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第12回 15年03月更新

標準報酬月額の随時改定

給与計算に関連して、いろいろな手続き作業が発生します。その中でも手続き漏れやミスが起きやすいケースのひとつに、標準報酬月額の随時改定の手続きがあります。
今回は、この随時改定(月変)の考え方について見ていきます。

随時改定とは?

毎年1回の定時決定により決定された標準報酬月額は、原則として1年間使用します。しかし、この間に給与額の大幅な変更があったときなどは、実態とかけ離れた保険料を負担することになってしまいます。
そこで、給与額と標準報酬月額が乖離しないように、一定の要件に該当した場合については、定時決定とは別に標準報酬月額を改定することになっています。
この業務を「随時改定」と呼び、その届出手続きを「月額変更届」と言います。一般的には、この業務自体のことを略して「月変」と呼びます。

随時改定を行うケース

随時改定を行う場合は、次にあげた3項目のすべてに該当したときになります。
1.固定的給与が変更になったこと。
2.変動月から連続3か月間の支払基礎日数が17日以上であること。
3.この3か月間の給与の平均額から計算した標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額に2等級以上の差があること。

実際の給与計算業務では、随時改定の対象になった月から数えて、4か月後(保険料を当月徴収している会社)あるいは5か月後(保険料を翌月徴収している会社)に保険料が変更になります。
月変の手続きでミスが多いのは、「随時改定に該当するのに手続きが漏れていた場合」「手続きはしたが、給与計算時に保険料を変更するのを忘れてしまった場合」の2つです。
いずれも人的ミスが原因なので、十分な注意が必要です。

固定的給与と非固定的給与

固定的給与とは、稼働や能率に関係がなく、支給額・支給率が決まっているものです。具体的には基本給、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、勤務地手当などがあげられます。
日給、時給の場合は毎月の支給額が変動しますが、その単価が一定ですので、日給額や時給額そのものが「固定的給与」に該当します。
一方、非固定的給与とは、稼働実績などで支給されるものです。代表的な非固定的給与には、残業手当、皆勤手当、能率手当、日直手当、歩合給などがあげられます。
これらの非固定的給与が変更になっただけでは、随時改定は行いません。随時改定が行われるのは、固定的給与の変動(昇給・降給、家族の増減による家族手当の変更、転居等による通勤費の変更、給与体系の変更、基礎単価(日給・時給)の変更など)があった場合に限られます。

支払基礎日数の考え方

支払基礎日数の算出方法は、「定時決定」と同じです。大きく異なる点は、定時決定は支払基礎日数が17日未満であった月を除いて計算するのに対して、「随時改定」では、対象となる3か月間の中に17日未満の月が1か月でもあると、他の要件すべてに該当していても、随時改定そのものを行わないことです。

2等級以上の差とは

固定的給与の変動があり、対象となる3か月間の支払基礎日数が各月17日以上であったとしても、その間の平均給与額を当てはめた標準報酬月額等級が、それまでの等級と2等級以上の差にならなければ「随時改定」に該当しません。
この場合の2等級以上の差の判断は、固定的給与だけでなく、非固定的給与を含めたすべての給与額で行います。したがって、固定的給与の変動だけみると2等級以上の差がなくても、残業手当等を含めて2等級以上の差になれば月額変更届の対象になるわけです。

ただし、下記の場合は、2等級以上の差が生じたとしても随時改定には該当しないものとして取り扱います。
1.固定的給与は上昇したのにもかかわらず、残業代などの非固定的給与が大幅に減少したため、逆に等級が2等級以上下がってしまった。
2.固定的給与は減少したのにもかかわらず、残業代などの非固定的給与が大幅に増えたため、逆に等級が2等級以上上がってしまった。

つまり、随時改定は次の2つのケースに限定されます。
1.固定的給与が「上がって」、標準報酬月額が2等級以上「上がった」場合
2.固定的給与が「下がって」、標準報酬月額が2等級以上「下がった」場合

1等級でも改定する場合

標準報酬月額には、上限・下限があるため、大幅に給与額が変わっても2等級の差が出ないこともあります。標準報酬月額の上限は47等級なので、例えば、46等級(標準月額115万円)の人は、どれだけ給与が上がっても、2等級以上変動することはありません。
そこで、固定的給与の変動月以後3か月間の平均給与額が上限・下限に近い場合は、1等級の変動でも、随時改定の対象になる場合があります。

随時改定の計算方法自体は、決して難しいわけではありません。また、定期昇給のように全従業員の給与がいっせいに変動するときは、手続きを忘れてしまうこともあまりないかもしれません。しかし、実際に給与計算や手続きを担当してみると、定期昇給以外に年の途中でごく限られた方の固定的給与が変動になることはよくあるケースです。

1.固定的給与の変動があった方をピックアップしておき、
2.変動があった月から3か月後の給与確定後に随時改定の対象者になるかを確認して、手続きをし、
3.その翌月(保険料を当月徴収している会社)または翌々月(保険料を翌月徴収している会社)の給与支給時に保険料を修正する。

給与計算をする人数が少なければ、担当者がメモや一覧表等で管理していても対応することができるかもしれません。しかし、ある程度の人数になったり、固定的給与の変動が頻繁にあるような会社では、手続き漏れや保険料の修正忘れなどがおきるリスクが高まります。
このような会社では、随時改定をサポートしてくれる人事給与アウトソーシング(ペイロールアウトソーシング)S-PAYCIALの導入や税理士・社会保険労務士などの専門家へのアウトソーシングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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著者プロフィール(川島孝一氏)

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