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第29回 15年09月更新

いよいよ通知がはじまるマイナンバー

マイナンバー法の改正が、平成27年9月3日の衆議院本会議で可決され、成立しました。
これまでのマイナンバー法では、マイナンバーを利用する分野は「社会保障」「税」「災害対策」に限定されていました。
今回の法改正の目的は、マイナンバーの利用範囲を「金融」と「医療」の分野にまで広げることです。預金口座へのマイナンバーの登録は義務ではありませんが、平成30年から任意でマイナンバーを銀行口座に登録できることになりました。
また、財務省は消費税を8%から10%に引き上げるのに合わせ、個人番号カードを利用した軽減税率に代わる消費税負担緩和策を検討しています。しかし、この案についてはさまざまな問題が指摘されているため、本当に実施されるのかは不透明な状況です。
このように、マイナンバー制度をどのように活用していくのかについては、日々状況が変わっていきます。

平成27年10月より、いよいよ通知カードの送付が開始されます。会社は、従業員や外部専門家等から個人番号を収集して保管する必要があります。
今回は、間近にせまったマイナンバーの利用開始に対して、「会社がどのように従業員から個人番号を収集すれば良いか」を中心に見ていきたいと思います。

<通知カードと個人番号カード>

「通知カード」は、平成27年10月から住民票があるすべての人に対して、世帯ごとに簡易書留でまとめて郵送されます。
この通知カードは、「個人番号カード」の交付を受ける際には返却しなければなりませんし、年末調整等で会社に個人番号を通知するときにも必要になります。まずは、受け取った通知カードは大切に保管する必要があることを、従業員に理解してもらわなければなりません。

通知カードは紙のカードで、個人番号、住所、氏名、生年月日、性別等が記載されており、偽造防止技術も施されています。
送付されてきた通知カードには、個人番号カード交付申請書も同封されています。申請書には氏名・住所・生年月日・性別がすでに印刷されていますので、必要事項を記入の上、署名または記名押印し、顔写真と一緒に同封されている返信用封筒で送り返せば個人番号カードを作ることができます。(市区町村によって取り扱いが異なります。)
申請した「個人番号カード」は、平成28年1月以降に交付されます。この個人番号カードは、個人番号を証明する書類や本人確認などの公的な身分証明書として利用することができます。交付手数料は、当面の間は無料になります。

個人番号カードの表面には、次の内容が記載され、個人番号は裏面に記載されます。
• 氏名
• 住所
• 生年月日
• 性別
• 顔写真
• 有効期限
• セキュリティコード
• サインパネル領域(住所など券面の情報に修正が生じた場合に新しい情報を記載)
• 臓器提供意思表示欄

<いつまでに個人番号を取得すればよいか?>

平成28年1月から、マイナンバー制度がスタートします。会社はいつまでに従業員の個人番号を収集すればよいのでしょうか?
従業員の個人番号は、平成27年10月の個人番号が通知されて以降であれば取得することが可能です。ただし、個人番号は、行政機関などに提出する時までに取得すればよいので、平成28年1月のマイナンバーの利用開始に合わせてかならず取得しなければいけないわけではありません。
たとえば、給与所得の源泉徴収票であれば、平成28年1月の給与支払いから適用され、平成29年1月末までに提出する源泉徴収票から個人番号を記載する必要があります。
イメージとしては、通知カードが従業員の自宅に到着したら、会社はすぐに集めないといけないように受け取られていますが、該当する行政手続きがないのであればあわてて収集する必要はありません。

<個人番号の取得方法>

個人番号の収集方法と問われると、従業員と対面しながらの取得をイメージする方が多いようです。しかし、法律上はかならずしも従業員と対面して個人番号を取得しなければならないわけではありません。
個人番号の収集方法に関しては、会社の状況に合わせて柔軟に対応していく必要があります。個人番号を取得する場合は、本人確認の措置(身元の確認・番号の確認)をしっかりと行うことが重要になります。本人確認の措置については、当コラムの第23回を参照ください。
個人番号の収集方法について、会社の規模別にポイントをみていきます。

ケース1 少人数の従業員を雇用している場合
従業員が少人数の場合は、やはり対面での取得が一般的になります。本人確認の措置をしっかりと行った上で、個人番号を収集、保管してください。
提示を受けた個人番号カードの写し(コピー)を保管することは、義務付けられていません。むしろ、コピーを受け取るとそれだけマイナンバーが記載された書類が増えてしまいます。
これらの個人番号カードのコピーやその他の個人番号が記載された書類は、安全管理措置を適切に講ずる必要があります。

ケース2 複数の営業所や支店がある場合
複数の拠点がある場合は、担当者がすべての従業員に対して、対面での本人確認をすることは効率的ではありません。個人番号を取得するために、メール等で従業員の方からデータを送信してもらうことも可能です。注意すべき点は、データの送受信や、受け取ったデータの情報漏えいのリスクに対し、必要な措置を講じなければならないことです。

データで受け取る場合は、個人番号カードの両面を撮影して送信してもらいます。個人番号カードの表面で身元(実在)確認、裏面で番号確認を行うためです。
個人番号カードがない場合は、通知カードなどの番号確認書類と身元(実在)確認書類の両方が必要です。スキャナを使用してイメージデータ化した本人確認書類を、パソコン等で送信する方法も可能です。

このように安全管理措置をしっかりとれば、メールで個人番号を取得することもできます。できるだけ個人番号の収集の業務が会社の負担にならないように、各社の実態に合った方法を考えてみてください。

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マイナンバーに対する各社の対応状況を見ていると、実務上、今年の年末調整時に「平成28年扶養控除申告書」で個人番号を取得することが現実的なようです。確かにその通りなのですが、最初に訪れる在職者の年末調整を念頭に置くばかりに、新入社員の番号収集方法の検討がおざなりになっているケースもあるようです。
中途採用が主体の会社では、年明けすぐに雇用保険の取得手続き等で個人番号を利用することも考えられます。新規採用者は、在職者に比べ、なおのこと本人確認が重要になります。
在職者に対する個人番号の収集のみならず、今年の年末調整をしない方や、新入社員に対してどのように個人番号を取得していくかについても、平行して検討を進めましょう。

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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