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第28回 15年08月更新

日本で働くことができる外国人

少子高齢化で労働力人口が減少する中、外国人を雇用する会社が増えています。しかし、日本では、外国人が自由に働けるわけではありません。中には、外国人雇用に関するルールを良く理解せずに、外国人を雇用している事業主もいるようです。
外国人雇用をとりまく環境はどんどん変化をしています。「出入国管理及び難民認定法(入管法)」も、在留資格の整備をするために平成26年に法改正があり、今年から順次施行されています。いざ、外国人を雇用したときに間違いを起こさないために、今回は外国人の在留資格制度についてみていきたいと思います。

<外国人が日本で働くためには>

外国人が、日本に就労目的で入国するためには、与えられている在留資格の内容と仕事の内容が合致している必要があります。
「在留資格」とは、日本国内で活動する外国人が入国管理局から在留許可を受ける際の滞在目的を示す資格のことで、目的や条件に応じて決定されます。日本に滞在する外国人は、例外なく在留資格を持っています。
在留資格は、入管法によって33種類の資格に分類されます。これらは「活動に基づく在留資格」と「身分又は地位に基づく在留資格」に大きく分けることができます。
詳細は、入国管理局のホームページで確認ください。
http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.html

入国管理局の表を見てもわかるように、わが国では「高度な技術、専門性を持った外国人のみ」を受け入れる方針をとっているので、原則的に外国人の「単純労働」は認めていません。そのため就労が可能な資格は、すべて高度なレベルが要求されています。
外国人の在留できる期間は、それぞれの資格ごとに定められています。外国人労働者は、それぞれに与えられた在留期間内での活動が可能です。期間を過ぎても就労している場合は「不法就労」となり、本人のみならず、会社も罰せられる可能性があります。継続的に外国人労働者を雇う場合は、在留資格の期限についてもきちんと管理することが重要になります。

また、就労可能な在留資格でなくても、「留学」や「家族滞在」等の在留資格を持っている外国人は、「資格外活動許可」を受けることによって日本国内で就労することが可能になります。資格外活動許可を持っている外国人は業種を問わず就労することが可能ですが、風俗営業または風俗関連営業が含まれている営業所では就労することはできません。
なお、「留学」の在留資格を持つ外国人が資格外活動許可により就労する場合は、1日や1週の就労時間の制限がありますので、こちらも注意が必要です。

<身分や地位に基づく在留資格について>

次に「身分又は地位に基づく在留資格」をみていきましょう。
「身分又は地位に基づく在留資格」では、前述したような特別な技術を持っているのではなく、日本人の配偶者や日系人といったような本人の属性によって判断される在留資格のことです。
この在留資格の種類には、法務大臣から永住の許可を受けた「永住者」や「永住者の配偶者等」、「日本人の配偶者等」、難民や日系人が該当する「定住者」の4つの資格があります。「活動に基づく在留資格」を持っている外国人が日本で就労するには職務内容等の制限がありますが、「身分又は地位に基づく在留資格」を持っている外国人は、日本人が就労することができる職種のほとんどで就労することが可能です。
しかし、この在留資格に該当している外国人であっても、本人が「活動に基づく在留資格」で入国して就労する場合は、その在留資格の活動に制限されることになります。

<外国人を不法就労させてしまうと>

それでは、外国人を不法就労させてしまった事業主は、どのような罰則を受けるのかをみていきましょう。
「不法就労」とは、不法に入国している外国人はもちろん、在留期間を超えて不法に残留しているなど、正規の在留資格を持たない外国人が日本で働くことを指します。また、正規の在留資格を持っている外国人であっても、その資格以外の活動で働くと不法就労になります。
このような外国人を雇い、資格以外の労働をさせた事業主は処罰の対象になります。不法就労外国人とは知らずに雇用してしまった場合、会社が「通常の注意力」をもって、外国人であると判断できなかった場合は罰せられません。ここでいう「通常の注意力」とは、特別な調査を求められるものではなく、氏名や言語等から、外国人であることが一般的に明らかでなかった場合を指します。例えば通称として日本名を用いており、かつ日本語の堪能な者等、通常の注意力だけでは外国人であると判断できなかった場合は法違反を問われないということです。
反対に、それ以外のケースでは、たとえ不注意であったとしても不法就労外国人を雇用していた場合は、入国管理法の「不法就労助長罪」により罰せられることになります。不法就労助長罪は、次の3項目が処罰の対象です。

1.事業活動に関し、外国人を雇用する等して不法就労活動をさせる行為
2.外国人に不法就労をさせるために、これを自己の支配下に置く行為
3.業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は2の行為に関し斡旋する行為

例えば、会社が不法就労であることを知りながら(あるいは不注意で)外国人を雇い、労働させる行為は1に該当します。このような行為を行った事業主は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。

<最後に>

不法就労が発覚するケースとして一番多いのは、外国人本人が街角で警察官に職務質問された際に不法入国や不法就労が発覚するといったケースです。
外国人の滞在・就労に関しては、報告や取り締まりが厳しくなってきています。外国人労働者を雇っている事業主の方は、定期的に在留資格のチェックを行い、不法就労を絶対にさせない体制を整える必要があります。

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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