野田宏明
第31回  投稿:2021.03.11 / 最終更新:2021.03.10

社会保険手続きの押印廃止のまとめ

令和2年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」において、押印を求めている手続きについて、国民や事業者等の押印等を不要とする改正を行うことになりました。これを受けて厚生労働省は社会保険手続きに関しても、原則として押印を求めないように各種の改正を行っています。
具体的に、社会保険関係手続きはどのような対応に変わっているのか、健康保険組合など民間の機関はどのような対応をとっているのか、現時点の状況をまとめたいと思います。

厚生年金

日本年金機構は、令和2年12月25日から厚生年金等に係る手続きの押印を原則として廃止しました。ただし、金融機関へのお届け印、実印による手続きが必要なもの等については、引き続き押印が必要です(口座振替納付申請などかなり限られた手続きです)。
これに伴い、各様式から「印」の表示がなくなりました。記名があれば受け付けが可能です。手書きによる署名でなくとも、ゴム印やプリンターからの印字でも問題ありません。
なお、従業員の押印が必要な書類(育児休業終了時月額変更届など)も押印が不要となりました。代わりにチェックボックスに本人がチェックする対応となります。

雇用保険

雇用保険についても、年金と同様に令和2年12月25日から原則として押印を廃止としました。事業所設置など一部の手続きは押印が必要ですが、通常発生する手続きに関する押印は不要となります。
また、新型コロナによる雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の申請を行っている企業も多いかと思いますが、これについても押印は不要になっています。
雇用保険は事業所設置時に印鑑登録が必要となりますが、これは継続されるようです。押印不要になった書類については意味がないのですが、一部に押印必要書類があるため残す判断なのでしょう。ここも見直してほしいところです。

労災保険

労災保険も同様に令和2年12月25日から原則として廃止しました。事業主、従業員、医師の証明欄についての押印欄はすでに廃止されています。
厚労省が労働局に宛てた通知では、「請求人等の記名等について、全て同一の筆跡と思われる場合や全て情報通信機器を使用した印字である場合等、記名等の信ぴょう性につき疑義が生じた場合については、請求人等への電話照会等により確認を行うこと」とされており、各労働基準監督署で運用にばらつきがある可能性があります。可能であれば引き続き押印をしておく方が現時点では無難かもしれません。

労働基準法関連

36協定届については、押印廃止の対応により、令和3年4月以降に提出する様式が改定されます。代わりにチェックボックスが追加され、このチェックがないと形式上の要件に適合しないものとして返戻となります。旧様式で提出する場合には令和3年3月末までに届け出る必要があります。
注意すべき点は、この押印廃止は「協定届」に対するものであり、労使で締結する「協定書」とはまた別のものです。協定書については、Q&Aに以下の記載があります。

『協定書や決議書における労使双方の押印又は署名の取扱いについては、労使慣行や労使合意により行われるものであり、今般の「行政手続」における押印原則の見直しは、こうした労使間の手続に直接影響を及ぼすものではありません。引き続き、記名押印又は署名など労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法で締結していただくようお願いします。』

36協定届を書面で提出する場合は、ほとんどの企業において「協定書」を兼ねた「協定届」を作成しています。協定書を兼ねる場合は、上記のとおり引き続き記名押印または署名が必要とご認識下さい。

協会けんぽ・健康保険組合

令和2年12月25日の健康保険法施行規則の改正と合わせて、厚労省から「保険者が定める届出様式における押印の廃止について(要請)」(保保発1225第9号)」が発出され、協会けんぽにおいては、一部の手続きを除いて押印が廃止となりました。
健保組合に関しても、上記の要請を受けて各組合で対応を進めており、協会けんぽと同様に押印は不要とする方向で進められているようです。ただ、組合によっては、記名の方法について、プリンターからの印字ではなくゴム印等によるものとするなど、運用が異なるところがありますので、各組合に確認していただく必要があるでしょう。

電子申請

電子申請において必要となる電子証明書については、省略可能とはなりません。従前どおり電子証明書(または、一部手続きにおいてはGビズID)を付した手続きとなります。

 

押印廃止は事務効率化につながりますので、歓迎できるものです。ただ、一度に不要となったため、事業者側も行政側も、今のところ戸惑いがあるようです。
一方で、新型コロナの影響もあり在宅勤務が増えました。行政書類もそうですが、契約書や請求書、社内手続き処理など、押印による紙ベースでの業務を見直していくタイミングにあるでしょう。

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