川島孝一
第96回  投稿:2021.05.27 / 最終更新:2021.05.27

テレワーク時の労災~通勤災害

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環で、在宅勤務等のテレワークが一般的になりました。そのような状況の中で、在宅勤務中の怪我や、サテライトオフィスへの通勤途上での怪我といった問題も起きています。
前回は、テレワークにおける労災保険の取り扱いについて紹介をしましたので、今回はテレワークの際の通勤災害についてみていきます。

テレワークの種類について

テレワークの種類には主に、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務をあげることができます。その中で、在宅勤務については自宅が就業場所となるため、通勤災害が認められる余地はないと考えられます。一方で、モバイルワークやサテライトオフィス勤務の場合は、自宅から就業場所までの移動中に負った怪我等については通勤災害が認められる可能性があります。
通勤災害の基本的な考え方をおさらいしていきたいと思います。

通勤災害とは?

通勤災害とは、労働者が通勤により被った怪我、病気、障害又は死亡を言います。通勤災害として認められるには、就業の場所と住居間を合理的な「経路」及び「方法」で行っていることが必要になります。
就業の場所と住居間の移動は次の3つのパターンがあります。

① 住居と就業の場所との間の往復
一番スタンダードな通勤になります。サテライトオフィスが複数あったとしても、それぞれが就業場所と認められ、自宅からサテライトオフィスまでが通勤になります。

② 就業の場所から他の就業の場所への移動
ダブルワーカーを想定したルールです。最初の仕事が終了して次の仕事を行うために2つ目の就業場所に向かう移動であっても、この間は通勤として認められます。

③ 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
転勤に伴って、転勤の直前の住居(自宅)と就業の場所(赴任先)との間を日々往復することが困難となり、一定のやむを得ない事情で次のA、B、Cのいずれかに該当する者と別居することになった者は、自宅と赴任先住居間の移動も通勤として認められます。

A:配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む)
B:配偶者がない労働者の子
C:配偶者及び子がない労働者の父母又は親族(要介護状態でかつ、当該労働者が介護していた父母または親族に限る)

合理的な経路及び方法とは?

合理的な経路については、通勤のために通常利用する経路であれば、複数あったとしてもそれらの経路はいずれも合理的な経路となります。また、当日の交通事情により迂回した経路等も、通勤のためにやむを得ないものとして合理的な経路となります。しかし、合理的な理由もなく、著しく遠回りとなる経路をとる場合などは、合理的な経路にはなりません。
次に、合理的な方法ですが、運転免許を一度も取得したことのない人が車を運転したり、泥酔して車や自転車を運転した場合は合理的な方法とは認められません。一般的には、常識の範囲内であれば合理的な方法として認められます。

逸脱と中断

「逸脱」とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれることをいい、「中断」とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うことをいいます。しかし、通勤の途中で経路近くの公衆トイレを使用する場合や経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などのささいな行為を行う場合には、逸脱、中断とはなりません。
通勤の途中で逸脱又は中断があると、その後はすべて原則として通勤とはなりません。ただし、次のケースに該当する場合は、例外が設けられており、経路をそれている間は通勤にはなりませんが、合理的な経路に戻った後は再び通勤となります。

① 日用品の購入その他これに準ずる行為
② 職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
③ 選挙権の行使その他これに準ずる行為
④ 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

勤務時間の一部にテレワークを行った場合の考え方について

始業時間に間に合うように、自宅を出発して就業場所に向かうのは当然通勤となります。しかし、テレワークでは、午前中は自宅やサテライトオフィスで作業を行い、午後は出社するパターン等も考えられます。このような場合の労災保険の考え方についてみていきたいと思います。

原則的な考え方として、移動途中の自由が確保されているかどうかで判断することになります。会社の指示等で出社し、かつ移動途中の自由が保障されていない場合は、労働時間となります。したがって、会社へ出社する途中に怪我等をした場合でも、通勤災害ではなく、労働災害として取り扱うことになります。
一方で、移動途中の自由が確保されている場合は、合理的な経路及び方法で出社する途中であれば、通勤災害になります。
単純に会社へ出社する途中だからといって、通勤災害になるわけではない点は理解しておきましょう。

 

就業場所の多様化によって、労働時間に該当するのか、通勤時間に該当するかの判断が難しくなってきています。労働災害や通勤災害は突然発生します。実際に怪我してから慌てて確認するのではなく、原理原則については事前に把握しておくようにしましょう。

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