石田昇吾
第62回  投稿:2026.06.16 / 最終更新:2026.06.15

税法上の繰延資産について②

今回は、法人税法基通8-1-5の「電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、 関税、据付費その他の費用」 について概要と具体例を解説いたします。

1.法人税法基本通達


(資産を賃借するための権利金等)

8-1-5 次のような費用は、令第14条第1項第6号ロ《資産を賃借するための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。(昭55年直法2-8「二十八」、平19年課法2-3「十八」、平19年課法2-17「十六」により改正)

(1) 建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用

(2) 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用

引用:国税庁 「第8章 繰延資産の償却 第1節 繰延資産の意義及び範囲等」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/08/08_01.htm

上記のような支出は、税法独自の繰延資産に該当するという考え方になります。

2.規定(法人税法基本通達)の趣旨

権利金は、その権利金を支払うことでその物件に入居することができることから、支払の効果が、入居中存続すると考えられるため、繰延資産とします。

また、固定資産を取得した際には付随費用(引取費用・据付費など)を取得価格に算入するのに対して、賃貸に伴って支出する付随費用(引取費用・据付費など)は一括で損金算入できるのは公平の観点からバランスを欠くため、賃貸の場合の付随費用を「税法上の繰延資産」と位置づけ、一括の損金算入を認めないという扱いになっています。

財務・会計の処理をしている場面を想起させる画像

3.償却期間

 (1) 建物を賃借するために支出する権利金等

①建物の新築に際して支払った権利金等・・・原則、その建物の耐用年数の10分の7に相当する年数

②上記の権利金等の場合・・・原則5年(契約による賃借期間が5年未満の場合において、契約の更新に際して再び権利金等の支払を要することが明らかであるときは、その賃借期間)

 (2) 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用

その機器の耐用年数の10分の7に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、その賃借期間)

4.適用範囲

電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用には、搬入費、設置費、初期設定費用、輸入関税、調整費などが該当するものと考えられます。

なお、「建物の賃借に際して支払った仲介手数料」は、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。と国税庁のホームページに明記されています。

5.仕訳例

①期首にインターネット通信サービスのレンタルに伴い、設定費用¥550,000(税込)を支払った。償却期間は5年とする。

長期前払費用 500,000普通預金 550,000
仮払消費税等  50,000

※あくまでも税法の要請により資産計上するものとなりますので、会計上は「長期前払費用」とするのが妥当と思われます。なお、繰延資産は支出年ですでに役務提供が完了しておりますので、一括して仕入税額控除が可能です。

②決算時

長期前払費用償却  100,000長期前払費用 100,000
(又は、支払手数料)

以上 今回は、税法上の繰延資産について取り上げました。

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