川島孝一
第23回  投稿:2015.02.25 / 最終更新:2018.11.09

来年1月開始~マイナンバー制度 その2

いよいよ、マイナンバー制度が平成28年1月よりスタートします。
前回に引き続き、今回は、従業員やその家族からマイナンバー(個人番号)を取得する際の会社の手続き方法と、担当者が注意すべき事項を見ていきます。

<会社が従業員から個人番号を取得する場合>

会社が個人番号を取得する際は、(1)正しい番号であること(番号確認)、(2)現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であること(身元確認)、の2つを確認する必要があります。
従業員の方が「個人番号カード」をすでに持っていて、それを提示したのであれば、「番号確認」と「身元確認」の両方をしたことになります。しかし、「通知カード」であった場合は、番号確認だけしかできません。そのため、通知カードのほかに、身元確認を行うため運転免許証などの提示をしてもらう必要があります。
*個人番号カードと通知カードの違いは前回を参照してください。

従業員に提示してもらうパターンは、原則として以下の3つになります。
(1) 個人番号カード(番号確認と身元確認)
(2) 通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
(3) 個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)

ただし、例外として、雇用関係にあることなどから、「本人に相違ないことが明らかに判断できる」と個人番号利用事務実施者(会社)が認めるときは、身元確認を省略することができます。

会社は、原則として、従業員から個人番号の提供を受けるたびに、本人確認を行わなければなりません。例えば、年末調整を想定すると、従業員から「マイナンバーを記載した扶養控除等申告書」を毎年提出してもらうことになります。この場合、本人確認も毎年行う必要があります。
なお、2回目以降の番号確認は、従業員から個人番号カードや通知カードなどの提示を受けることが困難ならば、会社が初回に本人確認を行って取得したマイナンバーの記録と照合する方法でも問題ありません。

<会社が従業員の家族の個人番号を取得する場合>

従業員の家族の個人番号を取得する場合でも、番号確認と本人確認をする必要があります。ただし、扶養家族の本人確認の方法は、各制度の中でその個人番号の提供が誰に義務づけられているのかによって異なります。
例えば、年末調整では、「従業員が」事業主に対して扶養家族のマイナンバーの提供をすることになっています。そのため、従業員が個人番号関係事務実施者として、その扶養家族の本人確認を行う必要があります。このような場合、事業主が、扶養家族の本人確認を行う必要はありません。会社が行う扶養家族に関する手続きは、このほかにも健康保険の手続きがありますが、こちらも同様です。
ただし、「国民年金の第3号被保険者の届出」だけは、従業員の「配偶者(第3号被保険者)本人が」事業主に対して届出を行っています。そのため、事業主は配偶者の本人確認を直接行わなければなりません。通常であれば、会社は従業員を介して書類を作成していますので、この場合は、次の「会社が従業員を代理人にして個人番号を取得する場合」の手続きを経なければなりません。

<会社が従業員を代理人にして個人番号を取得する場合>

代理人からマイナンバーの提供を受ける場合は、(1)代理権、(2)代理人の身元、(3)本人の番号の3つすべてを確認する必要があります。
これらを確認するには、原則として、以下の方法によります。
(1) 代理権の確認は、法定代理人の場合は戸籍謄本など、任意代理人の場合は委任状
(2) 代理人の身元の確認は、代理人の個人番号カード、運転免許証など
(3) 本人の番号確認は、本人の個人番号カード、通知カード、マイナンバーの記載された住民票の写しなど

前述のように、「国民年金の第3号被保険者の届出」は、従業員が「その配偶者の代理人」として事業主に対して届出を行っています。そのため、配偶者のマイナンバーを会社へ提供するときは、(1)従業員が配偶者の番号確認と本人確認を行い、(2)事業主は代理人の代理権、身元確認、配偶者の番号確認、をすることになります。
従業員が配偶者の個人番号カードを持ってきて、会社に提示しただけでは、確認が完了したことにはならないので、注意が必要です。

<今後、担当者が確認すべき事項>

今後、担当者が確認すべき事項として以下の(1)~(4)の項目が考えられます。

(1)現在、取り扱っている書類・手続きの確認
個人番号の記載が必要になる書類は、社会保障分野、税分野を合わせると相当数になります。番号法に特段の規定がない限り、マイナンバーを含む特定個人情報にも「個人情報保護法」が適用されるので、マイナンバーを取得するときは、利用目的を本人に通知又は公表する必要があります。
また、複数の利用目的をまとめて通知や公表することは可能ですが、利用目的を後から追加することはできないルールになっています。利用目的に漏れが出ないように、自社で行う手続きの中で、どの項目でマイナンバーを利用する必要があるのかを事前に洗い出す必要があります。

(2)これまでの業務フローの見直し
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届や給与支払報告書など、これまで行政に提出していた書類にマイナンバーを記載する必要が出てきます。まったく新しい書類や業務が増えるのではなくあくまでも既存の業務にマイナンバーが加わることになります。
各部署において、どの業務でマイナンバーが必要になるか業務フローを見直す必要があるとともに、様式が変更される書類はどれなのかを確認しておく必要があります。

(3)従業員への教育
会社の機密事項や個人情報は、いったん外部に流出してしまうと、その対処や場合によっては訴訟になるなど対応に大変な労力を要することも少なくありません。情報漏えいは、外部よりも内部の関係者から漏えいするケースが多いため、マイナンバーに接する従業員に対する社員教育が重要になります。
マイナンバーに接する従業員は、人事部門だけに限らず、各事業所の事務担当者やその上司も可能性があります。対象となる従業員がどこまでなのか、業務フローを見直すことでその範囲を狭められないのか、などを検討していく必要があります。

(4)今後の動向確認
マイナンバー制度は、まだ決まっていない事項が数多くあります。『内閣官房 社会保障改革担当 マイナンバー社会保障・税番号制度』のホームページ等で順次、公表されていますので、情報を収集していかなければなりません。
マイナンバー制度については、これから実務的なルールが次第に定められていきます。今日の情報が明日には古くなってしまう可能性もありますので、最新の情報を確認しながら準備を進めていきましょう。

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