川島孝一
第126回  投稿:2023.12.01 / 最終更新:2023.12.01

トラック運転者の改善基準告示~その1

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自動車運転手については、これまで適用を猶予されていた時間外労働の上限規制が20244月からスタートします。、上限規制がスタートとするだけでなく、運転手の拘束時間や休息時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)についても改正されます。

改善基準告示は運輸業以外の業種ではあまり聞きなれないかもしれませんが、運輸業に限らず、主たる業務が「自動車の運転である人」がこの改善基準告示を遵守しなければなりません。例えば、製造業などでも主として商品の配送に従事している場合は、営業用車両に限らず、自家用車を利用していても対象になります。

改善基準告示では、労働基準法では定められていない「拘束時間」「休息時間(休憩時間ではありません)」「連続運転時間」などを定めています。時間外労働が36協定の範囲内であったとしても、改善基準告示に違反していると、労働基準監督署の是正勧告の対象になります。

 

今回は、改正されるトラック運転者の改善基準告示について、ポイントをみていきたいと思います。

ラック運転者の改善基準告示

拘束時間と休息期間について

改善基準告示は、トラック運転者の労働実態を考慮して、拘束時間、休息時間について基準を定めています。拘束時間と休息時間は、次のように定義されています。

 

・拘束時間

労働時間と休憩時間の合計時間をいいます。
始業時間から終業時間までのトータル時間になります。

・休息期間

勤務と次の勤務の間の時間のことをいいます。
睡眠時間を含む労働者の生活時間として自由な時間となります。

 

【従前】 1か月の拘束時間(2024年3月まで)

現状のルールでは、1か月の拘束時間は、原則として293時間が限度となります。
ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6か月までは、1年の拘束時間が3,516時間(293時間×12か月)を超えない範囲内であれば、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができます。

 

【改正後】 1か月の拘束時間(2024年4月から)

2024年4月からは、1年の拘束時間は3,300時間以内、かつ、1か月の拘束時間は284時間以内になります。
ただし、労使協定により、1年のうち6か月までは、1年の総拘束時間が3,400時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を310時間まで延長することができます。

 

新たにルールとして追加されたのは、1か月の拘束時間が284時間を超える月は連続3か月までしか認められなくなった点と、1か月の時間外労働と休日労働の合計時間数は100時間未満になるように努める点です。

 

【従前】 1日の拘束時間と休息期間(2024年3月まで)

1日の拘束時間は13時間以内が基本となります。延長する場合は、16時間が限度になります。1日の定義については、始業時刻から起算して24時間となります。
また、15時間を超えることができるのは、1週間に2日までです。

1日の休息期間については、勤務終了後、継続して8時間以上必要となります。

 

【改正後】 1日の拘束時間と休息期間(2024年4月から)

1日の拘束時間は13時間以内が基本となります。延長する場合の上限時間は、15時間になります。
ただし、宿泊を伴う長距離貨物運送で、1回の運行における休息場所が住居地以外の場合は、週2回まで16時間まで延長することが可能です。

1日の休息期間は、勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、 継続して9時間を下回ってはなりません。

2024年問題

運転時間の限度について

2日を平均した1日当たりの運転時間と、2週間を平均した1週間あたりの運転時間に上限が定められています。それぞれの上限についてみていきましょう。

 

2日を平均した1日当たりの運転時間

1日の運転時間は、2日(2日間は、始業時刻から起算して48時間をいいます。)平均で9時間が限度となります。
2日平均の1日の運転時間の算定に当たっては、特定の日を 起算日として2日ごとに区切り、その2日の平均を計算します。

この特定日を起算とした運転時間が、次の2つのいずれも9時間を超えた場合は、改善基準告示に違反していると判断されます。

 

1)特定日の運転時間と特定日の前日の運転時間との平均
2)特定日の運転時間と特定日の翌日の運転時間との平均

 

少しわかりにくいので以下の具体例を使ってみていきましょう。

121日:運転時間10時間
122日:運転時間9時間 *特定日
123日:運転時間9時間

 

まず、1)特定日の運転時間と特定日の前日の運転時間との平均を計算します。

今回の場合、特定日は122日です。特定日の運転時間は9時間で、特定日の前日の運転時間は10時間です。
9時間+10時間)÷29.5時間 (121日と2日の平均)

 

次に、2)特定日の運転時間と特定日の翌日の運転時間との平均を計算します。

9時間+9時間)÷29時間 (122日と3日の平均)
この場合、2)の方法で計算した結果が9時間を超えていないため、改善基準告示違反にはなりません。

 

2週間を平均した1週間あたりの運転時間

2週間を平均した1週間あたりの運転時間は44時間が限度となります。1週間あたりの運転時間の計算方法は、特定日を起算日として2週間ごとに区切り、その2週間ごとに平均を計算します。

この1週目と2週目の平均時間が44時間以内であれば、改善基準告示違反にはなりません。

 

連続運転時間

原則として、連続運転時間は4時間が限度となります。運転開始後4時間以内、または4時間経過直後に、30分以上の運転の中断が必要です。中断時には、原則として休憩する必要があります。

運転の中断は、1回がおおむね連続10分以上とした上で分割することも可能です。ただし、1回が10分未満の運転の中断は、3回以上連続することはできません。

なお、サービスエリアやパーキングエリア等が満車である等により駐車や停車ができず、やむを得ず連続運転時間が 4時間を超える場合には、4時間30分まで延長することができます。

 

 

今回は、トラック運転者の拘束時間や運転時間の限度についてみてきました。

改善基準告示はボリュームがあり、すべてのポイントを説明することができなかったので、次回もトラック運転者の改善基準告示のポイントについて触れたいと思います。

 

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