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第29回 21年02月更新

自己株式に関する経理処理について②

今回は、自己株式に関する経理処理について②を解説いたします。

 

1.株式の消却をするために自己株式を取得した

株式会社は、自己の発行した株式を買い取ることがあります。主に株主への利益還元が目的となります。会社法では、自己株式は期間、数量等の制限なく保有できるようになったため、株式の消却をするために自己株式を取得した場合も単に「自己株式」として会計処理します。
従来は、償却の対象となった自己株式の帳簿価額を資本剰余金から減額するか、利益剰余金から減額するかは、会社の意思決定に委ねられていました。しかしながら、会社計算規則において優先的にその他資本剰余金から減額することが規定されました。
なお、自己株式の償却時の帳簿価額は、株式の種類ごとに会社の定めた計算方法に従って算定されます。
また、自己株式の取得、処分及び償却に関する付随費用は損益計算書の営業外費用に計上します。

1.1 仕訳例
当社では、定時株主総会において、株式の消却をするために自己株式を取得する決議を行い、これに基づいて期中に自己株式を30,000,000円取得した。その後、取締役会の決議により自己株式を償却した。なお、自己株式の消却に関して750,000円の付随費用を支払った。

仕訳例(取得時)

自己株式  30,000,000 普通預金 30,000,000

 

仕訳例(失効手続き完了時)

その他資本剰余金  30,000,000

自己株式償却費   750,000

(営業外費用)

自己株式 30,000,000

普通預金 750,000

 

1.2 補足
自己株式の取得は、実質的に資本の払い戻しとしての性格を有しているため、取得原価をもって純資産の部の株式資本の末尾にいて控除して表示します。自己株式の失効手続きが完了した時に、株主資本等変動計算書に「その他資本剰余金」の変動科目として記載します。
取締役会の決議により自己株式を償却する場合、決議後償却手続きを完了していない自己株式が貸借対照表日にあり、その自己株式に重要性がある場合には、その帳簿価額、種類及び株式数を貸借対照表に注記します。

 

1.3 税務上の取り扱いについて
自己株式の取得は、税務上、株主に対する「資本の払戻し」として扱うこととされており、いわゆる「みなし配当」事由になります。株主に対する資本の払戻しのうち、資本金等の額からの払戻しと、利益積立金額からの払戻しに区分計算するものとされ、この利益積立金額からの払戻し(資本金等を上回る部分)があった場合には、税務上配当とみなして取り扱うことになります。配当である以上、一定金額の源泉所得税を預かって、納付する義務が生じます。

仕訳例(取得時)

自己株式  30,000,000 普通預金    29,000,000

所得税預り金   1,000,000

 

以上、自己株式に関する経理処理について②を取り上げました。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)

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