川島孝一
第131回  投稿:2024.05.07 / 最終更新:2024.05.02

バス運転者の改善基準告示~その2

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「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が、20244月から改められました。改善基準告示は、タクシー・ハイヤー運転者、トラック運転者、バス運転者でそれぞれ定められています。

前回のコラム「バス運転者の改善基準告示~その1」に引き続き、今回もバス運転者の改善基準告示のポイントをみていきます。

 

運転時間について

過労による事故などを防ぐために、「2日平均1日の運転時間」、「4週平均1週の運転時間」、「連続運転時間」に制限がかけられています。それぞれについてみていきます。

 

1) 2日平均1日の運転時間

1日の運転時間は、2日(2日間は、始業時刻から起算して48時間をいいます。)平均で9時間が限度となります。

2日平均1日の運転時間は、特定の日を起算日として2日ごとに区切り、その2日の平均を計算して求めます。

 

この特定日を含む運転時間が、次の①②のいずれも9時間を超えた場合に、改善基準告示に違反していると判断されます。

① 特定日の運転時間と特定日の前日の運転時間との平均

② 特定日の運転時間と特定日の翌日の運転時間との平均

 

少しわかりにくいので、具体例を使って計算をしていきます。

・4月1日:運転時間10時間

・4月2日:運転時間9時間

・4月3日:運転時間9時間

 

まず、① 特定日の運転時間と特定日の前日の運転時間との平均を計算します。

今回の場合、特定日は42日となります。特定日の運転時間は、9時間となり、特定日の前日の運転時間は10時間なので、(9時間+10時間)÷29.5時間 になります。(41日と2日の平均)

次に、特定日の運転時間と特定日の翌日の運転時間との平均を計算します。

4月2日と3日の平均なので、(9時間+9時間)÷29時間になります。

この場合、②の方法で計算した結果が9時間を超えていないため、改善基準告示違反にはなりません。

 

2) 4週平均1週の運転時間

原則として、4週間を平均した1週間当たり(4週平均1週)の運転時間は、40時間以内です。

4週における総運転時間を計算する場合は、特定の日を起算日として4週ごとに区切っていき、それぞれの4週の総運転時間を計算します。

たとえば、1週目40時間、2週目42時間、3週目38時間、4週目40時間だった場合、

40時間+42時間+38時間+40時間)÷440時間となるため、基準を満たしていることとなります。

 

4週平均1週の運転時間には、例外が定められており、貸切バス等乗務者については、労使協定により、52週のうち16週までは、52週の総運転時間が 2,080時間を超えない範囲内で、4週平均1週の運転時間を44時間まで延長することができます。

たとえば、1週目44時間、2週目46時間、3週目42時間、4週目44時間だった場合、

44時間+46時間+42時間+44時間)÷444時間となるため基準を満たしていることとなります。
ただし、52週の総運転時間が 2,080時間を超えないことが前提条件です。

 

3) 連続運転時間

原則として、連続運転時間は4時間が限度となります。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に、30分以上の運転の中断が必要です。中断時には、原則として休憩をとる必要があります。

運転の中断は、1回が連続10分以上とした上で分割することもできます。

高速バス運転者や貸切バス運転者が高速道路等を運行する場合は、一の連続運転時間についての高速道路等における連続運転時間(夜間において長距離の運行を行う貸切バスについては、高速道路等以外の区間における運転時間を含む。)はおおむね2時間までとするよう努める必要があります。

 

連続運転時間の例外として、軽微な移動を行う必要が生じた場合、当該必要が生じたことに関する記録がある場合に限り、当該軽微な移動のために運転した時間を、一の連続運転時間当たり30分を上限として、連続運転時間から除くことができます。

「軽微な移動」とは、消防車、救急車等の緊急通行車両の通行に伴い、または他の車両の通行の妨げを回避するため、駐車または停車した自動車を予定された位置から移動させることをいいます。

 

また、「軽微な移動を行う必要が生じたことに関する記録」については、次の3つの軽微な移動の事実を、運転日報上の記録等により確認できる場合が該当します。

① 移動前後の場所 

② 移動が必要となった理由 

③ 移動に要したおおむねの時間数

バス運転者の改善基準告示

予期し得ない事象への対応時間の取扱いについて

運転中に事故渋滞の発生や、乗務している車両が故障してしまう場合があります。そのようなトラブルが発生した場合は、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から予期し得ない事象への対応時間を除くことが可能です。この場合、勤務終了後、通常どおりの休息期間(継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らない)を与えることが必要です。

 

「予期し得ない事象への対応時間」とは、次の1)と2)の両方の要件を満たす必要があります。

 

1) 次のいずれかの事象により生じた運行の遅延に対応するための時間

① 運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと

② 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと

③ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと、または道路が渋滞したこと

④ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと

 

この要件に該当するには、「通常予期し得ない」ものである必要があります。そのため、平常時の交通状況等から事前に発生を予測することが可能な道路渋滞等は、該当しませんので注意しましょう。

 

2) 客観的な記録により確認が可能

① 運転日報上の記録

対応を行った場所、予期し得ない事象に係る具体的事由、当該事象への対応を開始し、終了したそれぞれの時刻や所要時間数が記載されている必要があります。

 

② 予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料

・修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等

・フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し

・公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの)

・気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し

 

今回は、バス運転者の運転時間などのルールについて説明してきました。次回は、休息の取り方や、隔日勤務についてみていきたいと思います。

 

関連するコラムはこちら

トラック運転者の改善基準告示~その1

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