休職期間中の有給付与
「私傷病休職をしている社員に対して有給休暇を付与する必要があるか」との質問を受けることがあります。ケースによっては、出勤率が正しく計算されておらず、誤って付与していなかったり、反対に付与していることがあるようです。
今回は、休職制度と有給休暇の付与についてみていきます。
休職について

労働者が、病気や怪我などで長期にわたって会社を休む場合、会社はその労働者を「休職」という扱いにするのが一般的です。
休職制度は労働基準法などの法律に基づく制度ではないので、就業規則などで、休職の期間や復職に際してのルール、休職期間中の給与などについて明確に定めておく必要があります。
休職の内容については、会社が独自に詳細を決めることができます。ただし、ここでいう病気や怪我に「労働災害」や「通勤災害」によるものは含まれません。労働災害や通勤災害で仕事を休む場合の取り扱いは、「労働者災害補償保険法」に定められています。
休職期間中の給与は、有給や一部有給、無給のいずれでも構いません。一般的には、無給としている会社がほとんどです。
無給にしていたとしても、私傷病により休職している労働者には、医師の証明などがあれば健康保険から傷病手当金が支給されます。少しでも給与が支給されている場合は、この傷病手当金の支給を受けられなかったり、減額されることがあります。
有給休暇について

次に有給休暇についてみていきます。有給休暇は、法律で労働者に与えられた権利であり、会社は毎年、有給休暇を付与する義務があります。
次の2つの要件に該当する方に対して、会社は有給休暇を付与しなければなりません。
1)入社してから6ヵ月以上経過していること
2)全労働日の8割以上出勤していること
社員と比べて、週の出勤日数が少なかったり、1日の勤務時間が短いパート・アルバイト従業員に対しても有給休暇を付与する義務があります。
有給休暇は、勤続年数と勤務日数に応じて与えられます。週の所定労働日数が5日以上の場合、雇い入れられた日から6ヵ月勤務して全労働日の8割以上出勤していれば10日の有給休暇が与えられます。次に、そこから1年ごとに11日、12日と与えられる日数が増えていきます。週の所定労働日数が4日以下であっても、週の所定労働時間が30時間以上ある場合は同じ日数が付与されます。
これに対して、週4日以下の勤務で、週の所定労働時間が30時間未満のアルバイトやパート従業員に対しては、週の所定労働日数に応じた有給休暇が与えられます。
有給休暇の具体的な日数については、以下の表を参照ください。
| 勤続勤務日数 | 6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月以上 |
| 付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
| 週労働日数 | 1年の所定労働日数 | 勤続勤務日数 | ||||||
| 6ヵ月 | 1年6ヵ月 | 2年6ヵ月 | 3年6ヵ月 | 4年6ヵ月 | 5年6ヵ月 | 6年6ヵ月以上 | ||
| 4日 | 169日~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
| 3日 | 121日~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
| 2日 | 73日~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
| 1日 | 48日~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
出勤率の算定方法について
有給休暇を付与するための要件として、全労働日の8割以上出勤していることが必要となります。出勤率は「出勤率=出勤日数÷労働日数」で求めることができます。
ここでいう「出勤日」と「労働日」の定義について、それぞれ確認していきましょう。
出勤日
1)出勤日とは、労働義務がある日に実際に勤務した日のことです。ただし、次のいずれかの日は、実際に勤務をしていなかったとしても、「出勤した日」にカウントします。
出勤した日として取り扱う日
(1)業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
(2)産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日
(3)育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
(4)年次有給休暇を取得した日
労働日
2)労働日とは、算定対象期間の暦日数から会社で定める休日を除いた日のことです。ただし、次のいずれかに該当する日は、労働日から除外されます。
労働日から除外される日
(1)使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
(2)正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
(3)休日労働させた日
(4)法定外休日労働した日
(1)から(4)の日数については、労働基準法や通達でルールが定められていますが、休職期間の取り扱いについては明確なルールは定められていません。そのため、会社がルールを設定することができます。特に定めていない場合は、労働基準法に基づき除外しない日と考えるのが自然です。
休職期間を労働日から除外するか、除外しないかで有給休暇の付与に影響が生じる場合があります。
例えば、4月1日から3月31日の間で3ヵ月間休職と1ヵ月欠勤した場合をみていきましょう。正確には暦日数で計算しますが、考え方を見るためなので、判り易く月数に置き換えて説明します。
1)休職期間を労働日から除外しない場合
休職期間を労働日から除外しないで計算すると、出勤率は8ヵ月/12ヵ月となります。約66%の出勤率になるため有給休暇はまったく付与されないことになります。
2)休職期間を労働日から除外する場合
休職期間を労働日から除外して計算すると、出勤率は、8ヵ月/9ヵ月になります。約88%の出勤率になるため有給休暇が付与されることになります。
このように、休職期間の取り扱いによって有給休暇の付与の有無に影響が出ることになります。ルールを明確に定めていないと、トラブルの原因となり得るため、休職期間を労働日に含めるのかどうかについては、会社のルールをしっかりと決めておきましょう。
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