野田宏明
第29回  投稿:2020.09.25 / 最終更新:2020.09.25

健康保険組合への電子申請、義務化対象企業は早めに確認を

特定の大企業(資本金1億円超の企業等)は、社会保険の一部手続きについて電子申請が義務化されましたが、健康保険組合に対する手続きについては、政府の電子申請環境の整備の関係で、引き続き書面やCD-R等による手続きが続いていました。
これについて、厚労省は2020年8月21日付の通知により、健康保険組合向けに2020年11月からマイナポータルを利用した電子申請システムの運用を開始し、同時に電子申請義務化対象の企業においては、特定の手続きについて、義務として電子申請により行うことが改めて示されました。

【健康保険組合 電子申請義務化対象の手続き】

・被保険者報酬月額算定基礎届
・被保険者報酬月額変更届
・被保険者賞与支払届

健康保険組合の電子申請システムの仕組みとは

日本年金機構、ハローワークなど行政機関に対する社会保険電子申請は、現在のところe-Gov、およびGビズID認証によるマイナポータルの申請があります。11月から開始する健康保険組合への電子申請は、マイナポータルの申請APIを利用したものとなり、現在運用されている電子申請システムとは異なるシステムです。

(出典)厚生労働省「健康保険組合の電子申請環境構築について」令和2年3月6日

このシステムの利用において企業側が留意しなければならない点は、API(Application Programming Interface)しか提供されないシステムだということです。
例えばe-Govであれば、専用のソフトを持っていなくてもe-GovサイトのWeb画面から入力することで申請が可能です。GビズIDを利用した申請についても、日本年金機構が無償で提供している届書作成プログラムを利用して、マイナポータルへの電子申請が行えます。
しかし、健康保険組合の電子申請システムにはデータを受け取る口(API)だけが提供され、電子申請を行うための画面等は行政側では提供しません。これらは人事給与システムなどの民間のソフトウェアを利用して申請することとされています。

従って、義務化対象の企業は、まずは現在ご利用の人事給与システムが11月からのマイナポータル申請APIに対応するかどうかを早めに確認する必要があります。対応しない場合は、電子申請用のソフトウェアを別途準備するか、社労士への委託などを検討する必要があるでしょう。

システムが対応する予定ではあるが、11月に間に合わない場合も想定されます。システム環境が整うまでは現状のCD-R等による手続きを継続することもやむを得ないと考えられますが、健康保険組合との事前相談が必要でしょう。

どのような手続きに対応されるのか

今回の健康保険組合向けの電子申請は、以下の申請に対応する予定です。

【KPFD様式(CSV データ)による届出】※従来からの電子媒体申請のデータ形式
被保険者資格取得届
被保険者資格喪失届
被保険者報酬月額算定基礎届
被保険者報酬月額変更届
被保険者賞与支払届

【CSV データによる届出】
被扶養者(異動)届

【xml様式による届出】
新規適用届
任意適用申請書
任意適用取消申請書
一括適用承認申請書
産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届
産前産後休業終了時報酬月額変更届
育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届
育児休業等終了時報酬月額変更届
介護保険適用除外等該当・非該当届

なお、健康保険組合によって、上記の手続き(特に義務化対象以外)に対応する時期は異なりますので、組合からの通知を確認するようにしてください。

まとめ

健康保険組合に対する電子申請は、長らくの課題になっていましたが、マイナポータルを活用することでついに実現されます。申請APIに対応したソフトが必要である点など、企業側の負担もありますが、積極的に活用を進めていくべきだと考えます。
義務化対象の企業にとっては、まずは11月から義務としての電子申請が可能となるよう、ご利用のシステム対応などを早めに確認すべきでしょう。

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