川島孝一
第125回  投稿:2023.11.01 / 最終更新:2023.11.30

運送業における時間外労働の上限規制

 

働き方改革の一環として労働基準法が改正され、大企業は20194月から、中小企業は20204月から時間外労働の上限規制がスタートしました。

これまで時間外労働の上限規制が猶予されていた医師や運転手、建設事業も、20244月から上限規制がスタートします。

 

自動車運転手については、時間外労働の上限規制の適用だけでなく、運転手の拘束時間や休息時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)についても改正されます。

運転手の不足による物流の混乱を懸念する報道もされていますが、今回は「2024年問題」と言われている自動車運転手の時間外労働上限規制について説明していきます。

 

自動車運転の事業の時間外労働の上限

時間外労働は、原則、月45時間・年360時間とされ、臨時的な特別の事情がなければこれを超えるとはできません。

「臨時的な特別な事情」がある場合は、年間で960時間を限度に、時間外労働の時間を設定することができます。これらの上限時間については、休日労働は含まれません。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

休日労働の基本的な考え方について

労働基準法上の休日労働の基本的な考え方についてみていきます。

法律上の休日は、原則として、毎週1回以上(週休制といいます。)付与すると定められています。週休制をとることが難しい場合は、変形休日制をとることも可能です。

変形休日制とは、4週間に4日以上の休日を取得する制度のことです。変形休日制を採用する場合は、就業規則等に変形期間の起算日を定めておくことが必要になります。

 

週休2日制をとっている会社が多い理由は、18時間、週40時間を考えるとわかります。週40時間を18時間で割ると5日間となります。

1週間は7日なので、5日間働くと残りの2日間が休みになります。このため、一般的には週休2日が定着しています。

 

1週間で1日、もしくは変形休日制の4週間で4日間の休日は法定休日と呼びます。それ以外の休日については所定休日と呼びます。

法律上、休日労働とされるのは法定休日になるので、割増賃金の支払い義務が発生するのも法定休日に労働した場合に限られます。ただし、所定休日に労働した場合に、週40時間を超えていれば、時間外労働として割増賃金を支払う必要があります。

 

残業時間としてカウントする必要があるのは、所定休日のみとなります。法定休日はカウントする必要はありません。

所定休日も法定休日も同じ「休日手当」として支払っている会社でも、時間外労働の上限時間に収まっているかを判断する場合には、週40時間超の所定休日の時間数を含めないとならない点は押さえておきましょう。

休日労働の基本的な考え方

臨時的な特別な事情について

労働基準法では1 日(8時間)および 1 週の労働時間(40時間)ならびに休日日数(毎週少なくとも1回)を定めています。原則は、この時間数や日数を超えて従業員を労働させてはならないというルールになります。

しかし、現実的に繁忙期等で労働時間が伸びてしまうこともあるということで、時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36 協定」)が作られました。

 

36協定を締結して労働基準監督署長に届け出れば、法定労働時間を超える時間外労働と法定休日における休日労働が認められます。36協定は、労働基準監督署に届け出ないと効力がないので注意しましょう。

時間外労働の上限時間を下回っていたとしても、36協定で定めた時間数を超えてしまえば労働基準法違反となります。そもそも36協定の締結・届出をしていなければ、1分でも時間外労働が発生すればその時点で労働基準法違反に問われます。

 

最初に触れたように、臨時的な特別な事情がある場合は、年間で960時間を限度に設定することができます。臨時的な特別な事情を設定する際は、特別条項付き36協定を締結する必要があります。

 

ここで想定している「臨時的な特別な事情」とは、一時的または突発的に、時間外労働を行う必要のある事項です。全体として1 年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。

限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情は、限度時間以内の時間外労働をさせる必要のある具体的事由よりも限定的になります。

 

厚生労働省が発表している臨時と認められる事項の例は、以下のようなものがあります。

・予算、決算業務
・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
・納期のひっ迫 
・大規模なクレームへの対応 
・機械のトラブルへの対応  など

 

反対に、認められない事項の例として挙げられているのは次の内容です。

・(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
・(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき  
・(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき  
・使用者が必要と認めるとき  
・年間を通じて適用されることが明らかな事由  など

 

厚生労働省が発表している上の内容に照らして適切な事由があり、通常の36協定の時間を超えることが見込まれる場合には、特別条項付きの36協定を締結しておく必要があります。

 

特別条項付きの36協定を締結したとしても、具体的な内容が臨時的な特別な事情でない場合は、特別条項自体が認められないことも考えられます。想定する事由が該当するか不明な場合は、労働基準監督署に相談をしてから策定した方が良いでしょう。

 

 

 

自動車運転手は、道路状況や待ち時間などの外的要因により労働時間が長くなってしまう傾向がある職種といえます。また、労働基準法に加えて「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)も変更となります。

これまでの運用方法では、ルールを守れない可能性もありますので、一度点検をした方が良いでしょう。次回以降で、20244月からスタートする改正改善基準告示について詳しく見ていきたいと思います。

 

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