川島孝一
第109回 22年06月更新

新型コロナウイルス感染症の後遺症の労災認定

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

新型コロナウイルスに感染し、感染性が消失した後でも、呼吸器や循環器等に症状が出てしまう「罹患後症状」に悩まされている方がいるようです。実際に、感染性は消失していても、職場に復帰できないケースの相談を受けることもあります。

このような状況の中で、令和4年5月12日に、厚生労働省労働基準局補償課長名で『新型コロナウイルス感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い等について』(基補発 0512 第1号)が発表されました。今回は、発表された内容についてみていきます。

 

新型コロナウイルスの労災について

新型コロナウイルスの労災について

罹患後症状の解説の前に、新型コロナウイルスに感染した場合の労災認定について説明します。

労災認定には、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を満たす必要があります。怪我や病気を発症したというケースの場合と違って、新型コロナウイルスの場合は、業務中に感染したかどうかを会社が判断することが困難です。

したがって、厚生労働省は、令和2年4月28日に取扱い方法を発表しています(基補発0428第1号)。その後、数回改正を行われていますが、現在の取り扱い方法は以下のとおりです。

 

【国内の場合】

医療従事者等

患者の診療や看護の業務、介護の業務等に従事する医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合には、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となること。

 

医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定された者

感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること。

具体例としては、以下のようなケースが該当します。

 1)飲食店店員等で、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたため、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定されたケース

 2)労働基準監督署における調査の結果、同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められたケース など

 

医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されない者

調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること。

この際、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断すること。

1)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務

2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

 

【国外の場合】

海外出張労働者

海外出張労働者については、出張先国が多数の本感染症の発生国であるとして、明らかに高い感染リスクを有すると客観的に認められる場合には、出張業務に内在する危険が具現化したものか否かを、個々の事案に即して判断すること。

 

海外派遣特別加入者

海外派遣特別加入者については、国内労働者に準じて判断すること。

 

新型コロナウイルスの感染が労災として認定された事例

これまでに、以下のような場合に労災認定されています。

飲食店員:飲食店内での接客業務に従事していたが、店内でクラスターが発生し、これにより感染したと認められたことから、支給決定された。

建設作業員:勤務中、同僚労働者と作業車に同乗していたところ、後日、作業車に同乗した同僚が新型コロナウ イルスに感染していることが確認され、当該同僚から感 染したと認められたことから、支給決定された。

飲食店員:発症前 14 日間に、日々数十組に接客を行う等感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

営業職:発症前 14 日間に、会社の事務室において営業業務に従事していた際、当該事務室で同僚が新型コロナウイルスに感染したことが確認された。このため、感染リスクが相対的に高いと考えられる労働環境下での業務に従事しており、私生活での行動等から一般生活では感染するリスクが非常に低い状況であったことが認められたことから、支給決定された。

 

新型コロナウイルスの後遺症

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状について

新型コロナウイルス感染症については、感染性が消失した後であっても、呼吸器や循環器、神経、精神等に対する症状がつづく場合があります。新型コロナウイルス感染後のこれらの症状については、いまだ不明な点が多く、国内における定義は定まっていない状況です。

医師等が利用する診療の手引きではこれらの症状を、「罹患後症状」と呼びます。これらの罹患後症状については、業務により新型コロナウイルスに感染した後の症状であり、療養等が必要と認められる場合は、労災保険給付の対象となります。

代表的な罹患後症状には、以下の症かわしま109

疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、

集中力低下、不眠、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、

睡眠障害、筋力低下

 

 

コロナウイルスに感染をしたことが原因となって労災保険の給付を受けている場合は、罹患後症状についても給付の対象となります。これらの症状が残っている場合は、感染性が消失しているからといって労災の給付も終了したと考えるのではなく、労働基準監督署に相談をした方がよいでしょう。

 

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