川島孝一
第116回  投稿:2023.01.31 / 最終更新:2023.01.30

障害者雇用率の引き上げ

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション「S-PAYCIAL」

障害者の法定雇用率の段階的な引き上げが、労働政策審議会で決定しました。正確には法改正を待たなければなりませんが、法定雇用率は数年かけて段階的に引き上げられていきます。

法定雇用率が達成できない場合には、障害者納付金の支払義務が生じます。障害者を雇用することがそう簡単ではない会社もあり、実際に引き上げられてから慌てることのないように、事前に対策を取ることが重要となります。

今回は、障害者の法定雇用率の引き上げについて紹介をしていきます。

 

障害者雇用率制度について

障害者雇用率制度は、障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として共に生活できる「共生社会」の実現を理念としています。具体的な内容としては、すべての事業主に、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務を課しています。

この法定雇用率が、今後段階的に引き上げられます。

コラム「障害者雇用率の引き上げ」について

2023年1月現在の法定雇用率は、以下のようになっています。民間企業については、43.5人以上雇用する企業は障害者を1人以上雇用する義務が生じています。

・民間企業:2.3%

 

・国、地方公共団体:2.6%

・都道府県等の教育委員会:2.5%

 

労働政策審議会の資料によると、この法定雇用率が段階的に引き上げられる予定です。民間企業の引き上げは、2回に分けてそれぞれ次の法定雇用率になる予定です。

2024年4月   民間企業:2.5%

2.5%に引き上げられると、40人以上雇用する企業は障害者を1人以上雇用する義務が生じます。

 

2026年7月   民間企業:2.7%

2.7%に引き上げられると、37.5人以上の企業は障害者を1人以上雇用する義務が生じます。

 

国、地方公共団体については3%、都道府県の教育委員会については、2.9%に引き上げられます。雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークから行政指導が行われるので注意が必要です。

 

障害者のカウント方法について

雇用する障害者の人数は、実際に雇用している人数でカウントするわけではありません。障害の種類や程度によって、雇用している人数を次の人数に換算してカウントします。

 

週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満
身体障害者 1人 0.5人
重度身体障害者 2人 1人
知的障害者 1人 0.5人
重度知的障害者 2人 1人
精神障害者 1人 0.5人※

※精神障害者である短時間労働者で、次のいずれかを満たす場合は1人としてカウントされます。

1)新規雇入れから3年以内の方、または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方

2)2023年3月31日までに雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方

 

障害者納付金制度について

障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備など、特別の雇用管理が必要になります。健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

 

法定雇用率が未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金が徴収されます。納付金の金額は、不足1人当たり月額5万円です。

たとえば、12ヵ月間連続で2人不足している場合は、12ヵ月×10万円=120万円の納付金を支払う必要があります。

 

この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、調整金、報奨金が支給されています。調整金は、常用労働者が100人を超えている事業主で法定雇用率以上の障害者を雇用している場合に、1人につき月額27,000円が支給されることになっています。

報奨金については、常用労働者が100人以下の事業主で障害者を4%または6人のいずれか多い数を超えて雇用する事業主に対して1人につき月額21,000円が支給されることになっています。

 

雇用する労働者のカウント方法

常用雇用労働者の定義は、雇用契約の形式の如何を問わず、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される者(見込みを含む)をいいます。

 

具体的には、次の4つのいずれかに該当する者となります。1週間の所定労働時間が20時間未満の場合については、常用雇用労働者の範囲には含まれないという点については注意が必要です。

1)雇用期間の定めのない労働者

2)1年を超える雇用期間を定めて雇用されている者

3)一定期間(1ヵ月、6ヵ月等)を定めて雇用される者であり、かつ、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者、または雇入れのときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者(1年以下の期間を定めて雇用される場合であっても、更新の可能性がある限り、該当する。)

4)日々雇用される者であって、雇用契約が日々更新されている者であり、かつ、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者、または雇入れの時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者(上記3と同様。)

 

常用労働者の週所定労働時間が30時間以上の場合と、20時間以上30時間未満の場合でカウント方法が変わってきます。

・30時間以上の場合は、短時間以外の常用労働者として1人とカウントします。

・20時間以上30時間未満の場合は、短時間労働者として0.5人としてカウントします。

 

 

今回は、障害者雇用率の引き上げについて説明しました。法定雇用率が引き上げられるまで1年以上ありますが、引き上げ後の法定雇用率が達成できていない会社は、採用計画等の準備を計画的に進めていく必要があります。

 

鈴与シンワート株式会社提供する人事・給与・勤怠業務と財務・会計業務ソリューションはこちらからご覧ください。

著者のコラム一覧
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
800社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼など、お気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから

3,700社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼などお気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから