川島孝一
第157回  投稿:2026.07.07 / 最終更新:2026.07.06

有期雇用契約書の記載項目の追加

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2026年10月からパートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を進めるため、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが改正されることになりました。

具体的な変更内容は、雇い入れ時の労働条件明示事項の追加、「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正、雇用管理の改善等に関する措置の内容の3点になります。

今回は、有期労働契約の基本的な考え方と、雇い入れ時の労働条件明示事項の追加についてみていきます。

労働契約の基本原則について

労働契約の締結や変更は、以下の原則にもとづいて行う必要があります。

これは原則的な考え方なので、雇用契約を締結する際は意識するようにしましょう。

(1)労使の対等の立場によること

(2)就業の実態に応じて、均衡を考慮すること

(3)仕事と生活の調和に配慮すること

(4)信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならないこと

従業員と労働契約を締結することができる期間

原則として労働期間を締結できる期間は3年間以内となります。ただし、この期間には特例が設けられています。特例は、次の3つがあります。

特例①

専門的知識等であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当するものを有する労働者がそのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合に締結する労働契約については、契約期間を5年以内とすることができます。

高度な専門知識等とは、医師や薬剤師、弁護士等などがあたります。ただし、専門的な知識を持つ者を雇用しても、業務内容が専門知識以外であった場合は特例の対象外になります。対象外になるケースでは、3年以内の雇用契約しか締結できません。

特例②

満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約は、5年以内の期間を設けて締結することができます。高齢者になればなるほど就業の機会は限られてきます。そのため、一回の雇用契約期間を長く締結できるように例外が設けられています。

特例③

ダムの建設事業や大規模なトンネル工事を行う場合、工期が3年を超えてしまう場合があります。そのような有期事業の場合は、その事業の完了に必要な期間の労働契約を締結することができます。このケースでは、5年や8年などの具体的な年数が定められているわけではないので、10年間かかる事業であれば10年間の雇用契約を締結することができます。

労働条件を想起させる画像

労働条件の明示について

労働者を雇用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。具体的には労働基準法施行規則第5条第1項に規定されている (1)から(14)までの事項を明示することになります。

なお、(1)から(7)については原則として書面の交付により明示する必要があります。(8)から(15)については定めをした場合は明示しなければならないルールになっています。


(1)労働契約の期間に関する事項
(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
(3)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項(変更の範囲を含む。)
(4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

(5)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(7)無期転換の申し込みに関する事項
(8)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項

(9)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項

(10)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(11)安全及び衛生に関する事項
(12)職業訓練に関する事項
(13)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(14)表彰及び制裁に関する事項
(15)休職に関する事項

※(2)については、期間の定めのある労働契約であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合がある者の締結に限り、明示する必要があります。

※(7)については、契約期間中に無期転換の申込みが可能な場合に限り明示する必要があります。

有期雇用契約の労働条件明示事項について

雇用契約を締結する際の原則的な明示事項についてみてきました。

次に、有期雇用契約を締結する際の明示項目についてみていきます。

基本的な考え方は上記内容と同じになりますが、有期雇用契約の場合は、以下の項目についても必ず明示をしなければならないことになっています。

・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

2026年10月からは、上記に加えて「待遇の相違等に関する説明を求めることができる」という項目の明示が必要となります。具体的な文言については、厚生労働省のリーフレットに以下のように記載があります。

労働条件通知書の記載例

次の窓口に対して通常の労働者との間の待遇の相違(内容・理由)等について説明を求めることができる。

部署名    担当者職氏名     (連絡先)

出典:厚生労働省 「パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001698010.pdf

今回の改正は、パートタイム労働者などの有期雇用契約で働く方たちの待遇改善を進めるために行われています。正社員とパートアルバイト従業員で不合理な差が発生していないか改めて点検するとともに、労働条件通知書に「待遇の相違等に関する説明を求めることができる」旨の項目もきちんと入れるようにしましょう。

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