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第35回 16年03月更新

本年中に実施が義務付けられたストレスチェック制度 その1

平成27年12月1日から「ストレスチェック制度」がスタートしました。従業員を50人以上使用している事業所は、この「ストレスチェック」を遅くとも平成28年11月までに実施しなければなりません。
ストレスチェックは導入するまでに、思いのほか時間がかかることもあります。対象となる会社は、そろそろ準備を始めたほうが良いでしょう。
今回は、このストレスチェック制度の対象となる会社は、どの程度の規模なのかを中心に見ていきたいと思います。

<ストレスチェック制度とは>

ストレスチェック制度は、新しく「労働安全衛生法」に追加された制度です。労働安全衛生法とは、読んで字のごとく労働者の安全と衛生について基準を定めた法律です。
50人以上の労働者がいる事業所が選任しなければならない「衛生管理者」や「産業医」も、この労働安全衛生法により義務付けられています。そのほかに、健康診断の実施や、労働者に危険・有害な物質の取り扱いについても規定されています。あまりなじみのない法律ですが、労働基準法とセットになって労働者を守る目的で作られた法律です。
近年では、仕事を原因とする「メンタル不調」を訴える労働者が増えてきているため、その対策の一環でストレスチェック制度が作られました。

ストレスチェック制度とは、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることが第一の目的となっています。
さらに、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に見つけ、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止しようとする取り組みも含まれています。

<ストレスチェック制度の対象となる事業所>

ストレスチェック制度は、常時使用する労働者が50人以上の事業所は導入が義務付けられました。
この制度では企業単位で労働者をカウントするのではなく、事業所単位で労働者数をカウントします。この「常時50人以上使用する労働者」数のカウントには、ストレスチェックを実際に行う必要がないアルバイト等も含めます。
複数の事業所を有する会社の場合には、どこかひとつでも常時使用する労働者が50人以上であれば、ストレスチェック制度を実施する必要があります。

具体的なケースを想定して、ストレスチェックの対象となる会社か否かの判断方法を以下にまとめました。

(ケース1) 会社の所在地:1カ所 常時使用する労働者数:80名
このケースは非常にわかりやすいですね。常時使用する労働者が50名以上なので、ストレスチェック制度の実施が義務となります。

(ケース2) 会社の所在地:2カ所
常時使用する労働者数:各拠点に30名ずつ
この場合、2カ所ある会社の所在地に、それぞれ30名ずつ労働者がいます。企業全体では50名以上になりますが、ストレスチェック制度は事業所単位で人数をカウントします。そのため、この会社はどちらの事業所もストレスチェック制度については努力義務となります。

(ケース3) 会社の所在地:5カ所
常時使用する労働者数:本社100名、他の支店はそれぞれ40名ずつ
この場合は、本社の労働者数は50名を超えているので、本社所属の従業員はストレスチェック制度の対象となります。その他の支店はそれぞれ50名には満たないので、ストレスチェック制度は努力義務となります。
ただし、このような場合で本社所属の従業員だけがストレスチェック制度を行い、他の支店所属の従業員は行わないとすると、支店の従業員が不満を持つ可能性も否定できません。そのため、実務上は、支店の従業員もストレスチェックを行うことが望ましいでしょう。

<ストレスチェック制度の対象となる労働者>

常時使用する労働者のうち、実際にストレスチェックの対象となる従業員は、毎年実施する健康診断の対象者と同様です。つまり、1年以上の契約期間があり、所定労働時間数が正社員のおおむね3/4以上である労働者だけが対象になります。
前述したように、ストレスチェック制度の対象となる事業所の判断基準には、週1回しか出勤しないアルバイト従業員であったとしても、常態として雇用契約があるのであれば常時使用している労働者としてカウントする必要があります。
たとえば、1人の正社員と100人のアルバイトがいるような事業所であれば、ストレスチェック制度を実施する必要があります。しかし、実際にストレスチェックの対象となる従業員は正社員1人だけです。
このようなケースでも、会社としてはストレスチェック制度を導入しておかなければなりません。

<ストレスチェックの費用や面接指導の費用と賃金の支払い>

厚生労働省の解釈では、ストレスチェックや面接指導の費用については、労働安全衛生法で事業者に実施の義務を課しているため、当然事業者が負担すべきものとしています。
ただし、ストレスチェックを実施した時間や面接指導を受ける時間の賃金の支払いについては、労使で協議をして決定すれば良いことになっています。そのため、協議次第では無給とすることも可能です。
しかし、無給にしてしまうとストレスチェックを受けない従業員が出てきてしまう可能性もあるため、できれば有給にすることが望ましいとされています。
費用負担等の考え方は、毎年の健康診断と同じように考えれば良いでしょう。

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次回では、ストレスチェック制度の具体的な内容について見ていきたいと思います。
ストレスチェック制度が義務になる会社の担当者の方はもちろん、義務ではない会社が制度を実施することは当然構いませんので、次回もお読みいただければと思います。

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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