国土交通省の i-Constructionとは?
目次
i-Constructionという言葉を聞かれたことはあるでしょうか?
少し専門的ですが、建設関係のお仕事をされている方ならご存知かと思います。
i-Constructionとは具体的にはどのような取り組みなのでしょうか?
建設業におけるi-Constructionについて調べておきましょう。
i-Constructionってなに?
i-Constructionとは、主にICT(情報通信技術)を取り入れ建設事業の生産性向上を目指す取り組みです。
i-Constructionの成果を土台として、現場管理を効率化する建設業働き方改革加速化プログラムが進められます。
今、建設業は危機的な状況を迎えています。建設・土木事業の市場規模は60兆超えで建設ニーズが高まるにもかかわらず、技能者の高齢化や土木事業者に言われる3K(きつい・汚い・危険)という現場環境により人手が不足しています。
これらを改善するために導入されたのがi-Constructionで、3つの取り組みに分かれます。1つ目は土木におけるICT技術の全面的な活用です。ドローンを用いた3次元測量やICT建設機械による施工などがあります。
2つ目はコンクリート工における規格の標準化です。規格を標準化し、業務の効率化を図るという取り組みです。3つ目は施工期間の平準化です。繁忙期と閑散期という極端な状況をならし、施工期間をできるだけ平準化しようという取り組みです。
このようにi-Constructionは土木・建設業の労働者の確保、土木・建設業の環境整備など、生産性向上をもって魅力ある建設現場を目指す取り組みです。
i-Constructionが始まった背景とは?
日本の人口は年々減少傾向にあります。そのことにより、生産年齢人口の急激な現象が起きています。その中でも建設業界は深刻で、今までの生産性を維持できないという問題を抱えています。
近年の自然災害の増加も背景にあります。自然災害の増加に伴い家が倒壊することにより、建設工事は増えていく一方です。しかし日本では建設事業へのインフラ設備の投資は減少しています。
また、これらのことにより建設事業の環境もよくなりません。賃金は低く、就労中の人身事故は減ってはいますが未だあるのが現状です。
このように、労働力の高齢化・若年層の労働力不足、建設業界の仕事の増加、劣悪な建設事業環境が背景となってi-Constructionは導入されました。
i-Constructionの目的とは?
建設・土木事業の高齢化と若年従事者の減少という問題を解消すべく、建設・土木事業はこれまでより少人数・少ない工数で同じ工事量を実施するという、長期的で持続可能な建設事業体制が求められています。それを変えるために導入されたのがi-Constructionです。
具体的には重機の操作や測量作図の技術など、人手に頼っていた技術を短期間で習得する、土木・建設事業が敬遠される理由となる3Kを新3K(給与が高い・休暇がある・希望が持てる)に一新させることによる人手不足の解消及び有能な人材の確保、全国津々浦々で中小の建設事業を劇的に変える、といったようなことを目的としています。
このように、土木・建設事業はさまざまな問題を抱え困窮しています。この問題を払しょくすることを目的として導入されたのがi-Constructionなのです。
i-Constructionのメリットとは?
i-Constructionにはさまざまなメリットが報告されています。1つには作業効率の向上があげられます。例えばドローンによって測量を行うことによって、細かく測るような作業を減らすだけではなく、精度よく図面化することができます。それによって、作業時間の短縮につながり、人員が少なくても効率よく作業ができます。
2つ目には規格の統一によって、資材の無駄を省いたり、効率的に物を組み立てられるようになったりするので、資源活用の効率化と工期の短期化につながります。
3つ目は施工管理の期間が安定するということです。今までなかなか予測がつきにくかった工事期間が分かりやすくなり、管理が容易になります。
それによって、完了までの期間が分かるようになり、効率的な人員配置ができるだけでなく、従業員にしっかりとした休暇を取らせることもできます。
i-Construction導入する際の課題とは?
i-Constructionを導入するには導入そのものや運用に課題があります。導入するにしても、ドローンなどの資材や計算ソフトなどといった設備面をそろえる必要があります。
そろえる際に、多額の費用がかかることが想定されますが、運用をする際には予めその分の予算を取っておかなければなりません。
また、新しい技術を導入・運用をするには、それに詳しい人がいないとなかなか継続できません。IT関連などに弱い人材ばかりなら、設備がそろっていても使うことができません。人材育成や確保をしつつ、運用を続けるようなことが求められます。
それらの問題を踏まえて、運用する際に費用対効果が得られるかどうかという検討ができますが、それが本当に効率よくいくかは未知数な点があるのも課題です。
i-Constructionについて
i-Constructionとは、主にICT(情報通信技術)を取り入れ建設事業の生産性向上を目指す取り組みで、土木におけるICT技術の全面的な活用、コンクリート工における規格の標準化、施工期間の平準化という3つの取り組みがあります。
i-Constructionが始まった背景には、労働力の高齢化・若年層の労働力不足、建設業界の仕事の増加、劣悪な建設事業環境があります。これらの問題を払しょくすることを目的として導入されたのがi-Constructionです。これが進められると、作業効率の向上、資源活用の効率化と工期の短期化などのメリットがあります。i-Constructionにおいては、導入や運用におけるコストや、ITに詳しい人材の確保や育成などが課題となります。
ハードルはなかなか高いですが、建設業の現状を打破するにはi-Constructionを推進する必要があります。