S-PAYCIALコラム

S-PAYCIAL-Column

第42回 17年09月更新

労働時間の端数処理

残業代の計算は給与計算業務の中のひとつですが、視点を変えてみると、従業員の肉体的・精神的な安全衛生に寄与できるという側面もあります。なぜなら、経営者や給与計算担当者が残業代の計算をする際に、各従業員の労働時間を毎月把握できるからです。

月間の時間外労働が80時間を超えると、脳血管・心臓疾患やメンタル不全といった問題が出てくる可能性があると言われています。もし仮に、残業時間が月80時間を超えているような従業員がいるのであれば、その従業員の業務量のチェックや健康状態の確認を行っていく必要があります。

給与計算担当者が、残業時間が長時間になっている従業員がいないかどうかもチェックし、上司や経営者に報告するシステムを構築すると、会社全体のリスクヘッジにつながるのではないでしょうか。

 

少し脱線をしてしまいましたが、今回の本題に入りたいと思います。会社の労働時間の集計方法をチェックしてみると、毎日の労働時間を切り捨てるなど、端数処理の方法を間違っている会社が多く見受けられます。
今回は、正しい労働時間の集計方法を紹介していきたいと思います。

1、日々の労働時間の計算

従業員の労働時間を把握する方法は、タイムカード、出勤簿、クラウド勤怠管理など会社によってさまざまです。どのような方法で管理をしていたとしても、労働時間は1分単位で把握することが原則です。
労働基準法では、賃金の支払いは全額でなければならないという原則があります。そのため、法の趣旨からすると、日々の労働時間は1分単位で正確に計上するのが、正しい労働時間管理になります。

2、1ヶ月の労働時間の計算

日々の労働時間が1分単位で計上することになると、1ヶ月の労働時間はその合計時間なので、こちらも1分単位になります。したがって、1ヶ月の残業時間数も1分単位とするのが原則になります。
しかし、1ヶ月の残業時間については、通達で次のような端数処理を行うことが認められています。

「1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。」

これは、給与計算の事務作業を簡便に行うために認められた方法です。
ここで、注意が必要なのは、あくまで1ヶ月分の合計時間について30分を境とした四捨五入が認められているだけであり、毎日の労働時間を四捨五入することは認められているわけではないことです。

 

事務簡便化を目的にして、上記以外の方法で端数処理を行っている会社は多くあります。ただし、明確に「違法ではない」とされているのは、上記の通達しかありません。
実務を行っていて悩ましい点ではあるのですが、この機会に、自社がどのように労働時間の端数処理を行っているかを確認し、上記通達以外の方法をとっている場合は、念のため専門家あるいは最寄りの労働基準監督署に相談してみましょう。

著者プロフィール(川島孝一氏)

川島孝一氏が「日本の人事部」に寄稿したコラムのバックナンバーを掲載します

バックナンバー

S-PAYCIALコラムTOPへ戻る

PAGE TOP