)ポイント引当金繰入額 9,600,000 (貸)ポイント引当金 9,600,000
__(販管費及び一般管理費)
(借)ポイント引当金 6,000,000 (貸)ポイント引当金取崩額 6,000,000
(解説)
ポイントカードの利用はポイントの使用時に売上値引きとして処理することが多いのですが、その金額が大きくなり、またこの使用率の算出が可能な場合は、ポイント引当金(又は販売促進引当金)を計上することが好ましいとされています。
引当金の設定額は、過去のポイント発行高と使用高から使用実績率を算出し、期末有効ポイント残高に乗じた金額を設定する方法が合理的であると考えられます。
なお、ポイント引当金は消費税の課税の対象取引とはなりません。
【2】新会計基準
2021年4月1日以降に開始する事業年度の期首から強制適用となる新収益認識基準においては、従来のポイント引当金の処理は行ないません。
新会計基準においては、商品販売取引とポイント付与取引という2つの取引は、顧客から受け取る対価が対応していると考えます。つまり、顧客からの対価のうち、商品販売取引に対応する金額を売上高に計上し、ポイント付与取引に対応した金額を契約負債に計上します。契約負債とは、財又はサービスを顧客に移転する企業の義務に対して、企業が顧客から対価を受け取ったもの又は対価を受け取る期限が到来しているものを言います(会計基準11項)。
(例)当社は、1,100千円(税込)の商品を販売し、税抜価格に対して1%のポイントを付与した。
(借)現金及び預金 1,100,000 (貸)売上高 1,100,000 *消費税の課税売上
__売上高 10,000 契約債務 10,000 *消費税不課税取引
以上 今回は、ポイント引当金について取り上げました
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