川島孝一
第127回  投稿:2024.01.10 / 最終更新:2024.02.29

トラック運転者の改善基準告示~その2

 

 

これまで適用を猶予されていた自動車運転手の時間外労働の上限規制が、20244月からスタートします。上限規制が始まるだけでなく、運転手の拘束時間や休息時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)についても改正されます。

改善基準告示は、タクシー、ハイヤー運転者、トラック運転者、バス運転者でそれぞれ定められています。前回に引き続き、今回も改正されるトラック運転者の改善基準告示についてポイントをみていきたいと思います。

 

予期し得ない事象への対応時間の取扱いについて

運転中に事故渋滞の発生や、乗務している車両が故障してしまう場合があります。前回、紹介をしたように、1日の拘束時間や2日平均の運転時間などの上限が改善基準告示で定められているため、突発的なトラブルが発生すると、上限時間を超えてしまう可能性があります。

そこで、災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合、「1日の拘束時間」「運転時間(2日平均)」「連続運転時間」の3つに限り、予期し得ない事象への対応時間を除くことができます。

 

このような場合でも、勤務終了後、通常どおりの休息期間(継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない)を取ることが必要です。

また、ここで挙げた時間以外の1か月の拘束時間等からは、予期し得ない事象への対応時間を除くことはできません。

 

「予期し得ない事象への対応時間」とは、次の2つの両方の要件を満たす必要があります。

 

1.次のいずれかの事象により生じた運行の遅延に対応するための時間

① 運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと。

② 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと。

③ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと、または道路が渋滞したこと。

④ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと。

 

この要件に該当するには、「通常予期し得ない」ものである必要があります。そのため、平常時の交通状況等から事前に発生を予測することが可能な自然渋滞や、お盆などの帰省ラッシュにおける道路渋滞などは該当しません。

 

.客観的な記録により確認が可能

① 運転日報上の記録

対応を行った場所、予期し得ない事象にかかる具体的事由、当該事象への対応を開始し、終了した時刻や所要時間数が記載されている必要があります。

 

② 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料

・修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等

・フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し

・公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し

(渋滞の日時・原因を特定できるもの)

・気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し

 

この客観的な記録と資料がしっかりと残っていないと、「予期し得ない事象への対応時間」として認められないこととなります。このような事象が発生した都度、記録を残していくことが重要です。

トラック運転者の改善基準告示

分割休息について

前回紹介をしたように、20244月から、1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続して9時間を下回ってはならないことになります。

しかし、業務の必要上、勤務終了後、継続9時間以上(宿泊を伴う長距離貨物運送の場合は、継続8時間以上)の休息期間を与えることが困難なケースもあります。

そこで、次に掲げる要件を満たす場合は、当分の間は、1か月程度の一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中と拘束時間の経過直後に分割することができます。

 

簡単に言ってしまうと、勤務終了時間から次の勤務開始時間までのインターバルの時間を勤務時間中に消化するということです。これを行うためには、以下の条件があります。

・分割された休息期間は、1回あたり継続3時間以上とし、2分割または3分割であること

2分割の場合は合計10時間以上、3分割の場合は合計12時間以上の休息期間を取得すること。

 

勤務間のインターバルの目的は、睡眠時間の確保による疲労回復の観点から、継続した休息期間を確保することです。休息期間を分割することは本来好ましいものではないため、休息期間を3分割する日が連続しないように努める必要があります。

 

隔日勤務について

業務の必要上やむを得ない場合には、当分の間、2暦日の拘束時間が21時間を超えず、かつ、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える場合に限り、隔日勤務を行うことが可能です。

 

たとえば、始業時間が8時、終業時間が翌朝5時だった場合、拘束時間は21時間となります。この場合、休息時間を終業の5時から20時間以上取得していれば勤務が可能です。今回のケースだと、次の始業は翌日の1時以降にする必要があります。

 

隔日勤務特例の適用は、業務の必要上やむを得ない場合に限られます。日勤勤務と隔日勤務を併用して頻繁に勤務態様を変えることは、労働者の生理的機能への影響を考慮して

認められないので注意が必要です。

 

 

前回と今回の2回にわたって、20244月からスタートする「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)を説明してきました。

運行管理をする上で、重要なルールとなりますので、事前にしっかりと内容を把握しておくようにしましょう。

 

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