野田宏明
第09回  投稿:2015.04.26 / 最終更新:2018.11.09

有期労働者の無期転換ルールに特例ができました

平成25年4月に改正労働契約法が施行され有期労働契約の「無期転換ルール」が導入されましたが、みなさま覚えていますでしょうか?
これは、有期労働契約が「5年」を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換しなければならないというものです。
このルールは、当時、いろいろと運用面での課題が持ち上がりました。
例えば、

・大学等の非常勤講師等が1年単位の有期契約を継続しているケース
・5年を超えるプロジェクトに有期契約にて従事させる高度専門職のケース
・六十歳以降の定年再雇用により嘱託等で有期契約を継続するケース

などです。

いずれも、通常の有期労働契約とは異なり、少し特殊なケースと言えるでしょう。
つまり、5年を超えるプロジェクトに高度専門職の人員を有期契約で雇った場合、5年を超えた後に「無機転換ルール」に該当し、本人が希望すれば、会社側は有期労働契約から無期労働契約に転換しなければならない義務が発生します。従って、プロジェクトが終了した後も、高度専門職の人員を無期契約として雇用し続ける状況になるわけです。
また、60歳以降の定年再雇用者に関しても、嘱託などの有期労働契約が5年を超えると無期契約に転換できるということになります。定年後に有期雇用になった社員がまた無期雇用になるため、さらに上の定年を定めなければ生涯雇用する?という状況にもなるわけです。

これらの特例的な事情について、まず、大学の研究員や教員に関しては平成26年4月より、無機転換までの原則5年を10年に変更する特例が設けられました。
そして、平成27年4月からは以下のケースについても、特例が設けられるようになりました。

(1) 専門的知識を有する有期雇用労働者(高度専門職)
→無機転換までの5年が「プロジェクトの完了期限まで(最大10年)」
(2) 定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)
→その事業主に定年後引き続いて雇用される間は無期転換とはならない

注意が必要な点は、それぞれ特例の適用を受けるためには、労働局に対する認定申請が必要になるということです。勝手にこの特例ルールを適用してはいけません。
継続雇用の高齢者については、ほとんどの企業に関係してくる内容でしょう。無期転換申込権の行使があった後にこの特例を適用することはできませんので、あらかじめ計画を立てて準備しておくことが肝要です。

特例の適用を受けるためには、事業主が雇用管理措置の計画を作成した上で、本社のある都道府県労働局の認定を受けます。高度専門職と継続雇用の高齢者についてはそれぞれ別の申請になります。
例えば、継続雇用の高齢者の認定申請には、高年齢雇用確保措置が一定の基準で講じられていることなどの記載が必要となります。

出典「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」厚生労働省

 

改正当初はいろいろと課題があり、企業側もそれに応じた対策をとっている状況がありましたが、現実に即した形で改正が進められています。企業もこのルールに則って、労働者の理解を得ながら適切に対応を進めるべきでしょう。

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