野田宏明
第25回  投稿:2019.12.11 / 最終更新:2019.12.10

電子申請の義務化、離職証明書は紙提出でもよい?

最近になって、また電子申請義務化の問合せが増えてきました。
資本金等が1億円を超える特定法人は、2020年4月以降に開始される事業年度から義務の対象になりますので、電子申請にどのように対応するかを、もう決めなければなりません。社労士に委託せず、自社対応している会社は、利用するソフトウェアや申請方式を決定し業務手順の見直しに取り掛かる必要があるでしょう。

そのような中、最近よくいただく質問として、「雇用保険の資格喪失届は義務の対象になっているが、離職証明書は紙提出でも可能なのか?」という内容があります。
確かに厚労省のリーフレットを見ても「被保険者資格喪失届」とは書かれていますが、「離職証明書」の記載はありません。
同じく、「高年齢雇用継続給付支給申請」や「育児休業給付支給申請」の記載はありますが、「六十歳到達時賃金月額証明書」や「休業開始時賃金月額証明書」の記載はありません。
これらは義務化スタート後、どのような扱いになるのでしょうか?

離職証明書は資格喪失届の一部です

資格喪失届には、離職票希望の有無を記載する欄があります。離職票を希望している場合(不要の申し出がない場合)は、離職証明書をセットで提出する必要があります。
電子申請においては、離職票「あり」か「なし」かで、申請書のメニューが異なります。離職票が必要な場合は、電子申請においては資格喪失届と離職証明書は一体の申請になり、離職票だけ「別途紙で提出」などは原則として受け付けられません。
従って、資格喪失届が義務対象である以上、離職証明書に関しても、基本的に義務対象ということになります。これは、労働局に問い合わせをしても同様の回答となります。
e-Govの通常申請で対応する予定の場合、Web画面からの入力(下図)は、項目が多い分、非常に手間のかかるものとなりますので、注意しておく必要があります。

出典:厚生労働省 雇用保険関係手続き電子申請のご案内
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/denshishinesei/dl/koyouhoken_tetsuzuki.pdf

高年齢や育児休業はどうか?

「高年齢雇用継続給付支給申請」や「育児休業給付支給申請」の初回申請においては、賃金月額を登録するために賃金月額証明書を添付する必要があります。これについても、離職証明書と同様にセットで提出するものですので、電子申請の義務対象となります。
e-Gov通常申請におけるWeb画面からの入力は、離職証明書と同様に入力に手間のかかる画面(下図)となっています。

出典:厚生労働省 雇用保険関係手続き電子申請のご案内
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/denshishinesei/dl/koyouhoken_tetsuzuki.pdf

離職証明書を紙提出することは一応可能ですが・・

離職票を発行する手続きは、資格喪失届と同時に行うだけではなく、資格喪失後に発効手続きを行うことも可能です。「雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付の申請」というものであり、離職者が後から離職票が必要と申し出てきた場合は、これにより対応します。
この資格喪失届提出後の離職票交付申請に関しては、電子申請の義務対象になっていませんので、大企業であっても紙提出が可能です。資格喪失届の提出時、離職票希望「なし」の場合において、喪失手続き後に離職票交付の手続きをする際は、離職票だけ紙申請という対応も可能ではあります。
しかし、通常は資格喪失時に離職票を希望しますので電子申請に対応することは必須と言えます。むしろ離職証明書こそ、電子申請化することで業務効率化に効果がある手続きです。ややこしい書類だから従来通りの紙でやりたいなどと考えず、API申請を活用するなど、自社にあった方法で積極的に電子申請に取り組むべきだと考えます。

まとめ

以前のコラムからもお伝えしていますが、e-Govの通常申請で対応する予定の会社は、事前に手順を確認し、どのぐらいの作業時間が掛かるかを検証しておく必要があるでしょう。通常申請は、手続き件数によりますが、予想以上に使い勝手の面で厳しいところがあります。手続きが集中する4月初旬に慌てることがないよう、しっかり準備が必要です。

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