野田宏明
第03回  投稿:2014.08.26 / 最終更新:2018.11.09

1年半後に迫るマイナンバーの影響と対応(その1)

「また新たな法律のために会社の負担が増えるんですか~!!」

昨年、マイナンバー法が成立しました。今、政府は着々と準備を進めています。2015年10月からは全国民に番号の通知が行われ、2016年1月からは各種の行政手続きにおいてマイナンバーの利用が開始されます。あと、たったの1年半しかありません!

最近、少しずつご質問をいただくようになりました。

『短期アルバイトで社会保険にも加入しない人なんかは、会社としてマイナンバーの管理は不要かな?』
→ダメです。社員と同様に厳重な管理が必要です。決められた書類での本人確認も必要ですよ。

『私は経理部です。講演を依頼した人への支払がありますが、マイナンバーなんて関係ないですよね?』
→いえいえ、マイナンバーが必要です。支払調書に記載が必要になるのです。

『全国の支店に労務担当者がいて、同じシステム権限で利用していますが・・』
→ちょっとまずいかも・・。マイナンバーは厳重な安全管理が求められます。マイナンバーに関係の無い従業員が閲覧できる状態は問題になる可能性があります。

まだ行政として細かい運用までは決まっていませんが、国民や民間企業への影響がある程度明らかになってきた状況です。想像しているより結構大変になりそうですので、しっかり情報収集して準備をしておいて下さい。

マイナンバー制とは、社会保険、税などの各種手続きにおいて、各個人に割り振られた共通の個人番号を利用することでその利便性を高めるというものです。その番号を利用すれば、行政機関や地方公共団体との間での必要な情報共有が可能となります。所得、税、社会保険の加入状況、社会保険やその他行政サービスの受給状況などが、横串で分かってしまうことになります。

まぁ、マイナンバーの制度上のメリットというのは、とりあえず置いておいて、特に知りたいのは、民間企業にとってどのような影響があるのか?!ということだと思います。

企業がマイナンバーを扱う時のポイントは以下の4点です。
・目的外利用の禁止
・提供の求めの制限
・本人確認の措置
・情報の安全管理

「単に人事給与システムの1項目として追加して管理すれば良いだけでは?」
このように思われている方が多いのですが、実はそんなに甘くはありません。マイナンバーはとても機密レベルの高い個人情報として扱う必要があります。例えて言うとクレジットカード番号ぐらいのレベル感でしょうか。従って、それ相応の管理をするように法的な厳しい縛りが規定されています。

まず、マイナンバーを従業員から入手する際、その番号が本人のものであるかどうかを企業が責任を持って確認する必要があります。運転免許証やパスポートなどの写真付きの身分証か、写真付き身分証が無い場合は健康保険証などを2点以上で確認するなど、非常に厳格な確認手続きが求められます。

また、必要な人だけが扱えるように安全に管理する必要があり、不要になったら速やかに破棄する必要があります。人事システムとしてアクセスログを取る仕組みや、退職後に不要になったデータをきっちり抽出、削除する仕組みなどが必要になるでしょう。

冒頭の質問にもありましたが、収集する対象者は、短期のアルバイトなども含めて給与支払をする従業員全員が対象となります。また、講演依頼した方への報酬支払など、支払調書が必要となる場合にも、その方のマイナンバーが必要です。支払調書は経理部で処理しているケースが多いのではないでしょうか。

目的外利用も禁止されていますので、例えば、マイナンバーを従業員番号として利用するなどは法律違反となります。

制度がスタートすると、源泉徴収票にはマイナンバーを記載することになります。一方で、会社が所得確認をするための資料として源泉徴収票はしばしば利用されていますよね。これって「提供求めの制限」や「目的外利用の禁止」に抵触するのでしょうかね?うーん。。
労務管理上、法的に保管期限が決められている帳票は多々あります。これらの多くにマイナンバーが記載されることになりますが、「不要になったら速やかに破棄する」という点と、どのような関係になるのでしょうかね?う~ん。。
色々と分からないこともまだ多そうです。

さて、前述したマインナンバーを扱う4つのポイントですが、このほとんどは人事給与システムの対応に集約されてきます。つまり、システム対応がきちんとできれば、マイナンバーを扱う新たな業務フローにもスムーズに対応できるということです。

今回は長くなってしまいましたので、続きは次回に。
「マイナンバーにおけるシステム対応のポイント」について、IT社労士の考えをまとめてみよう思います。

では、次回もよろしくお願いします。

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