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第56回 17年12月更新

いよいよ始動する無期転換ルール

平成25年に施行された「無期転換ルール」から間もなく5年が経ちます。施行以来、制度を実際に利用できる人はいませんでしたが、いよいよ平成30年4月からは、有期契約で働いている方の「労働契約の無期転換の申込権」が発生する可能性が出てきます。
会社は、有期契約で働いている従業員から労働契約の無期転換の申し込みをされた場合、拒否することはできないルールになっています。
後で詳しく触れていきますが、無期転換権の行使をされたからといってその方は正社員になるわけではありません。あくまでも契約社員のまま、雇用契約期間がなくなる制度です。

無期転換権を行使する従業員が出てくると、これまで会社が想定をしていなかった区分の従業員が生まれてきます。平成30年4月からそのような従業員が発生する可能性がありますので、まだ準備をしていない会社は、就業規則の変更等の準備をすすめなければなりません。
今回は、労働契約法における「有期契約労働者の無期転換」についてみていきたいと思います。

<有期契約労働者とは?>

有期契約労働者とは、1年や6ケ月単位の有期労働契約を締結、または反復更新している従業員のことをいいます。一般的には「契約社員」「パートタイマー」「アルバイト」などと呼ばれています。
各社が独自に位置づけている雇用形態(たとえば、嘱託社員、準社員、パートナー社員、など)についても、契約期間に定めのある場合は、すべて「無期転換ルール」の対象となります。
なお、「派遣社員」の場合は、派遣元の企業が無期転換ルールへの対応をしていくことになります。

<無期転換ルールとは?>

平成 25 年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールが規定されました。無期転換ルールとは、同一の使用者(会社)との間で、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申し込みによって期間の定めのないに労働契約に転換されるルールのことです。
たとえば、契約期間が1年の場合は、5回目の更新後に無期転換の申込権が発生し、労働者が申し込みをすれば、その契約が終了する時点で期間の定めのない労働契約に転換されます。


(厚生労働省 有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック)

有期契約労働者が使用者(会社)に対して無期転換の申し込みをした場合、使用者は断ることができず、自動的に無期労働契約が成立することになります。
平成 25 年3月までの労働契約期間については、通算5年間の期間に含まないことになっていましたので、施行から5年を迎える平成30年4月1日に無期転換申込権が発生する有期契約労働者の方が多く存在します。

きちんと理解しておいて欲しいのは、有期契約労働者から無期転換の申し込みをされた場合は会社が断ることはできませんが、かならず正社員になるわけではないという点です。
給与や待遇等の労働条件については、労働協約や就業規則、個々の労働契約で別段の定めがある部分を除いて、直前の有期労働契約の際の労働条件がそのまま引き継がれることになります。つまり、時給のアルバイトのまま、雇用契約の終わりがない従業員になるということです。

これらの従業員をこれまで想定していなかった会社では、平成30年4月までに、無期転換労働者の役割や責任の範囲、就業規則等の整備など、さまざまな検討が必要です。
まだ準備ができていないようであれば、すぐにでも就業規則やその他の規程を変更する必要があるかを確認しましょう。

<クーリングについて>

無期転換の申込権が発生するのは、通算5年以降の有期契約労働者です。しかし、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6ヶ月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません。
これを「クーリング」といいます。

(厚生労働省 労働契約法改正のポイント)

<有期雇用特別措置法について>

無期転換ルールの対象となる有期契約労働者には、例外(有期契約雇用特別措置法)が設けられています。
会社が一定の手続きを経ると、以下のいずれかに該当する有期契約労働者の方は、無期転換申込権が発生しません。
1)専門的知識等を有する有期契約労働者(高度専門職)
2)定年に達した後、引き続いて雇用される有期契約労働者(継続雇用の労働者)

この特別措置法の適用を受けるためには、都道府県労働局長の認定が必要です。なお、1)と2)は独立しており、両方の労働者とも例外にするためにはそれぞれ別の計画の認定を受けることになります。
また、高度専門職で複数のプロジェクトの特例を受ける場合は、さらにそれぞれについて認定申請をする必要があります。

都道府県労働局長の認定を受けるために提出する申請書類は、高度専門職に関する申請書類は「第一種計画認定・変更申請書」、継続雇用の高齢者に関する申請書は「第二種計画認定・変更申請書」になります。
添付の書類等の詳細については、本社・本店を管轄する都道府県労働局に問い合わせてください。
現在、この特例に係る申請が全国的に増加しています。平成 30 年3月末日までに認定を受けることを希望される場合は、早めに申請書を提出した方が良いでしょう。

 

無期転換ルールは、契約社員やアルバイトを活用している会社は、すべて対象になる可能性があります。
現在対象者がいないとしても、今後のために就業規則等の整備や有期雇用特別措置法の適用の検討を行っておくようにしましょう。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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