S-PAYCIALコラム
S-PAYCIAL-Column
著:石田昇吾氏
第23回 20年04月更新
今回は、地代家賃に関する法人税および消費税の取扱に関する経理処理について解説いたします。
1、法人税法上の扱い
借地をしている場合の地代は、もちろん損金となりますが、短期前払費用の扱いに注意が必要です。前払いの地代でも、支払った日から1年以内の期間に対応するものは、継続適用要件として、支払時の損金に算入することができます。
ただし、新たに借地をする場合に支払う権利金は、借地権として資産計上になるため損金には計上できません。
また、既に借地権を有する場合の更新料や更改料も借地権に加算することとされており、損金処理することは認められていません。
2、消費税法上の扱い
地代は、消費税の非課税項目となっています。したがって、課税仕入れには該当せず、仕入税額控除の対象にはなりません。
ただし、借入期間が1ヶ月未満の地代は、非課税にはなりませんので、その支払は課税仕入れになります。また、1ヶ月未満かどうかについては、実際の期間ではなく、当初の契約において定められた期間で判定することになります。
なお、建物、野球場、プール、テニスコート等の賃借料は、土地の使用を伴うものであっても、地代には該当しませんので、仕入税額控除の対象とすることができます。
3、仕訳例
当社は、オフィス用の建物を建設するために土地を賃借し、借地権利金7,000万円と向こう1年分の地代90万円を普通預金から支払った
借地権 70,000,000
地代家賃(賃借料 非課税) 900,000 |
普通預金 70,900,000 |
1、法人税の扱い
建物の賃借料については、短期前払費用の適用があることは、地代と同じです。支払時に全額算入することができます。
しかし、建物の賃借に際して支払う権利金は、税法上は繰延資産となり、一時に損金算入することは認められません。
2、消費税の扱い
事務所の家賃は課税仕入れに該当し、仕入税額控除の対象になります。ただし、住宅の場合には非課税となり、借上げ社宅の家賃について仕入税額控除の対象はできません。
共益費に関してですが、事務所の家賃の場合は、役務提供の対価ですので、その支払は課税仕入れとして仕入税額控除の対象になります。
3、仕訳例
事務所として使用する貸しビルの入居に際し、以下の金額を普通預金から支払った。
敷金 7,000,000円
権利金 550,000円(税込)
家賃 187,000円(税込)
税込経理
敷金 7,000,000
権利金 550,000 地代家賃 187,000 |
普通預金 7,737,000 |
税抜経理
敷金 7,000,000
権利金 500,000 地代家賃 170,000 仮払消費税 67,000 |
普通預金 7,737,000 |
以上 地代家賃に関する法人税および消費税の取扱に関する経理処理について取り上げました。
クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)