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第53回 17年09月更新

働き方改革を実現するために(その2)

平成29年3月に開催された働き方改革実現会議で、罰則付きの残業時間の上限規制導入などが盛り込まれた「働き方改革実行計画」が決定されました。
この計画通りに法律が施行されたとすると、36協定で設定をした時間外労働の上限時間を超えて労働をさせてしまうと罰則が科せられることになります。
これからの会社は、売上(成果)は落とさないまま労働時間を短くするために、会社の生産性を上げていかなければなりません。

生産性を上げるためのヒントになればと思い、前回から内閣府・仕事と生活の調和推進室が発行している「ワークライフバランスの実現に向けた10の実践」をアレンジして紹介しています。
今回は、「10の実践」の3~5までを順にみていきたいと思います。

<3.書類を整理整頓する>

担当者以外であっても書類のありかがすぐにわかる文書管理をすれば、仕事の属人性を薄めることができます。これにより、担当者が休暇を取得した際や退職時の引継ぎ時のトラブルを抑制し、組織的な業務遂行が可能となります。
また、ホワイトボードやクラウドサービスを活用して、各人の業務量、進捗状況や業務上の課題等の情報共有を図れば、一個人に頼らない組織的な業務遂行も可能になります。

たとえば、書類の整理整頓ができておらず、書類が必要になると毎回探さなければならない状況だったとします。書類を探す時間が1回5分だったとしても、それが10回あれば50分間かかることになります。この50分間は書類を探しているだけで、何も生みだしていません。このような時間は、極力「ゼロ」にする努力をしなければなりません。

たった5分のようですが、毎日多くの人がこの状況だったとすると、損失時間は計り知れません。整理整頓をするだけで、ムダな時間を削減することができ、仕事の効率化や生産性の向上を図ることができるのです。
業務を効率化するためのオフィス環境の整備には、什器のようなハード面の整備が必要なのではなく、身近な部分の片づけだけでも取り組める可能性があります。

事例紹介
ある部門では、書類が雑然としていたため事務効率が悪くなることもあり、書類の山がいくつもある人には「一つの山は20㎝以下に」、書類が詰まっているロッカーも「半分ぐらいは余裕を持たせる」などと具体的に示して整理整頓を進めた。

<4.標準化・マニュアル化>

労働時間を短縮してメリハリのある働き方を実現するためには、社員が相互にフォローできる体制を作ることも重要になります。
特定の社員しかその仕事のやり方が分からない「人に仕事がつく」スタイルは、中小企業で多く見受けられます。このスタイルの場合、従業員みずからがその仕事を抱え込んでしまい、「その社員が休んでしまうと業務が進まない」といったことが起きてしまいます。

会社内にこのスタイルの社員が少人数であれば、これらの問題は起きにくいかもしれません。しかし、このスタイルの社員が多くなれば多くなるほど、残業時間が長くなったり、休みが取れずに疲弊していくことにつながります。
このような状況になるのを避け、業務の迅速化を図るためには「人に仕事がつく」ことを改め、可能な限り業務を標準化・マニュアル化することが大切です。
標準化・マニュアル化が進めば進むほど、お互いにフォローしあえるため、業務の効率化が期待できます。
ただし、すべての業務を標準化・マニュアル化できるわけではありません。仕事を棚卸して、現場の社員全員と標準化・マニュアル化できる業務を検討する必要があります。

事例紹介
2児の子育てをしつつ週3~4日勤務している者がいる職場で、担当している業務のマニュアル化を進めた。これにより、チームで動けるようになり、お互いにカバーしあえるようになった。一部の社員に残業が集中していた状況に大幅な改善がみられた。

事例紹介
リスク分散やお客様への安心のサービスを定常的に提供するために、「自分にしかわからない仕事はもたない」ことを推奨している。何がどこにあるかの情報を共有してマニュアル化する等、常に他が代われる体制にしておけば、たとえ欠勤してもお互いにフォローすることができる。

<5.労働時間を適切に管理>

長時間労働が偏在し、恒常化するなど、社員個々のレベルでは業務の効率化が難しい状況では、管理職等が適切にアドバイスをしていく必要があります。また、このような組織的対応を行うには、長時間労働の発生状況を管理職が日々正確に把握をしておく必要があります。
労働時間の把握には、さまざまな方法がありますが、出社・退社時刻と労働時間をわけて、それぞれ正確に把握する必要があります。
単に労働時間や残業時間を本人に申告させるだけでなく、日々の出社と退社時刻を確認し、労働時間との差がないか、在社時間が増えていないかを管理職等がチェックするようにしましょう。残業時間が増加している場合だけでなく、これらの問題があれば、すぐに声掛けを行い、対応することが重要になります。

事例紹介
残業に関しては、月初に課長が部下の残業計画を立て、総務部に申請をする。一定時間を超えた申請に対しては、会社と労働組合が協議を行い、残業時間縮減のための対策を検討している。こうした残業時間の可視化と事前把握により、残業時間を抑制している。

事例紹介
残業する際は、何時までかかるかを事前にマネージャーに申告させ、マネージャーがやむを得ないと判断した場合にのみ許可している。申告ごとに残業時間に行う業務の内容と所要時間を確認することで、従業員の作業プロセスの改善点をマネージャーが発見し、指導する良い機会となっている。

今回紹介した内容は、どれも費用をかけずに今日から改善していけるものだと思います。残業時間の削減や業務の効率化は、すぐに効果が出るものではありません。しかし、コツコツと小さな改善を積み重ねることにより、最終的に大きな効果を得られる可能性を秘めています。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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