定額減税の残額の給付
目次
昨年は、2024年6月1日以降に支払われる給与や賞与に課税される所得税に対して定額減税が行われ、年末調整でも定額減税が行われました。今年に入って、定額減税を引ききれなかった場合の対応について問い合わせが増えています。
今回は、年末調整後に定額減税額が残った場合の対応についてみていきます。
定額減税額
定額減税額について、おさらいをしておきましょう。
定額減税額は、同一生計配偶者と扶養親族の数に応じて金額が決定されます。同一生計配偶者と扶養親族の定義は、次のとおりです。
同一生計配偶者:12月31日の現況で、納税者と生計を一にする配偶者で、年間の合計所得金額が48万円以下の人 扶養親族: 12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人 1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。) または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること 2)納税者と生計を一にしていること 3)年間の合計所得金額が48万円以下であること 4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと または白色申告者の事業専従者でないこと |
具体的な定額減税の額は以下の通りです。
1)日本に居住している本人:30,000円 2)日本に居住している同一生計配偶者または扶養親族:一人につき30,000円 例えば、同一生計配偶者:あり 扶養親族:2名の場合は、120,000円が減税額になります。 30,000円(本人分)+90,000円(同一生計配偶者と扶養親族の合計)=120,000円 |
減税が行われるタイミングは、2024年6月1日以後最初に支払われる給与や賞与に課税される所得税から減税が行われています。6月に支払われる給与や賞与から定額減税額を控除しても、控除しきれない部分の金額については、2024年中に支払われる給与や賞与から順次控除されています。
また、年末調整時に、最終的な所得税額に応じて定額減税が行われ、全額を控除できた場合は所得税における定額減税は終了になります。
全額を控除できたかどうかは、源泉徴収票を見ると判ります。基本的には、源泉徴収票で最終的に源泉所得税が発生していれば全額を控除できたことになり、源泉所得税額が0円の場合は控除しきれなかった可能性があることになります。
定額減税をしききれなかった場合の給付について
住宅ローン控除などの影響で、定額減税しきれないと見込まれる方は、2024年に当初給付が支給されました。一方で、子どもの出生や親を扶養に入れたときなど、扶養親族が増加したときや、給与や賞与から引き切れなかった場合は、2025年に不足額給付を受けることになります。
当初給付と不足額給付については、次のように定義されています。
1)当初給付: 2024年夏以降、個人住民税が課税される市区町村において、2023年の所得状況に基づき、定額減税で引ききれないと見込まれる対象者に概算額を支給 2)不足額給付: 個人住民税が課税される市区町村において、2024年分の所得税と定額減税の実績の額が確定した後、追加で支給 |
不足額給付は、2024年分の所得税と定額減税の実績の額が確定する必要があるため、2025年に個人住民税が課税される市区町村から支給されることになっています。
不足額給付の算定については、所得税の控除不足額と個人住民税の控除不足額を足した金額を1万円単位で切り上げて算出した額から、当初給付額を差し引いた額が支給されます。
不足額給付の申請方法について
不足額給付の支給対象者は、市区町村から本人へ確認書が送付される予定です。送付された書類を確認し、必要事項を記入の上、行政に返信して対応してください。
なお、支給の時期は、市区町村ごとに異なります。そのため、詳細については、2025年1月1日に住所がある市区町村の情報をご確認ください。
今回は、定額減税で引き切れなかった場合の給付についてみてきました。不足額給付は、会社ではなく、市区町村が担当します。そのため、市区町村によって必要な手続きが異なる場合があります。従業員から問い合わせがあったときは、本人から1月1日現在居住していた各市区町村に確認してもらうようにしましょう。
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