川島孝一
第105回 22年02月更新

有給休暇の買上げ

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

ときどき未消化の年次有給休暇の買上げについて、相談されることがあります。原則としては、有給休暇の買上げをすることはできません。しかし、一定の要件に該当する場合は、買上げをすることができます。

今回は、有給休暇の買上げについて、説明したいと思います。

 

有給休暇の付与日数

有給休暇は、勤続年数と勤務日数に応じて与えられます。週の所定労働日数が5日以上の場合、雇い入れられた日から6ヵ月勤務して全労働日の8割以上出勤していれば、10日の有給休暇が与えられます。次に、そこから1年ごとに、11日、12日と下の表の通りに与えられる日数が増えていきます。

これに対して、週4日以下の勤務で、週の所定労働時間が30時間未満のアルバイトやパート従業員に対しては、週の所定労働日数に応じた有給休暇が与えられます。

 

【週5日以上の社員、または週30時間以上のアルバイトの有給休暇の付与日数】

勤続年数 6ヵ月 1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年6ヵ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

【週4日以下のアルバイトの有給休暇の付与日数】

週労働日数 1年の所定労働日数 6ヵ月 1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年6ヵ月以上
4日 169日~
216日
7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~
168日
5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~
120日
3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~
72日
1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

有給休暇の時効

有給休暇は労働者の権利であるため、権利を行使しなければ有給休暇を取得することはできません。また、権利であっても行使できる期間は法律で決められています。有給休暇の時効は、付与された日から2年間です。したがって、2年6ヵ月後に新たに有給休暇が与えられると、最初の6ヵ月後に与えられた有給休暇で使っていない日数はその権利が消滅することになります。

1年間に付与される有給休暇の最大日数は20日間ですから、有給休暇を全く使用しなかったとしても1人40日間までしか保有できないことになります。

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有給休暇の買取について

原則として、有給休暇を金銭で買上げることはできません。これは、昭和30年11月30日に出された通達(基収4718号)によって示されています。以下に記載をいたします。

 

年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である。

 

通達の文章なので、読みにくいと思います。簡単に言い換えると、「労働基準法で定められている要件を満たした場合に付与される有給休暇は、労働者の権利であるため、この権利を買上げ予約等で侵害すると、労基法違反になってしまう」というになります。

 

この通達があるため、「有給休暇を買上げてはいけない」という理解をされている方も多いようです。しかし、例外的に、以下の3つのケースに該当する場合は、有給休暇の買上げをしても労基法には抵触しません。

 

1)退職時に未消化で残っている有給休暇

退職後は、有給休暇の権利を行使できなくなるため、結果的に退職時に残った有給休暇は買上げることが可能です。

 

2)時効によって権利の消滅した有給休暇

有給休暇の時効は、付与された日から2年間となります。時効によって消滅した有給休暇を買上げることは可能です。ただし、事前に消滅する有給休暇を買上げることを周知するのは、前段の通達の事前予約に該当しますので行ってはなりません。

 

3)労働基準法を上回って付与している有給休暇

法律で定められている日数を上回って付与された有給休暇についても、上回る日数については買上げることが可能です。例えば、フルタイムで半年間勤務した場合で、15日間の有給休暇が付与された場合を考えてみたいと思います。法律で定められている日数は10日間となりますので、15日から10日を引いた5日間については、買上げが可能です。

この労働基準法を上回る日数については、事前に消滅する日数を買上げることを周知しても、違法にはなりません。

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有給休暇の賃金について

年次有給休暇の賃金について、労働基準法は以下のように定めています。

 

「使用者は、有給休暇の期間または時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法第99条第1項 に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。」

 

これをまとめると、有給休暇の期間や時間の賃金は、次の3つのいずれかの方法で計算して支払わなければならないということになります。

①平均賃金

②通常の賃金

③標準報酬日額(健康保険法)

 

この計算は、実際に有給休暇を取得した場合の計算方法なので、先ほどの有給休暇の買上げについては、この3種類以外の方法で計算しても問題ありません。

例えば、各自の給与額にかかわらず、一律1日当たり10,000円とする方法も可能です。

 

 

今回は、有給休暇の買上げについて紹介をしました。くり返しになってしまいますが、原則として、有給休暇の買上げは認められていません。

有給休暇を買上げようとするときは、労基法違反とならないように注意してください。

 

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