野田宏明
第33回  投稿:2023.04.03 / 最終更新:2023.03.31

36協定届、就業規則届の手続き簡素化に向けた取り組み

毎年、3月~4月頃は36協定や就業規則届を提出する企業が多いと思います。事業場の数が少ない企業であれば、それほど手間のかかるものではありません。
しかし、全国に事業場(店舗など)が多くある企業は、その事業場毎に管轄の労基署へ提出する必要があり、取りまとめる本社人事部などの大きな負担になっていることがよくあります。

これらの課題については、厚生労働省も手続きの簡素化に取り組んでおり、「本社一括届出」の要件緩和や、電子申請のAPI対応といった対応が進められています。これらが活用できる場合で、まだ事業場毎に書面提出をしている企業は、是非検討をしてみるべきでしょう。

 

本社一括届出

本社一括届出の方法は以前からありましたが、一括できる要件が厳しく、使いたくても使えない企業が多くありました。具体的には、「協定事項のうち、事業の種類、事業の名称、事業の所在地、労働者数以外の事項が同一であること」という条件であったため、労働者代表が事業場毎に異なる場合(つまり、労働組合が無い場合)、本社一括は利用できないといった点です。

そこで令和3年に、電子申請で届ける場合に限って、労働者代表が異なる場合でも、本社一括を利用できるよう、下図のとおり要件が緩和されました。その他、電子申請において電子証明書を不要とする変更なども同時に行われました。これにより、「本社一括届出」を活用する企業が多くなりました。

36協定届 就業規則届 一年単位の変形労働時間制に関する協定届
・労働保険番号
・事業の種類
・事業の名称
・事業の所在地(電話番号)
・労働者数(満18歳以上の者)
・協定成立年月日
・(労働者側)協定当事者 ※

以外の協定内容が同一
であること

電子申請の場合に限り、協定の労働者代表が事業場ごとに異なっていても本社一括届出を可能としています

①本社で作成された就業規則と各事業場の就業規則の内容が同一であること

②各事業場分の労働者代表の意見書が添付されていること

のいずれも満たしていること

▪事業の種類
▪事業の名称
▪事業の所在地(電話番号)
▪常時使用する労働者数
▪該当労働者数(満18歳未満の者)
▪協定成立年月日
▪(労働者側)協定当事者

以外の協定内容が同一
であること

一年単位の変形労働時間制に関する協定届出は、電子申請の場合のみ可能としています

(出典)「36協定届」や「就業規則(変更)届」など労働基準法などの電子申請がさらに便利になりました!
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000919894.pdf

 

 

しかし、令和3年の要件緩和においても、まだ本社一括が活用できないという企業もあります。
36協定であれば、上図に記載されている項目以外の協定内容が同一である必要があり、例えば「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」や「業務の種類」が本社と店舗等で異なる場合は、やはり本社一括を活用することができないことになります。
また、就業規則届においては、本社と店舗の就業規則が異なり、店舗に本社の就業規則は備え付けないといった場合には利用できないということがあります。
どの企業でも利用できるようにするには、より一層の要件緩和が求められます。

これについて、政府の規制改革推進会議では、以下のような検討が進められています。

厚生労働省は、時間外労働・休日労働に関する協定届(36 協定届)の本社一括届出について、届出の内容が異なる場合でも一括届出を可能とし、これを、 本社を管轄する労働基準監督署から各事業場を管轄する労働基準監督署に送付(送信)するなどにより処理することが可能となるような方策について、システム改修を視野に速やかに検討を進め、一定の結論を得る。

(出典)令和4年 12 月 22 日 規制改革推進に関する中間答申
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/opinion/221222.pdf

 

令和5年度上期に結論を出すスケジュールのようですので、早ければ令和6年度の36協定においては、本社一括届出がより活用しやすくなるかもしれません。期待したいところです。

「36協定届」や「就業規則(変更)届」など労働基準法などの申請

労働基準法関連届のAPI申請対応

36協定や就業規則変更届などの労働基準法に関する届は、以前よりe-Govの電子申請に対応していました。しかし、API(Application Programming Interface)は公開されていなかったため、市販の業務システムからAPIを利用した直接の電子申請は利用できず、e-Govから電子申請する必要がありました。

現在はAPIが公開され、市販の業務システムから電子申請が利用可能になってきており、人事労務関連の製品において、対応が進んできている状況のようです。

 

e-Govは令和2年の全面リニューアルによって、操作性が色々と改善されましたが、やはり各種情報が登録されている業務システムから直接申請することができれば、作業はよりシンプルになり、省力化できます。利用している人事労務関連の業務システムが36協定等に対応しているのであれば、その活用を是非検討してみるべきでしょう。

 

◇◇◇

 

企業の労働・社会保険手続きについては、押印の省略、同意書の省略など、近年様々な点で簡素化が行われてきました。引き続き、政府はデジタル化や手続きの簡素化を進めています。

例えば最近では、ハローワークがFAXを廃止し、オンラインシステムや電子メールに移行を進めています。ハローワークから手続きの追加書類(賃金台帳など)を求められる場合、これまではFAXか郵送のみでしたが、FAXではなく電子メールにてPDFを添付して送信するようにと言われます。令和5年3月時点では、まだ一部ハローワークのみですが、今後全国的にそのような対応になるのでしょう。突然運用を変更されると、企業や社労士事務所は戸惑ってしまうところもありますが、長年変わらずにFAXを利用し続けてきた行政が変わりつつあるんだなと実感します。(ただ、電子メールもセキュリティ事故のリスクを考えるとどうかと思いますが・・・)

 

企業としては、それら行政のデジタル化や簡素化の最新情報を把握し、DXの一環として業務効率化を継続的に図っていく必要があるでしょう。

 

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