【人事評価制度】人事評価における目標設定方法と評価方法を解説
目次
企業を成功に導くうえで欠かせない要素のひとつに人事評価における目標設定があります。
曖昧な目標を設定してしまうと従業員は自分の役割やミッションを正確に理解できず、十分にパフォーマンスを発揮できません。
また、営業職のように目標を数値化できる職種であっても、設定した内容が適切でなければ会社が期待するパフォーマンスとズレが生じ、会社が期待する成果を上げられないといったケースも見受けられます。
本記事では、目標設定の考え方や注意点、設定する目標の質が向上するフレームワークなどについて解説していきます。
従業員のベストパフォーマンスを引き出す最適な目標設定をしたいとお考えの方は、是非参考にしてください。
人事評価における目標設定とは何か
人事評価における目標設定とは、従業員に対して達成すべき目標やプロセスを明確に示し、一人ひとりのパフォーマンスを最大化するために欠かせないものです。
また、公平公正な人事評価を実施するうえで、評価者によって評価がブレにくく、被評価者が評価結果に納得できる具体的な目標を設定することが重要です。
しかし、会社の中には目標を数値化できる職種と数値化できない職種が混在しているため、それぞれの職種に合わせて目標の設定方法を使い分ける必要があります。
目標設定をする際の注意点
目標設定は諸刃の剣です。適切であれば生産性やモチベーションが上がり、不適切であれば逆の効果をもたらします。
目標設定が悪影響になるケース
従業員の多くは、自分の会社での役割や会社から期待されていることが不明瞭な場合、モチベーションとパフォーマンスが低下する傾向にあります。
たとえば、以下のような目標設定は従業員のモチベーションやパフォーマンスを低下させてしまう可能性があります。
- 求められている成果が曖昧
- やるべきことが曖昧
- 評価方法や評価基準が曖昧
- 高すぎる目標
- 低すぎる目標、現在の業務をただ継続するような目標
- 成果だけが反映された目標
このような目標では従業員が自分の会社での役割や会社から期待されていることを正確に認識できず、迷ったり自己判断に走るようになってしまいます。
また、本人なりに頑張ったにもかかわらず、会社が期待するものとのズレが理由で良い評価を受けられなければ、「頑張っても評価してもらえない」と従業員のモチベーションは一気に低下してしまうでしょう。
このように、従業員が十分にパフォーマンスを発揮できるか否かの半分は、目標を設定した側に責任があると言っても過言ではありません。
目標とは会社から一方的に押し付けるものではなく、従業員のベストパフォーマンスを引き出すための「オーダー」なのです。
評価は従業員の成長の糧
評価の段階では、必ず評価結果を従業員にフィードバックする場を設けましょう。
目標は「評価を円滑にする材料」という側面がある一方、「従業員の次期に向けた成長の材料」でもあります。未達成だったからとただ低評価を付けるだけでは、かえって従業員のモチベーションを下げてしまうことになり、評価制度としては片手落ちです。
なぜ達成できなかったのか、どうすれば達成に近づけたのかを伝えることで、従業員はモチベーションを落とすことなく引き続きチャレンジする意欲を持ち続けることができます。
目標設定の質を高めるフレームワーク「SMART」
目標の質が従業員のパフォーマンスを左右することは先にお伝えしましたが、適切な目標の立て方がわからず苦慮している組織や管理職の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、設定する目標の質を高める「SMART」というフレームワークを紹介します。「SMART」とは目標設定をするうえで満たすべき要件の頭文字をつなげたもので、これらの要件を満たすことで誰でも理解できる明確な目標設定が可能になります。
Specific:具体的であること
目標は誰から見てもわかる程度に「具体的」であることが大切です。達成すべきミッションは何か、どのように達成するのか、どのように評価するのかなど。
たとえば、「成約件数○件」といったように、できる限り数値を含んだ目標を設定しましょう。
Measurable:測定可能であること
達成の度合いが可視化できるよう、測定可能な目標を設定しましょう。
測定できない目標は達成度合いが評価できないため、従業員の成長につながらず、評価を受けた従業員の納得も得られません。納得感の低い評価や不当な評価はハイパフォーマーほど嫌う傾向があるため、十分に注意する必要があります。
たとえば、「月間の来客数を1,000人増加させる」といった目標であれば、「500人増加で50%達成」という誰から見ても明らかな評価が可能です。
Achievable:達成可能であること
目標は、現実的に達成可能な範囲内に設定する必要があります。現実味のない目標は自分ごとにならず、モチベーションにもつながらないためです。
たとえば「売上前年対比200%」という目標は現実離れしていると言えますが、会社と従業員がフラットな関係でなければ異議も唱えられず、意味のない形骸化した目標となってしまいます。
Relevant:経営目標と関連性があること
個人の目標は、所属する部門の目標と関連しており、所属する部門の目標は会社の目標と関連していることが重要です。
繰り返しになりますが、会社の目標を達成するための部門目標であり、部門目標を達成するために割り当てたものが個人目標であるべきだからです。
一方で、目標の達成と個人の成長や賞与などのメリットをうまく結びつけられないかも検討すると良いでしょう。そうすることで従業員のモチベーションをさらに高め、より効果的な目標として機能します。
Time-bound:期限が明確であること
目標は期限を設定し、努力すれば期限内に達成できるものである必要があります。
期限を明確にすることでペースが生まれ、期限内達成を見据えた計画性と集中力が生まれるからです。
たとえば、「3ヶ月以内に新規顧客を30件獲得する」という目標であれば、「1ヶ月で10件獲得できているか」をマイルストーンに自己評価しながら取り組むことができるでしょう。
具体的な目標設定方法
目標設定をするにあたり、数値化しやすい職種と数値化が難しい職種は設定方法を使い分ける必要があります。
目標を数値化できる場合の設定例
営業職など目標を数値化できる職種は、比較的目標設定がしやすい傾向にあり、イメージも付きやすいでしょう。
ただし、成果だけを数値化して目標としてしまうのは誤りです。評価が殺伐としてしまううえ、何が足りなかったのかがわかりづらく、従業員の成長につながりにくくなってしまいます。
たとえば「アポイントの件数」や「提案件数」など、成果に直結するプロセスに対しても数的目標を設定することをおすすめします。
達成・未達成にかかわらず、どの行動がその成果につながったのかを可視化でき、本人も成果につながる行動が起こしやすくなるためです。
目標を数値化できない場合の設定例
目標を数値化できないバックオフィス職などは、公平な評価が難しく目標設定に苦慮する部門です。また、ルーティン業務が多くモチベーション維持にも苦戦するでしょう。
この場合は、従業員のスキルアップを促進する目標や、業務量・処理スピード・業務の効率化などを目標にすることをおすすめします。
このほかにも、他部門の従業員への貢献度を数値化するために、サンクスカードを導入して評価してもらう、受け取った枚数を評価に加えるといった方法も効果的です。
まとめ
目標設定は、人事評価のみならず組織全体の生産性に関わる重要な要素のひとつです。
しかし、公正な目標設定が困難なこともあり、つい成果主義的な目標を設定してしまったり、部門長に任せきりになってしまいがちです。
適切な目標は各個人のパフォーマンスを高め、組織全体の活性化に直結するため、リソースを割いて構築する価値が十分にある分野と言えます。
今回ご紹介した「SMART」を参考に、従業員のベストパフォーマンスを引き出す素晴らしい目標設定を実現してください。
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