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第16回 14年05月更新

労働組合のない会社必見!!~労働組合の基礎知識~

昨年の春ぐらいから、「ノルマを達成できないと上司に人格まで否定されて怒鳴られる」「深夜まで残業をしても一切残業手当が支払われない」といった、いわゆる『ブラック企業』がマスコミを賑わせていました。ブラック企業とともに最近よく耳にするようになったのが「労働組合」です。
労働組合と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?賃金の昇給額を深夜まで会社側と交渉をしたり、ストライキを行うといったことをイメージするのではないでしょうか?
最近のマスコミ報道で耳にするのは、その中でも「合同労働組合(合同労組)」が関係することが増えているようです。労働組合が無い会社が増えている近年では、合同労組に加入して、会社と団体交渉を行うケースも増えています。合同労組は個人であれば一人でも加入でき、また社内で組織している労働組合に比べて先鋭的な要求をするケースもあるようです。
労働者が一人でもいれば、合同労組から突然団体交渉の申し入れがあることもあります。社内労働組合がない会社ではこれまで労働組合を意識していないこともあり、正確な知識が不足している傾向にあるようです。今回は、労働組合に対する基礎知識を見ていきます。

<労働組合とは?>

わが国の法秩序の根本をなす憲法には、「勤労の権利・義務」、「勤労に関する基準」、「児童の酷使の禁止」(27条)が規定されています。さらに「団結権」、「団体交渉権」、「団体行動権」(28条が)が保障されています。これらの権利等を具体的に保障し、実現していくための政策の一つとして労働組合が存在します。
現在の労働組合員数や労働組合数は、厚生労働省の統計資料を見てみると、平成25 年6 月30 日現在における単一労働組合の労働組合数は25,532 組合、労働組合員数は987 万5 千人で、前年に比べて労働組合数は243 組合の減(0.9%減)、労働組合員数は1 万7 千人の減(0.2%減)となっています。
また、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は、17.7%となっています。
様々なメディアで報道されるように労働組合は減少傾向をたどっています。

<労働三権とは?>

「団結権」、「団体交渉権」、「団体行動権」と聞くと中学時代に社会科で勉強した方がほとんどだと思いますので、懐かしさも感じます。おさらいで少し労働三権についてみていきます。
・「団結権」とは、使用者と対等な立場で労働条件等を交渉することを目的として労働組合を結成するもしくは加入する権利のことをいいます。
・「団体交渉権」は、労働者が団結して使用者と交渉する権利のことをいいます。
・「団体行動権」は、争議行為(ストライキ、怠業)を一定の限度で組合に保障する権利です。

<不当労働行為とは?>
労働組合活動は、憲法で保障されている行為です。まれに、団体交渉を申し込まれても正当な理由がないのに交渉を行わない経営者の方がいます。繁忙期に団体交渉を申し込まれてしまい、対応することができないため交渉日を変更することは可能です。しかし、そのような理由がないのに交渉拒否をしてしまうと「不当労働行為」になってしまいます。
厚生労働省中央労働委員会事務局審査課が不当労働行為として禁止される事項を公表しています。具体的な行為は以下(1)から(4)までの行為になります。

(1)  組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止
イ  労働者が、 以下の状態、行為をしたことを理由に、労働者を解雇したり、その他の不利益な取扱いをすること。
・ 労働組合の組合員であること、
・ 労働組合に加入しようとしたこと、
・ 労働組合を結成しようとしたこと、
・ 労働組合の正当な行為をしたこと、
ロ  労働者が労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを雇用条件とすること。

(2)  正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止
使用者が、雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。
※ 使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(「不誠実団交」)も、これに含まれます。

(3)  労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助の禁止
イ  労働者が労働組合を結成し、又は運営することを支配し、又はこれに介入すること。
ロ  労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること。

(4)  労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱いの禁止
労働者が労働委員会に対し、不当労働行為の申立てをし、若しくは中央労働委員会に対し再審査の申立てをしたこと、又は労働委員会がこれらの申立てに関し調査若しくは審問をし、若しくは労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言したことを理由として労働者を解雇し、その他の不利益な取扱いをすること

<最後に>

労働組合から団体交渉を申し込まれると、よほど交渉に慣れていない限り、どのように対応すれば良いのかわからない場合がほとんどでしょう。社内労働組合のない中小企業では、合同労組から団体交渉を突然申し込まれたときは特に驚いてしまうかもしれません。しかし、良く分らないからといって必要以上に恐れることはありません。なぜなら労働組合や組合員は法律に則って活動をしているだけで、何か特別な権力を持っている人ではないからです。労働組合とはあくまでも「交渉」ですので、「要求」をすべて受け入れないとならないわけではありません。
本来であれば、団体交渉が必要になるほど労務トラブルを深刻化させないことが重要ですが、万が一、団体交渉になってしまった場合は、会社として、誠実に対応し主張すべきところはしっかりと主張していく必要があります。
団体交渉が長期化すると肉体的にも精神的にも疲労してきます。交渉内容によって長期化が見込まれたり、受け入れがたい要求をされるようであれば、専門家に相談をして交渉にあたったほうが良いでしょう。

<人事給与アウトソーシングを活用して円満に運営するためのヒント>

労働組合からの団体交渉に対して、人事給与アウトソーシングで解決ることはできません。しかしながら、以下の方法で円満に運営していくための支援を行うことができます。

1. 問題が起こる前のシステムのデータを分析しアラートを上げる
2. 万が一団体交渉に発展してしまった場合に誠実に対応できるよう、データ分析する

全てにおいて該当するわけではありませんが、団体交渉に発展する場合は一人の従業員の問題ではなく、複数の従業員に影響があるような場合に発展するケースが多いです。そのような場合、人事給与システム上で問題が起こる前に毎月のデータを分析して、専門家に相談することで予防することも可能であると考えます。

また万が一団体交渉に発展してしまった場合、感情論ではなくデータを基にした冷静な議論を行うべく、人事給与システムからデータを抽出し分析することもできます。

いかがでしょうか?システムを活用した健全な運営支援も是非ご検討ください。

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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