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第50回 17年07月更新

年次有給休暇の取得率の向上と一斉付与

年次有給休暇の取得率は、以前に比べると上昇してきました。それでも、現在の取得率は50%程度にとどまっています。
売り手市場の昨今では、同じ給与であれば、休日や有給休暇が取得しやすい企業が人気を集めているようです。今後、優秀な人材を確保していくには、「有給休暇の取得率が高い」といった職場環境の面もアピールをしていく必要があります。

また、高度成長期のように、商品を作りさえすれば売れるといった時代ではなく、顧客のニーズは多様化しています。このような時代に生産性を上げて、企業が成長していくためには、新しい技術への対応や独創的な発想などが突破口の一つとなります。
長時間労働や休暇がとれないといった働き方では、新しいアイデアの種を見つけることも難しくなるでしょう。

今回は、年次有給休暇の取得率を向上させることができる「年次有給休暇の計画的付与」についてみていきたいと思います。

<年次有給休暇のメリット>

従業員に年次有給休暇を取得してもらうと、以下のようなメリットがあると言われています。有給休暇を経営改善の一環として、業務効率化に結び付けることができればベストな状態といえます。
1)業務を円滑に引き継ぐためには、業務の内容、進め方などに関する棚卸しを行う必要があるため、その過程で業務の非効率な部分をチェックすることができる。
2)代替業務をこなすために、従業員の多能化促進の機会となる。
3)交替要員が代替業務をこなすことができるかどうかの能力測定の機会になる。
4)交替要員への権限移譲の契機となり、従業員の育成につながる。
5)休暇の有効活用により、休暇取得者のキャリアアップを図ることができる。

<年次有給休暇の日数>

年次有給休暇は、雇い入れの日から6か月間継続勤務をして、その間のすべての労働日の8割以上出勤した労働者に対して、フルタイムの労働者であれば最低10日間付与されるものです。その後は、継続勤務1年ごとに一定日数を加算した日数が付与されます。
フルタイムで働く従業員に対して付与する日数は、次の通りです。

1)週所定労働日数が4日、または1年の所定労働日数が169日から216日の場合

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日

 

2)週所定労働日数が3日、または1年の所定労働日数が121日から168日の場合

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日

 

3)週所定労働日数が2日、または1年の所定労働日数が73日から120日の場合

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日

 

4)週所定労働日数が1日、または1年の所定労働日数が48日から72日の場合

継続勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

上記の表に該当しない、例えば1年間の所定労働日数が217日以上の労働者の場合は、フルタイムの日数が付与されます。

 

パートやアルバイトには、年次有給休暇を付与しないといった運用をしている企業もしばしば見受けられますが、それは誤った運用になります。
上記のように、労働日数等によって日数が決められていますので、もし、誤った運用をしているのであれば是正をしていく必要があります。

<年次有給休暇の計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの部分については、労使協定を締結した上で、計画的に休暇取得日を割り振ることができます。これを、「年次有給休暇の計画的付与」といいます。
導入するメリットは、従業員が周囲への影響を気にすることなく、有給休暇を取得できることです。
会社は、従業員の休暇日をあらかじめ予測することができるので、人員配置等、計画的な業務運営が可能になり、有給休暇の取得率の向上にもつながります。

<計画的付与制度の導入方法について>

導入の方法には、以下のような方法があります。会社の実態と照らし合わせて、導入が可能な方法があるか検討してみてください。

1)企業または、事業場全体の休業による一斉付与方式
企業、事業場を一斉に休みにしても問題がない業態については、全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を付与する方法が考えられます。製造業など、操業を止めて全従業員を休ませることができる企業等で活用されています。

2)班・グループ別の交替制付与方式
企業、事業場を一斉に休みにすることが難しい業態については、班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与する方法が考えられます。サービス業などの企業等で活用されることが多くなっています。

3)年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
一定の条件のもとに、年次有給休暇を付与する日を個人別に決める方法です。夏休み、冬休み、ゴールデンウィーク、誕生日、結婚記念日など従業員の個人的な日を選定して休暇にすることができるので、従業員の満足度も高くなります。
ただし、上の2つの方法に比べ、管理が多少煩雑になるのがデメリットです。

 

年次有給休暇の取得率は、ワークライフバランスの観点からもその向上が求められています。今回紹介した「年次有給休暇の一斉付与」は、行政からも取得率の向上の手段として推奨されている方法です。
単純に休日を増加させるよりも、これらの手段を活用して有給休暇の取得率向上を図る方が企業イメージの向上につながります。採用活動への好影響など、企業戦略上も有効といえるかもしれません。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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