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第60回 19年03月更新

出来高払い制の残業代

営業職など業務の種類によっては、歩合やインセンティブなどの出来高で給与を決めている会社があります。このように、労働時間に関係なく、出来高や成果に応じて給与を支払うことを「出来高払制」といいます。
出来高払制で給与を支払っている場合、残業代の計算方法が通常と異なります。今回は、出来高払制における残業代の計算方法についてみていきたいと思います。

出来高払制の保障給とは

出来高払制といっても、完全に出来高だけの支払いにすることは労働基準法で禁止されています。

「出来高払制その他請負制で使用する労働者については、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」

このルールがないと、労働者は、ノルマを達成しなければ給料を受け取ることができなくなってしまいます。そのため、労働基準法第27条で、出来高がたとえ少なかったとしても、労働時間に応じて一定額の保障をするということを使用者に義務付けています。

出来高払制の割増賃金について

割増賃金の計算の基礎に含めなくてもよい手当は、以下の7種類の賃金のみです。

1)家族手当
2)通勤手当
3)住宅手当
4)別居手当
5)子女教育手当
6)臨時に支払われた賃金
7)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらの賃金以外は、割増賃金の計算の基礎に含める必要があります。
そのため、出来高払制で支払った歩合給やインセンティブなどの出来高給については、割増賃金の計算に算入しなくてはなりません。
とはいえ、出来高払制における割増賃金の計算方法は、通常の場合と異なります。基本給や手当などの固定給については、所定労働時間で計算を行い、割増賃金の基礎となる1時間当たりの時間給を計算します。
しかし、歩合給やインセンティブ、出来高給は、残業も含めた総労働時間の結果、得られた成果であると考えられます。そのため、出来高給については、総労働時間で計算をすることになっています。

具体的例にそって見ていきたいと思います。例として、以下のような条件で計算をしていきます。

基本給 :160,000円 所定労働時間:160時間
出来高給:200,000円 総労働時間 :200時間
合計 :360,000円 残業時間 :40時間

基本給部分の残業代の計算 :160,000円÷160時間×1.25×40時間=50,000円
出来高給部分の残業代の計算:200,000円÷200時間×0.25×40時間=10,000円
その月の残業代の合計金額 : 60,000円

この例ですと、基本給と出来高給の合計金額である360,000円に残業代60,000円を加えた420,000円を支給することになります。
なお、出来高給部分の割増賃金の計算においては、割増率を1.25ではなく0.25で計算をすることになります。先ほども説明したとおり、出来高給部分については総労働時間に対する賃金と考えますので、「1」の部分は出来高給にすでに含まれており、割増部分の「0.25」だけを残業代として支給すれば良いのです。

 

今回は、出来高払制の割増賃金の計算方法について紹介をしました。細かい点かもしれませんが、出来高給の部分も1.25で計算して支払っている(二重払いをしている)会社や、そもそも出来高給を残業代の基礎に含めていない会社も時々見受けられます。
出来高部分の支払いがある会社では、正しく計算されているか、あらためて確認してみてください。

著者プロフィール(川島孝一氏)

川島孝一氏が「日本の人事部」に寄稿したコラムのバックナンバーを掲載します

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