園田信二
第01回  投稿:2023.04.13 / 最終更新:2023.04.20

社員が『業務改革プロジェクト』に参画しない本当の理由

 

つもり積もった経営者への不信感は簡単に払拭できない

 

「ソノダさん、業務改革プロジェクトは、私たちをもっと働かせるためにやっているんでしょ」

 

社員300名程の顧問先の中堅社員の言葉です。当該顧問先は、つい最近、クラウドサービス型の人事システムの導入により、情報共有の簡素化や業務の効率化を実現し、業務工程そのものの見直しなど、よりコアな業務に専念することができるようになりました。

次のステップとして、顧客の要望や経営環境の急変に対して、機動的に対応できるチームワークを構築しようと、現場発の意識・業務改革プロジェクトを立ち上げました。ところが、このプロジェクト推進に非協力的な社員が少なくないのです。

実は、この顧問先は、永年、経営者が現場の職場環境改善に無関心で、サービス残業や休日出勤が当たり前でした。その結果、社員の疲労が心身ともに蓄積し、度重なる人為的なミスが発生し、業務が停滞していました。そんな状況の中、現場の社員は、プロジェクトで提案したアイディアがちゃんと経営者に届き、建設的に検討されるのか、根強い不信感を持っていたのです。

会社組織は人間の身体と同じです。新しい人事システムを「心臓」とし、そのシステムで処理された情報を組織に循環させ、業務に活用させる経営者や管理職の役割を「血管」、そして現場を「筋肉」と考えてみましょう。どんなに立派な心臓を持っていても、現場の声に耳を傾けずにマネジメントをしてきた経営者や管理者に対する不信感で血管が詰まった状態では、筋肉である現場は、自律的に動けなくなるばかりか、壊死してしまうかもしれないのです。

 

つまり、業務改革プロジェクトなどをスタートさせる前に

① 経営者(以下、管理職も含む)が現場に対してどのように向き合っているか。

② 社員は経営者に対してどのように向き合っているか。

③ ①、②の結果として、現場や業務の実態はどうなっているか。

これらをまず診断して、必要なマネジメントの仕組みを構築・運用する必要があるのです。どのように診断すればいいのか、弊社の考え方を次に紹介していきましょう。

 

組織の成長レベルで診断してみる

弊社では、組織には「成長レベル」があると考えています。「成長レベル」とは、経営者および社員の士気の高低、その結果としての現場力(自律的かつ絶えず課題を解決する力)と業務品質(QCDS)の満足度で表すことができます(表1参照)。

表1 組織の成長レベル

成長レベル

区分 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4
経営者 屈辱 無関心 敬意 協働
社員 敵対 疎外感 自律
現場力 混乱 たこつぼ 連鎖 学習
業務品質 事故 停滞 通常

 

成長レベル1の組織とは・・・

① 経営者が社員に屈辱的な態度(現場のミスを社内外に言いふらす、現場の仕事をバカにするなど)をとることが常態化しています。
責任を追及したりすることはあるにせよ、ミスをした社員に対して怒鳴るなどの行為は経営者の保身のためではないですか?

② ①のような経営者に対する社員の不信感は頂点に達しています。「この会社を困らせてやろう」と悪意を抱く社員が潜伏していても不思議ではありません。社内外で労働組合が組織されていたりする場合、労使紛争も辞さない状況になっているかもしれません。
突然、労基署からの是正勧告が来たり、労組から団体交渉の申し入れが来たりして、慌てふためいたことはありませんか?

③ 現場は整理整頓が全く行き届かず、必要な情報を探すのにも多大な時間を要します。「自分だけ割を食いたくない」という思いが蔓延り、誰も業務に責任を持とうしません。
現場が悪口の言い合いの場になっていませんか?

④ 業務品質面では、属人的な業務が多く、業務工程やイレギュラー対応時の判断基準が曖昧で、同じミスを繰り返し、最悪の場合、事故につながる可能性もあります。
「これ、どういう基準で決定しているの?」という問いに対して、「『こうした方がいいだろう』、『これでいいだろう』と思ってやりました・・・」という答えが帰ってくることはありませんか?

 

成長レベル2の組織とは・・・

① 経営者が、現場の属人的な努力・作業に頼り切っている一方で、現場の課題や社員の働き方に無関心になっています。
「俺は現場に任せている!」と権限委譲をしているように見せかけて、実は、現場に丸投げしていませんか?

② ①のような経営者に対して、現場の社員は、「経営者から私たちは大事にされていない」と感じています(=疎外感)。疎外感を抱いた社員が、経営者の思いを大事にすることはあり得ません。具体的には経営ビジョンや事業計画などに共感し、当事者意識や参画意識を持って業務にあたることは期待できないのです。

ブラック社員は、疎外感を持つ社員に、会社に対する反感や悪意を植え付けて、仲間を増やそうとします。労働組合は、「親身になってくれるのは労働組合」と宣伝して、仲間を増やす絶好の機会と捉えます。

③ 現場は、「自分たちの仕事だけはしっかりやろう」という部分最適の視点になりがちです(=たこつぼ化)。経営ビジョンや事業計画に対する共感がないまま、何のために仕事をするのかが腹に落ちていないため、前後の工程間や組織間の繋がりにも関心がありません。
例えば、「何故、レンガを積んでいるのですか?」という問いに対して、「積めと言われたから」と答えるしかないのは、「外敵から守る城を作るため」というビジョンが共有されていないからです。

④ 「たこつぼ化」している現場では、業務はなんとか回りますが手直しが頻発し、よく停滞します。
「なぜ、こんな勤務をアサインしたの?研修があるから、配慮してくださいとお願いしてたでしょ?」、「そうでしたか?いつそんな話聞きました?」、「すぐに手直しして!」・・・こんな会話が常態化していませんか?

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まず、マネジメントの仕組みづくりが大事

皆さんの会社で当てはまるところはありませんか?もし、成長レベル1や2の組織が、課題を放置したまま、次のような更に高い組織レベルを目指そうと、業務改革や意識改革に取り組んだら、どうなるでしょう?

 

成長レベル3:経営者が率先して働く環境を整備し、経営情報を開示・共有する。社員は自己と経営者の目標を認識し、摺り合わせて、全体最適の視点を持ち、部署間が協力し合っている。マニュアルどおりに業務が淡々と遂行されている。

 

経営者や管理職の思いとは裏腹に、「業務改革プロジェクトは、私たちをもっと働かせるためにやっているんでしょ」・・・こんな声が聞こえてくるのではありませんか?

成長レベル1では、事故、労基署、労働組合対応で通常業務もままならないのですから。まずは、会社を正常化することに全力を傾注しなければなりません。

成長レベル2からのレベルアップのためには、組織や人をマネジメントする仕組みも併せて構築していく必要があります。

この仕組みを介して、経営者の思い(経営戦略や社員に対する期待)が現場に伝わり、社員の本音(社員自身の夢や、現場の知恵)が経営者に伝わってこそ、社員は「自分は経営者に認められている」、「会社の成長と共に自分も成長できている」という「働くよろこび」を実感し、「経営者ならどうするだろう?」と自問自答しながら、機動的に仕事をするのです。

ITを活用したソリューションシステムを導入・構築したこの機会に、改めて、組織レベルやマネジメントの仕組みについても、振り返ってみませんか?

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