石田昇吾
第28回  投稿:2020.11.27 / 最終更新:2020.12.04

会計と税務の相違点について①

今回は、会計と税務の相違点①について解説いたします。

1.会計と税務で利益が異なる理由

会計における経費とは、利益を上げるために会社が支出した費用のことをいいます。一方で税務における経費とは、税金の計算上「損金」として計上できる費用のことをいいます。会計と税務は主な目的が異なるため、それぞれの利益額に差が生じることになるのです。
簡単にまとめると以下のような目的の違いがあります。

会計:正確な期間利益の計算
税務:税に対する公平性・担税力(租税を負担する能力)を計算

2.会計と税務で取り扱いが異なる費用

では、どのように会計と税務で取り扱いが異なるのかについて、今回は、減価償却費と引当金を例にして解説いたします。

2.1 減価償却費(建物を例に)
会計:減価償却については、あくまで「実態に則した使用年数」で計算して費用を計上すると考えられています。つまり、会社がその償却資産を何年使うつもりで購入したのかによって、減価償却する期間が変わってくるのです。

税務:一方、税務上の考え方は、会計と異なります。同じ資産を保有している企業間で計上できる減価償却費に大きな差が出てしまうと公正な課税ができませんので、償却資産の種類(RC建物や木造建物等)や用途(事務所や店舗等)に応じて償却期間が一律にあらかじめ決められている「法定耐用年数」を用いることになっています。税務上の減価償却費は、この法定耐用年数で減価償却していくため、実態に則した使用年数との間にズレが生じるのです。
では、仕訳例を使ってどのような違いが生まれるのか、また、その違いをどのようにして調整するのかを解説していきます。

仕訳例
当法人は、12月決算で1月1日にRCの建物を400,000円で新築した。

また税務上の法定耐用年数は47年、使用可能年数を20年とした。

会計(20年で償却)

減価償却費 20,000 建物 20,000

 

税務(47年で償却)

減価償却費 8,800 建物 8,800

このように会計と税務では、費用計上できる金額が異なります。会計上¥20,000の減価償却費を計上したとしても、税務上は、¥8,800しか減価償却費が認められないため、この差額¥11,200に関しては、法人税の別表4にて加算調整することになります。
減価償却費方法についての詳しい説明については、第14回および第15回のコラムをご参照いただければと思います。

2.2 引当金

引当金とは、「将来的に発生する可能性がある費用や損失に備えるためのお金」のことで、会計上は、当期の損失として繰入れします。

※【引当金の具体例】※
貸倒引当金/返品調整引当金/賞与引当金/修繕引当金/製品保証引当金/売上割戻引当金/債務保証損失引当金

上記のうち、税務上も損金として認められる可能性があるのは、現状のところ「貸倒引当金」となっております。また、損金算入される金額も大きく制限されております。具体的な金額は、法人の規模などにより異なりますのでご注意ください。

 

以上 会計と税務の相違点①に関する経理処理について取り上げました。

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