正しくできていますか?外国人労働者の管理
これから外国人労働者がどんどん増えるのでしょうか?
政府の新成長戦略では家事分野における外国人労働者の受け入れ拡大の方針が打ち出されました。
また、国土交通省は東京オリンピックや震災復興事業などを背景にして、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置として、即戦力となり得る外国人材の活用促進を図る制度を2015年初頭に向けて整備しています。
急場しのぎの外国人労働者の受け入れが日本経済や社会保障にとって良いのか悪いのか、色々な見方があるところです。
日本における超高齢化社会を考えると、労働人口確保のための施策は必要でしょう。しかし、外国人労働者の受け入れは、自国民の雇用が奪われる可能性などの悪影響も懸念されます。政府は上手くバランスを取った政策を進めてほしいものです。
ところで、外国人労働者において人事総務部門が対応しなければならないことは沢山あります。つい最近(平成26年10月)も厚生年金の手続きにて「ローマ字氏名届」の提出が義務化されました。企業としては、外国人労働者についてそれ相応の情報管理と手続き事務が必要なのです。
そういう状況ではありますが、実際のところは、「あまり人数が居るわけではないから、全てその都度その都度で、手作業で管理・対応をしています」という企業も多くあります。
しかし、対象となる人数が少ないからといって管理をあやふやにすべきではありません。
定型業務としてきっちり手順化しておきましょう。
外国人労働者における厚生労働省関連の手続きには以下のものがあります。
①外国人雇用状況の届出
全ての事業主において、外国人労働者の雇入れ、離職の際にはその氏名、在留資格などについてハローワークへの届出が義務づけられています(届出を怠ると、30万円以下の罰金が科されます)。対象となるのは、日本の国籍を有しない方で、在留資格「外交」「公用」以外の方が届出の対象となります。また、「特別永住者」は届出の対象にはなりません。
届出は雇用保険の被保険者となる外国人の場合は、資格取得届や資格喪失届の「備考欄」に記載します。記載する内容は以下の通りです。
・国籍
・地域
・在留資格
・在留期間
・資格外活動許可の有無
雇用保険の被保険者とならない場合については、「外国人雇用状況届出書」を作成し、ハローワークに提出する必要があります。
内容は前述した事項と同様です。
②ローマ字氏名届の提出
厚生年金保険、国民年金保険は外国人も加入の対象となりますが、その年金記録の適正管理のために、平成26年10月より「ローマ字氏名届」の提出が義務付けられました。これは外国籍の方について原則全員の提出が必要となります。
資格取得届及び氏名変更届を提出する際に、これまでの届出に加えて「ローマ字氏名届」を添付します。
また、配偶者が外国籍の場合、国民年金3号被保険者の届出の際にも同様に「国民年金第3号被保険者 ローマ字氏名届」を提出することになります。
これまでも「アルファベット氏名届」というものがありました。しかし、これは任意提出でしたので、特に提出していないというケースも多かったと思います。「ローマ字氏名届」の提出は義務となりますので注意が必要です。
以上のように、外国人雇用における在留資格の確認や前述したような手続きは、意外に人事総務部門の負担になるものです。
今後、外国人労働者が増える傾向にある企業であれば、なるべく効率化した管理を考えておきたいところです。
では具体的にどうするか?
情報管理という観点では、人事システムにこれらの情報を一元管理させます。国籍、在留資格、特定活動の場合はその区分など、外国人雇用管理に必要な項目を人事項目の一部として管理しましょう。ポイントは在留カードや資格活動許可書などの確認書類についても、PDFなどの電子データとして合わせて管理することです。他の業務でもそうですが、紙による管理を極力やめて、添付書類などについても電子データによる管理を推進します。それを効率的にするためには、従業員マスタに直接ファイルを添付できる方式が必要です。
例えば、鈴与シンワートさんが対応しているPOSITIVEやSTAFFBRAINといった人事給与パッケージでも、任意の追加項目を管理することができ、添付ファイルについても同一画面から登録することが可能です。そのような機能を活用することで、煩雑になりがちな外国人雇用者の管理についてもスッキリ管理できるようになると思います。
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