川島孝一
第73回  投稿:2019.06.04 / 最終更新:2019.06.04

新しい在留資格

テレビや新聞で大きく報道されたためご存知の方も多いと思いますが、2019年4月1日より「出入国管理及び難民認定」と「法務省設置法」の一部が改正されました。
この法改正により、新しい在留資格が創設されました。今回から数回にわたり、法改正された部分を説明していきたいと思います。

在留資格について

外国人が日本で働くためには、与えられている在留資格と実際の仕事の内容が合致している必要があります。在留資格とは、外国人が日本国内で活動する際の滞在目的を示す資格のことです。
この在留資格は、国内に居住する目的や本人の能力などの条件に応じて決定されます。日本に滞在する外国人は、例外なく在留資格を持っています。

法改正される前は、高度な技術、専門性を持った外国人のみを受け入れる方針をとっていたので、原則的に外国人の単純労働を認めていませんでした。今回の改正で、「建設」「農業」「造船」「宿泊」「介護」などの業種については、一定の技能や日本語能力を持っていれば在留が認められ、これらの業務に限り、単純労働であっても働くことが認められました。

新しく新設された在留資格は、⑱の「特定技能」の在留資格です。それ以外の在留資格については、これまでと変わりはありません。

在留資格 該当例
① 外交 外国政府の大使、公使等及びその家族
② 公用 外国政府等の公務に従事する者及びその家族
③ 教授 大学教授等
④ 芸術 作曲家、画家、作家等
⑤ 宗教 外国の宗教団体から派遣される宣教師等
⑥ 報道 外国の報道機関の記者、カメラマン等
⑦ 高度専門職 ポイント制による高度人材
⑧ 経営・管理 企業等の経営者、管理者等
⑨ 法律・会計業務 弁護士、公認会計士等
⑩ 医療 医師、歯科医師、看護師等
⑪ 研究 政府関係機関や企業等の研究者等
⑫ 教育 高等学校、中学校等の語学教師等
⑬ 技術・人文知識・国際業務 機械工学等の技術者等、通訳、デザイナー、語学講師等
⑭ 企業内転勤 外国の事務所からの転勤者
⑮ 介護 介護福祉士
⑯ 興行 俳優、歌手、プロスポーツ選手等
⑰ 技能 外国料理の調理師、スポーツ指導者等
⑱ 特定技能 特定産業分野の各業務従事者
⑲ 技能実習 技能実習生

 

外国人労働者は与えられた在留期間内での活動が可能です。期間を過ぎても就労していると「不法就労」となり、本人のみならず、会社も罰せられる可能性があります。
継続的に外国人労働者を雇う場合は、在留資格の期限についても管理を怠らないことが重要です。「知らぬ間に在留期限を超過していたまま働かせていた」ということのないようにしましょう。

特定技能について

新しく創設された在留資格の特定技能は、「特定技能1号」と「特定技能2号」があります。対象となる外国人は以下のようになっています。

特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

「特定技能1号」の資格を得るためには、相当程度の知識か経験を必要とする技能が求められます。2019年3月に法務省入国管理局が発行した『特定技能外国人受入れに関する運用要領』に相当程度の知識と経験の定義が記載されています。

『「特定技能1号」で在留する外国人に対しては,相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる。これは,相当期間の実務経験等を要する技能をいい,特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準の者をいう。』

『1号特定技能外国人に対しては,ある程度日常会話ができ,生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ,特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められる。』

 

特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

「特定技能2号」で在留する外国人に対しては、熟練した技能が求められます。これについても、運用要領で以下のように定義づけされています。

『長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい,現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって,例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる,又は監督者として業務を統括しつつ,熟練した技能で業務を遂行できる水準の者をいう。』

特定産業分野について

特定技能1号もしくは特定技能2号の在留資格を得るためには、特定産業分野で働いている必要があります。特定産業分野に該当するのは、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野です。
このうち「特定技能2号」で外国人を受け入れられる分野は、「建設」「造船・舶用工業」の分野のみです。

特定産業分野に該当していれば、外国人を雇用できると考えている方もいらっしゃいますが、特定技能に該当する能力を有する外国人の方でなければ不法就労となってしまいます。外国人を受け入れる際は、在留資格も含めて細心の注意が必要です。

 

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